ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:小説新潮 > 雑誌詳細:小説新潮 2008年7月号

山本周五郎賞記念特集

小説新潮 2008年7月号

(毎月22日発売)

817円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/06/21

発売日 2008/06/21
JANコード 4910047010787
定価 817円(税込)

【山本周五郎賞記念特集】

第21回山本周五郎賞決定

今野 敏/果断 隠蔽捜査2

【受賞第一作】試練――竜崎よ、あれは強敵だ。伊丹刑事部長は呟いた
【好評連載 第二回】乱雲 隠蔽捜査3
【ロング・インタビュー】量を書かないと、質は変わらない

伊坂幸太郎/ゴールデンスランバー

【受賞第一作】検問――この車、盗んできたんだ、と男は警官に言った
【ロング・インタビュー】絶望でも、バラ色でもなく
伊坂幸太郎 個人的ベスト3

【第21回山本周五郎賞決定発表】
【選評】浅田次郎/北村 薫/小池真理子/重松 清/篠田節子
【グラビア】受賞作の生れた場所
【特別鼎談】二十年間の疾風怒濤を語ろう/長部日出雄・垣根涼介・北上次郎
――日本のエンターテインメント小説は飛躍的に進化した。山本周五郎賞と小説の「高度成長期」をいま検証する

【特選中編】
◆浅田次郎/特別な一日
――三十八年、勤めた会社。きょうは最後の、最高の一日
◆志水辰夫/出直し街道 蓬莱屋帳外控
――冷淡な村里、迫る追手。託された文が呼んだのか

《もう一つの「蟹工船」、プロレタリア・ミステリー発掘!》
◆羽志主水/監獄部屋
――地獄のタコ部屋に監査が。労働者たちは色めき立つが

【人気時代読切】
◆北原亞以子/黒髪 慶次郎縁側日記
――美男の町方に恋をした女掏摸おえん。一途な純情を向けるのだが
◆山本一力/佃町の菖蒲 八つ花ごよみ
――先代に劣らぬ極上の将棋盤を。祐五郎の支えはいつも妻と娘だった

【集中連載】
◆加藤 廣/空白の桶狭間(最終回)
――桶狭間伝説は全土を駆けた。信長に何人も逆らわなくなった……
◆橋本 紡/Birth(最終回)
――美咲から突然のSOS。応じた由佳子は分娩に立ち会うことになり
◆道尾秀介/龍神の雨
――脅迫状の差出人は誰? 怯える楓を辰也はなぜ見つめているのか

【好評シリーズ第二話】
◆江上 剛/窓口戦争
――新入行員が登るべき最初の大きな階段、それは窓口係だった

【山本周五郎賞記念特集】歴代受賞作家短編競演

◆荻原 浩/月の上の観覧車
――人生は真夜中の遊園地で、観覧車がひと回りする十五分間そのもの
◆恩田 陸/骰子の七の目
――いち、に、さん、し、ご、ろく……なな? 一体このサイコロは
◆宇月原晴明/猶太にならいて
――生まれるべきでない滅びの子には、悔やんでも嘆いても救いはない
◆岩井志麻子/眠れない乳母車
――逆らわない大人しい、私は眠る赤ん坊。狸寝入りなのだが
◆垣根涼介/ビューティフル・ドリーマー(「君たちに明日はない」PART3)
――リストラ請負人・村上真介。今回の相手は英会話学校講師

【山本賞作家強力連載】

重松 清/ゼツメツ少年
熊谷達也/X橋の虹
佐々木 譲/暴雪圏
宮部みゆき/ソロモンの偽証

【謎が謎を呼ぶ連載 第二回】
西村京太郎/宮島・伝説の愛と死

【好評連載小説】
平岩弓枝/聖徳太子の密使
赤川次郎/天国と地獄
高橋克彦/鬼哭鬼九郎

黒柳徹子/小さいときから考えてきたこと
櫻井よしこ/母と過ごす至福の日々

【連載エッセイ】
嵐山光三郎/文士の舌
柴門ふみ/恋のタネ
佐藤 優/功利主義者の読書術
山田詠美/アンコ椿は熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった
太田和彦/居酒屋百名山

第五回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

山本周五郎賞新たな二十年へ
 山本周五郎賞の選考委員を十二年間務めた長部日出雄氏は、「日本のエンターテインメント小説は史上最高レベルに達している」と言う。第十八回の受賞者、垣根涼介氏は山本賞を「質実剛健な賞」と評した。評論家の北上次郎氏は、戦後の大衆小説の流れを概観しつつ、「文学賞は派手ににぎやかに」と語る。
「二十年間の疾風怒濤を語ろう」と題した鼎談での発言である。山本賞は今年新たな二十年に突入した。記念すべき第二十一回の受賞作は、今野敏氏「果断 隠蔽捜査2」と伊坂幸太郎氏「ゴールデンスランバー」。作家歴三十年のプロ中のプロと、本屋大賞とのW受賞となった若き人気作家。対照的な二人の受賞第一作短編とロング・インタビュー、全十六ページのロングラン選評を贅沢に掲載する。
 小説特集も山本賞「歴代受賞者短編競演」。荻原浩氏、恩田陸氏ら、脂の乗った近年の受賞者が筆を競う。浅田次郎氏、志水辰夫氏の特別中編も、思わず唸る凄さ。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞