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特集:「女の一代記」を読む

小説新潮 2008年3月号

(毎月22日発売)

817円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/02/22

発売日 2008/02/22
JANコード 4910047010381
定価 817円(税込)

【特集:「女の一代記」を読む】
◆岸 惠子/出会えなかった、もう一つの人生
――小説でしか描くことのできなかった波乱万丈の半生、そして理想の男

【大回顧座談会】「斎藤輝子」を知っていますか
阿川弘之・阿川佐和子×北杜夫・斎藤由香
大歌人・茂吉の妻は地球36周分を旅した豪快な猛女だった!

【インタビュー】
◆宮尾登美子/男は社会が助けてくれる 女はそうじゃない……
――だからこそ女の一生は波乱に富み、そこに時代が見える……
◆林 真理子/女の一代記が読まれない時代に
――作家としての意志と資料の狭間でジレンマに苦しみながら闘う
◆玉岡かおる/大正女の品格を描く
――播州の地で築いた巨大商社。女性企業家の人生に見たもの

【チャート付ブックガイド】
◆東 えりか/貴女にピッタリの一冊を探せ!
――あまたある「女の一代記」から、よりすぐりの十二作を

【ガツンとやられたこの一冊】「この女に負けた!」
児玉 清/谷村志穂/鹿島 茂/光野 桃

◆北上次郎/男の一代記よ、もっと出てこい
――貧乏で不細工。それでも逞しく生きる男の物語が読みたい

【特選読切短編】
◆玄侑宗久/おぼん
――フィリピンから嫁いで来たテルちゃんに思いを交わす人が?

◆山本幸久/買い替え妻
――私は牛丼屋のバイトで真の結婚生活を買うんだ

【好評シリーズ】
◆恒川光太郎/天化の宿 美奥の物語
――虚と実。善と悪。攻と防。世界はこの盤の上にある
◆乃南アサ/まくら あすは我が身の刑法入門
――DVが生んだ思いがけない悲劇。妻に咎はあるか
◆石田衣良/メトロガール 6TEEN
――僕たちより何倍も早く歳をとるナオトのために

【人気時代読切】
◆山本一力/西應寺の桜 八つ花ごよみ
――桜の花のほころびは夫婦の心もほどいてくれる
◆北原亞以子/輪つなぎ 慶次郎縁側日記
――しかたない。私の幸せにはお金が要るんだもの

【赤裸々セックス鼎談】快楽も半ばを過ぎて
中村うさぎ×伏見憲明×松沢呉一/性の現役で在り続けるために(最終回)

【短編小説最前線】
◆西 加奈子/窓の魚
――時間と場所を共有しても、交叉できない四人の想い
◆唯野未歩子/夜更けに知るもの
――不運は知るもの。人生は実感することに意義がある
◆朝倉かすみ/ヴェリー・ナイス
――今宵、集結した六人のキムラ・タクヤに幸あれ!
◆瀧羽麻子/すきやき日和
――家族だもの。言葉がいらない時もある。そんな日は…
◆乾 ルカ/息継ぎの間
――単純、肥満、お調子者。そんな部下に意外な過去が
◆坂木 司/季節外れの光
――私のコードネームはジョー。戦場は、学校だ

【特別読物】椎根 和/「popeye」の時代
そこには新しい才能が梁山泊のように集結した。
伝説の雑誌の黄金期を担った編集者が綴る風雲録

【好評連載小説】
重松 清/ゼツメツ少年
熊谷達也/X橋の虹
佐々木 譲/暴雪圏
赤川次郎/天国と地獄
宮部みゆき/ソロモンの偽証
高橋克彦/鬼哭鬼九郎

櫻井よしこ/母と過ごす至福の日々 第2回

【連載エッセイ】
柴門ふみ/恋のタネ
佐藤 優/功利主義者の読書術
山田詠美/アンコ椿は熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった
太田和彦/居酒屋百名山

【グラビア】牧山桂子/次郎と正子の食卓から

第二十回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
第四回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

女の人生はいつも長編小説
 岸惠子氏は「人生はラ・ロンドである」と考える。人は風に吹かれ、輪になって踊っている。その中で出会い、別れ、時にすれ違う。岸氏の小説『風が見ていた』は、「出会わなかった人生へのオマージュ」だった。
 今月の特集「『女の一代記』を読む」で、岸氏が語る言葉の一部である。男の一代記が「ど根性サクセス・ストーリー」(北上次郎氏)なら、女の一代記は人生そのもの。斯界の第一人者である宮尾登美子氏と林真理子氏、初めて挑んだ玉岡かおる氏のインタビューには、そこに賭ける気概と人知れぬ苦労が横溢。阿川弘之氏、阿川佐和子氏と、北杜夫氏、斎藤由香氏の父娘には、斎藤茂吉の妻だった斎藤輝子の生涯を回顧してもらった。児玉清氏ほかによる「この女に負けた!」、東えりか氏のチャート付ブックガイドも必見。
 小説特集は、業界最注目の作家六名による「短編小説最前線」。ここでも女性の書き手が突出しているのは偶然ではない。


小説新潮編集長 高澤恒夫

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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