ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:小説新潮 > 雑誌詳細:小説新潮 2008年8月号

特集:医療小説最前線

小説新潮 2008年8月号

(毎月22日発売)

817円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/07/22

発売日 2008/07/22
JANコード 4910047010886
定価 817円(税込)

【特集:医療小説最前線】

【パイオニアが語る】渡辺淳一/体験的医学小説論
――医師として出発し、男女と人間の追求へ。医学と文学は人生でいかに響き合
うのか

【特別インタビュー】帚木蓬生/医学の危うさが見過ごされている……
――治療の現場はマッドサイエンスと紙一重――。開業医として再出発した作家
が熱く語った

【名篇再録】山崎豊子/少年の遺言
――小説の生命か作家としての社会的責任か。『続白い巨塔』に着手した理由

【二大医療小説】
◆帚木蓬生/終診
――四十五年の医師生活に別れを告げる。今もあのひとことが
◆篠田節子/家守娘
――介護のために会社も男も諦めた。母の脳はどこまで変わる?

【ブックガイド】東えりか/戦後の医療小説30選
――医学の進歩と社会問題を深く理解できる医療小説を厳選紹介

【渾身エッセイ】海堂 尊/医療小説をめぐるフラグマン
――医療が危機的状況に陥った現代だからこそ、医者として、小説を書く覚悟と
希望

【好評シリーズ】
◆柴田よしき/遠い遠い隣町
――夫も、息子も、孫も失ったわたしに、唯一残されたもの
◆垣根涼介/ビューティフル・ドリーマー〈後編〉
      ―「君たちに明日はない」 PART3―
――リストラ請負人・真介も、今度の相手には調子が狂いっぱなし

【集中連載】
◆道尾秀介/龍神の雨 完結篇
――楓は、辰也はどこだ。必死で捜す蓮と圭介が辿り着いた場所は
◆今野 敏/乱雲 隠蔽捜査3
――テロリスト潜入の報。それより竜崎を惑わすのは美貌の秘書官

【鉄の細道紀行】酒井順子/廃線跡の女
――チャレンジ、究極の鉄道趣味! 見えない鉄道を追った7時間半全記録

第二十回「日本ファンタジーノベル大賞」候補作発表
第四回「新潮エンターテインメント大賞」中間結果発表
第五回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項

【特集:時代小説夏まつり】

◆乙川優三郎/竹夫人
――芸に生きた祖母に背を押され、私もその厳しい道に踏み出す
◆諸田玲子/剛の者 お鳥見女房
――隠居の身とはいえ元御鳥見役。わしが行かねば誰が行く
◆安住洋子/夕彩(ゆうあや)の波
――暴れ馬を取り押さえ、大怪我で伏せった和志の気がかりとは
◆小路幸也/あらざるもの
――聴く。観る。知る。そして考える。そは“人”であるための必然
◆北 重人/日照雨(そばえ)
――この刀を刻限までに届けねばならぬ。どんな狼藉に耐えても
◆見延典子/非利法権天
――自らの名を騙り、贋作を売る男が山奥にいると聞いた頼山陽は
◆宇江佐真理/深川にゃんにゃん横丁 そんな仕儀
――孫娘との逢瀬が終わり、意気消沈するおふよに怪しい男が……

【人気時代小説連載】
平岩弓枝/聖徳太子の密使
高橋克彦/鬼哭鬼九郎

【好評連載小説】
熊谷達也/X橋の虹(最終回)
赤川次郎/天国と地獄
佐々木 譲/暴雪圏
重松 清/ゼツメツ少年
西村京太郎/宮島・伝説の愛と死
宮部みゆき/ソロモンの偽証

連載エッセイ】
嵐山光三郎/文士の舌
柴門ふみ/恋のタネ
佐藤 優/功利主義者の読書術
山田詠美/アンコ椿は熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった
太田和彦/居酒屋百名山

川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

医学と小説の関係
 かつて医療は聖域だった。医師の言葉は神のそれにも似ていた。そこに風穴を開けた小説が、山崎豊子氏の『白い巨塔』である。医療過誤訴訟、大学内部の権力闘争……。綿密な取材と社会的視野を得て生々しく描かれたドラマは、どんな新聞記事よりも真実を伝えていた。
 今も医学と医療を巡るニュースはメディアに氾濫している。そこで今月の特集は「医療小説最前線」。ベストセラー『閉鎖病棟』の著者、帚木蓬生氏の短編「終診」と特別インタビュー、篠田節子氏が特異な認知症の母親と娘の関係を描き出す中編百五十枚「家守娘」。医学小説の開拓者でもある渡辺淳一氏は「体験的医学小説論」でその危うさを説き、現役の勤務医でもある海堂尊氏は緊急寄稿で「医療現場は瀕死の状態」と言う。医療と社会の真実は小説にある。
 小説特集は「時代小説夏まつり」。静かな感動を呼ぶ乙川優三郎氏の名篇、宇江佐真理氏の好評シリーズ。新鋭・北重人氏も胸に迫る。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞