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特集:白洲次郎の直言

小説新潮 2008年2月号

(毎月22日発売)

817円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/01/22

発売日 2008/01/22
JANコード 4910047010282
定価 817円(税込)

【特集:時代小説冬の旅】
【読切中篇百三十枚】志水辰夫/つばくろ越え
難所を選んで江戸と新潟を往還する二つの影

【紀行エッセイ】象に触ってきた
アメリカ横断バス旅行二週間、三つの発見

◆シミタツ、初めて自作を語る
――自選ベスト8、プラス番外の1本はこれだ!
◆美しさと力強さと 村上貴史
――シミタツ節と呼ばれ、熱狂的な支持を得る決めゼリフを一挙紹介!

◆諸田玲子/蛹のままで
――男の翳りのある目は、いつしか珠世を見ていた
◆西條奈加/抜けずの刀
――長屋に若侍がやって来た。娘たちは大騒ぎだが
◆犬飼六岐/人間万事情世中
――懐には一両の小判。貧乏暮らしの男がどうして……
◆安住洋子/ささら波
――藩の名誉を背負い江戸へ向う甚八。だが真の目的は
◆畠中 恵/いっぷく しゃばけ
――兄や達が若だんなの側にいられなくなるかもってぇ? しかも原因は、鳴家!?
◆北原亞以子/祭りの日―慶次郎縁側日記―
――前途ある若者が罪人になるのを黙って見ちゃいられない。慶次郎が動き出す

【鉄道艱難辛苦旅エッセイ】
◆酒井順子/トロッコ列車の女
――京都 紅葉独り占め「鉄学」の道

【特選読切短篇】
◆柴田よしき/最後のブルガリ
――どこまでも堕ちて、あたしは古ぼけた団地に辿り着いた
◆橋本 紡/しのび雨
――「女が泣いても慰めるな」森さんの言葉が今はわかる
◆米澤穂信/山荘秘聞
――天国のような山奥に、この可愛らしい別荘があります
◆乃南アサ/落日―あすは我が身の刑法入門―
――無意味な治療、それともこれは医者の義務なのか

【連載第二回】
◆佐々木 譲/暴雪圏
――強奪犯、ストーカー、死体。吹雪の町に何が?

【好評連載小説】
重松 清/ゼツメツ少年
熊谷達也/X橋の虹
赤川次郎/天国と地獄
宮部みゆき/ソロモンの偽証
高橋克彦/鬼哭鬼九郎

【新潮文庫読書感想文】
宮部みゆき選
Yonda?どっかんフォーラム 結果発表

【特集:白洲次郎の直言】
◆白洲次郎 新発見エッセイ26選
――日本を打つまっすぐな言葉。『プリンシプルのない日本』未収録エッセイ集成

【座談会再録】昭和29年、現代と重なる激動の政局。次郎の痛快な発言が光る
政界に提唱する 白洲次郎×蝋山政道×矢部貞治×小汀利得

◆青柳恵介/勝負師・白洲次郎
――白洲次郎の本質。それは西行や明恵と通じるものではないか
◆三品 鼎/あの頃の白洲さん
――昭和20年代後半、マスコミにとって白洲次郎は徹底的な「悪役」だった
◆伝説検証 日本で初めてジーンズを穿いた男
◆山口文憲/徹底読み比べ「白洲次郎本」
――「次郎本」ブームがあぶり出すのは、我々、今の日本人の情けなさだった

【新連載 グラビア】
◆牧山桂子/次郎と正子の食卓から

【連載エッセイ】
柴門ふみ/恋のタネ
佐藤 優/功利主義者の読書術
山田詠美/アンコ椿は熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった
太田和彦/居酒屋百名山

第二十回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
第四回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

白洲次郎の伝説
 昨年暮れ発売の1月号は、各地で売り切れ店が続出した。ベテランから新進気鋭まで縦横無尽に腕をふるった短編の充実、そして大反響を呼んだ城山氏の新発見遺稿「そうか、もう君はいないのか」。編集部にも数多くの問い合わせの電話を頂戴した。ご迷惑をおかけしたこと、幾重にもお詫び申し上げます。
 その城山氏につづき、2月号の特集は「白洲次郎の直言」。実業家であり、外交官であり、文筆家・白洲正子の夫だった次郎が、表舞台に立った時期は短い。それ故か、その生涯はさまざまな伝説に彩られている。
 ケンブリッジ仕込みの英語を自在にあやつり、十代でベントレーを乗りまわす。吉田茂首相の片腕としてGHQとやりあい、マッカーサーを叱りつけ、「従順ならざる唯一の日本人」と呼ばれた男、日本で初めてジーンズを穿いた男――。
 白洲のまっすぐな言葉は、混迷の現代にこそ力を持つ。没後に編まれた唯一の著書『プリンシプルのない日本』未収録の新発見エッセイ26選、座談会再録「政界に提唱する」を読めば、白洲の発言がいかに現在に通じるか、驚くにちがいない。
 青柳恵介氏は「白洲の本質は西行や明恵に通じる」と喝破し、吉田茂の懐刀だった当時の白洲と会えた数少ない新聞記者、三品鼎氏が貴重な回想を綴る。近年続々と出版される「白洲次郎本」の徹底読み比べに加え、長女・牧山桂子による新連載カラーグラビア「次郎と正子の食卓から」もスタートする。
 もう一つの特集は「時代小説冬の旅」。時代小説初挑戦で清新な傑作『青に候』を物した志水辰夫氏の百三十枚読切中篇は待望の新シリーズ。アメリカ横断旅行記、自選ベスト8+番外1作を選んだ「シミタツ、初めて自作を語る」、「名セリフで読む志水作品」のシミタツ尽くしでお送りする。諸田玲子氏、畠中恵氏を始め、冬の旅はいずれも快作力作そろい踏み。


小説新潮編集長 高澤恒夫

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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