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小説新潮 2006年10月号

(毎月22日発売)

901円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2006/09/22

発売日 2006/09/22
JANコード 4910047011067
定価 901円(税込)

〈特集〉ミステリーの魔法
この女二人に前科アリ
◆乃南アサ/秋のうた

【脱出不可能! 魅力溢れる世界にようこそ】
異郷で夫を探す若妻にガイドは…
◆貫井徳郎/カイロの残照
奇妙な宅配便の送り主は誰か
◆石持浅海/ミョウガは心に効くクスリ
生涯最高の「もて期」に差す影
◆沢村 凛/迷ったときは
子供が家で溺死、母親は完黙
◆誉田哲也/袋の金魚

【ミステリー二大強力連載】
◆西村京太郎/望郷の知床
◆佐々木 譲/警官の血

〈特集〉泣かない女の恋愛小説
直木賞受賞第一作!
◆三浦しをん/ペーパークラフト

【涙は見せない、見せたくない。だから切ない心模様】
ティッシュの広告が運命を変えた
◆有吉玉青/ボーイを探せ!
別つことのできぬ前の夫との運命
◆小手鞠るい/あなたへと続く道
人が恋するのは、詩情それとも姿形?
◆桜庭一樹/烏丸紅子恋愛事件

これはカワカミ版〈人間喜劇〉だ――
◆川上弘美/蛇は穴に入る

【豪華連作陣】
◆阿刀田 高/ほくろ慕情
◆北原亞以子/月明かり(二)―慶次郎縁側日記―
◆江上 剛/汝偽るなかれ

映画公開プレミア座談会
◆恩田 陸×長澤雅彦×多部未華子/「夜のピクニック」に連れてって!
『言の葉摘み』刊行記念対談
◆宮沢和史×ねじめ正一/広い海から言葉をすくう
この時期だからこの話題!
◆佐藤 優 岩井志麻子 華恵 高橋洋二
私が総理大臣になったらイド

軽老モーロー対談
◆赤瀬川原平×東海林さだお/人間も中古良品でいこう篇

戦後大女優の極め付きDVD35本 完結篇
◆長部日出雄/杉葉子から宮沢りえまでの名花たち

〈最後の落語家〉語り下ろし自伝
◆立川談志/談志一代記  聞き手…吉川 潮

麺類学紀行/こっちの甲子園もアツイ!
◆椎名 誠/麺の甲子園
禁断の幕末史伝第九回
◆磯田道史/孝明天皇

連載エッセイ
◆野瀬泰申/食日本紀(最終回)
◆河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負

【好評連載小説】
仮想儀礼/篠田節子
がらくた/江國香織
知りすぎた男たち/藤原正彦
切羽へ(最終回)/井上荒野
廃墟の騎士/藤田宜永
風は山河より/宮城谷昌光
鬼哭鬼九郎/高橋克彦
【コラム招待席】
想い出TVジョン/吉村喜彦
腹立ち日記/宇月原晴明
わが師の恩/平松洋子
ああ、恥ずかし/高山なおみ
【コラム&エッセイ】
道を歩いていると/谷川俊太郎
大阪弁の時代/塩田丸男
川柳うきよ大学/小沢昭一
映画小僧参上!/立川志らく
しりとり漫畫/フジモトマサル

〔連載マンガ〕二階堂正宏 福山庸治
〔表紙にひとこと〕森 英二郎

読者の声
次号予告

◇第三回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
◇第二回「新潮エンターテインメント新人賞」最終候補作発表

編集長から

新しい才能はどこから?
 私事で申し訳ないのですが、四月に編集長として着任するまでの三年間、電子書籍に関わる仕事をしておりました。インターネットを介してパソコンや携帯、専用端末に「ダウンロード」して読むのに適した小説を選んだり、あるいは作家の方に書下していただき、「配信」する業務を生業としておりました。
 私はもともと紙の世界を歩いてきました。電子の世界を体験して初めてわかったのは、電子書籍として読まれる小説は、紙の本として読まれる小説とはまったく違う、ということでした。紙でいくら売れても電子では全く売れない、あるいはその逆が普通の世界でした。おそらくは文章修行などとは無縁の若い書き手のオリジナルな作品が、紙の世界で既に一家をなした大家の電子化作品の売り上げをしのぐ、ということがごく当たり前に起こっているのです。
 といって、電子の世界での書き手を批判するつもりは毛頭ありません。小説は何百年にもわたって「紙」という乗り物に乗って発展してきました。紙という媒体にもっとも適した表現形式が従来型の小説であるという言い方もできるでしょう。他方、ネットにはネットに適した小説が存在するということでしょうか。二つは全くの別物としてこれから進化していくのでしょうか。
 紙の世界に舞い戻って来た出戻りとしては、興味深く行方を見守るしかありません。
 などと46歳の中年がぶつぶつ言っている間に、新しい才能は両方の垣根を軽々と跳び越えているようです。
 今月は新直木賞作家、三浦しをん氏の受賞第一作「ペーパークラフト」にぜひご注目ください。氏は早稲田大学在学中からネットでの掲載エッセイが評判を呼んでいました。直木賞135回の歴史の中で二十代で受賞したのは四人目ということですが、一読、その人間観察眼の老成ぶりには驚かされます。
 ネットがどうとか紙がどうとかというギロンを吹き飛ばす勢いある才能の持ち主の颯爽たる登場です。


 小誌八月号で特集「没後25年 向田邦子に逢いたくて」を掲載したところ、各地で売り切れ店が続出、新聞ダネにすらなりました。これまでにも売れた号は数々あれど、「売り切れ」はおそらく9年ぶりぐらいの快挙、でした。
 読者の方々に感謝すると共に、期待に応えられる誌面作りをさらに追い求める所存です。


小説新潮編集長 上田恭弘

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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