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【講演採録】瀬戸内寂聴/わたしの源氏物語

小説新潮 2008年6月号

(毎月22日発売)

817円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/05/22

発売日 2008/05/22
JANコード 4910047010688
定価 817円(税込)

【特集:源氏物語の悦楽】

【講演採録】瀬戸内寂聴/わたしの源氏物語
――この物語が、私に小説家の道を決意させた。源氏物語の最奥に迫る作家の声

【特別対談】田辺聖子×酒井順子/男の願望 女の復讐
――魅力的な人物造形、男女の人生を見通す眼力。
  作家・紫式部の手腕を語り尽す

【自伝的現代語訳ガイド】玉岡かおる/それぞれの、ときどきの源氏物語
――最初に触れた円地訳から瀬戸内訳まで、多彩な現代語訳を読む

【読書マラソン】吉野万理子/怨念の「源氏物語」原文イッキ読み
――京都の宿坊という絶好のロケーションで、二泊三日の全巻踏破に挑む!

【10分で読める】こさささこ/あらすじマンガ「源氏物語」
――桐壺更衣ってうざくない? 五十四帖が一目瞭然の超現代語訳

【新連載トラベルミステリー】西村京太郎/宮島・伝説の愛と死
――余命三カ月の女性の不可解な死。十津川は新幹線に飛び乗った

【待望の連作シリーズ開幕】三浦しをん/森の奥
――死ぬためにここに来たはずだった。男二人の奇妙な一夜

【短期集中連載スタート】今野 敏/乱雲 隠蔽捜査3
――米大統領訪日を前に、竜崎に上層部から意外な任務が

【好評読切シリーズ】
◆山本幸久/ズボンプレッサー
――元夫をテレビで眺める弛みきった昼下り。突如現れた珍客とは
◆坂木 司/化石と爆弾
――高校生とは仮の姿、俺はスパイだ。「天文部」シリーズ最終話
◆恒川光太郎/朝の朧町 美奥の物語(最終回)
――私が足を踏み入れたのは、どこかにあった、どこにもない町

【集中連載】
◆道尾秀介/龍神の雨
――継父の首を絞めたスカーフがない。不安に駆られる楓に脅迫状が
◆橋本 紡/Birth
――産科医逮捕事件を追う由佳子。その先に真実は存在するのか

【人気時代読切】
◆北原亞以子/目安箱 慶次郎縁側日記
――破り捨てられた訴状には、知られざる殺害事件が記されていた
◆諸田玲子/安産祈願 お鳥見女房
――多津の出産。継子の雪の心の中には、小さな棘があった

【「女による女のためのR-18文学賞」決定発表】

大賞:蛭田亜紗子/自縄自縛の二乗
読者賞:山内マリコ/In your dreams.

【特集:源氏物語 官能の巻】

◆谷村志穂/ざわざわしている
――美しい年下の夫。憎い。でも欲しい。でもこんなに遠い……
◆宮木あや子/月夜の先へ
――息子の嫁に。それがあの人の望み。私が抱かれたいのは彼なのに
◆桐生典子/金魚を放つ
――因果応報。昔、先輩の恋人を寝取った私が妻を寝取られるとは
◆吉川トリコ/夏の草
――母さんの恋人だったイサオ。今はあたしに母さんを見ている
◆南 綾子/ビーンスプラウトガール
――不細工でとろくて。なのに、なんで篠田さんは私を抱いたんだろ
◆小手鞠るい/この河の向こう岸
――二人の間で揺れる私の右足は天国に、左足は地獄にかかっている
◆出久根達郎 訳・評者×山本タカト 絵師/いずれの御時にか押し広げて
――未亡人と、娘とも……本家に輪かけて色好み、江戸艶本「光源氏」

【歴史を覆す集中連載 第二回】
◆加藤 廣/空白の桶狭間

【好評連載小説】
平岩弓枝/聖徳太子の密使
重松 清/ゼツメツ少年
熊谷達也/X橋の虹
佐々木 譲/暴雪圏
赤川次郎/天国と地獄
宮部みゆき/ソロモンの偽証
高橋克彦/鬼哭鬼九郎

【連載エッセイ】
嵐山光三郎/文士の舌
柴門ふみ/恋のタネ
佐藤 優/功利主義者の読書術
山田詠美/アンコ椿は熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった
太田和彦/居酒屋百名山

第二十七回「新田次郎文学賞」決定発表
第五回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

源氏物語に酔う
「紫式部日記」に初めて「源氏物語」の記述が見えてから千年だという。最古の恋愛小説であることには疑いを容れない。また、これだけ多くの現代語訳、再話がなされた古典もほかには存在しない。先人の業績に触れると、自らも新たに挑みたくなる、そんな魅力があるらしい。
 今月の特集「源氏物語の悦楽」では、「女人源氏物語」と「瀬戸内源氏」を著した瀬戸内寂聴氏と、「新源氏物語」の田辺聖子氏にご登場願った。瀬戸内氏は「わたしの源氏物語」と題する講演採録、田辺氏は、やはり源氏フリークの酒井順子氏との対談。さらに玉岡かおる氏の「自伝的現代語訳ガイド」に、吉野万理子氏の「原文イッキ読み」、こさささこ氏の10分で読める「あらすじマンガ」で源氏の世界に浸っていただきたい。
 小説特集も「源氏物語 官能の巻」。原典から男女の交情と葛藤を切り取って、現代に甦らせる刺激的な試み。出久根達郎氏による、江戸艶本「光源氏」も是非。


小説新潮編集長 高澤恒夫

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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