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特集:日本のファンタジーはすごい!

小説新潮 2008年9月号

(毎月22日発売)

817円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/08/22

発売日 2008/08/22
JANコード 4910047010985
定価 817円(税込)

【特集:短篇ファンタジー傑作選】

【「しゃばけ」シリーズ最新作】
◆畠中 恵/はじめての
――若だんなが人生初の平手打ちをくらった相手は十二歳の頃、三つ年上の女の子で……。ちょっと切ない恋物語

【抱腹絶倒の森見ワールド】
◆森見登美彦/真夏の人々
――京都を舞台に繰り広げられる宴は、今年もヘンテコで天変地異が起こるほどアクロバティックなものであった

◆仁木英之/飄飄薄妃
――師匠との恋に悩み欲求不満な王弁が目撃した情事に漂う死臭
◆久保寺健彦/ファリンゴ・クラブ
――幻の怪魚を探す活動は、幼い二人の親密な世界の支えだった
◆沢村 凜/前世の因縁
――彼女の占いは予約が取れない。ただ一人の客を除いては
◆西條奈加/源平蛍
――火事屋源平の密かな復讐に、「善人長屋」総出で加勢するが
◆堀川アサコ/魂来る
――「姉さんの声は、もう聞いたでしょ」巫女の謎の言葉
◆弘也英明/趣塞
――戦と砂嵐で擦りきれてしまった人を動かすのは趣味への熱

【新直木賞作家、謎めく新シリーズ!】
◆井上荒野/艶の通夜 第一話 石田行彦の妻、環希
――「親戚の人が、死にかけてるらしい」夫の言葉に妙な予感が

【特集:城山三郎の「戦争」】

【講演採録】
◆城山三郎/大きく生きる~広田弘毅を支えた三つの柱~
――自らのために計らわず――死に近づくほど立派に生きるために

【『落日燃ゆ』論争検証】
【再録】佐伯彰一、平川祐弘、城山三郎/広田弘毅は「漫才」と言ったのか
◆梯 久美子/作家の矜恃

【作品紀行】
◆吉田紗知/おじいちゃんたちの特攻――『指揮官たちの特攻』を旅する
――最後の特攻隊員だった「おじいちゃん」を追って、九州へ

【読切シリーズ】
◆石田衣良/ウォーク・イン・ザ・プール 6TEEN
――謎の美少女と知り合った四人組。テツロー、初体験か?
◆山本幸久/町子さんの庭
――うちの庭を覗いてみんなが言う、「マチコさん」って誰よ
◆山本一力/砂村の尾花 八つ花ごよみ
――江戸のすすきを守るため、伊兵衛は「あの男」を呼んだ

【『新 三河物語』刊行開始記念】
◆宮城谷昌光/神川紀行
――取材で観た古戦場の風景

【ブックガイド】『新 三河物語』の世界

【特集:日本のファンタジーはすごい!】

【スペシャルインタビュー】
◆恩田 陸/「幻想と怪奇」をやっています
――ファンタジーの要素に満ちたその作品世界。しかし本人の意識は?
◆あさのあつこ/少しだけ、現実からずれた世界で
――深い絶望を孕む時代だからこそ、心に“ファンタジー”を持とう

◆大森 望/ファンタジーノベルの二十年
――日本ファンタジーノベル大賞がエンタメ界に巻き起こした旋風とは。ファンタジー20年史を徹底解析
◆北上次郎/ファンタジー嫌いにすすめるファンタジー
――天使も魔法も空想上の動物も大の苦手なのだ! そんな書評家を熱狂させた傑作を一挙紹介

【大アンケート】私のベスト・ファンタジー
――日本ファンタジーノベル大賞受賞者が答える、極めつきの一冊

◆小谷真理/夢見る力を与えてくれる書物たち
――これさえ読んでおけば大丈夫! ファンタジー小説傑作選

【第二十回日本ファンタジーノベル大賞決定】
大賞:中村 弦/天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語(抄)
優秀賞:里見 蘭/彼女の知らない彼女(抄)
【選評】荒俣 宏/井上ひさし/小谷真理/椎名 誠/鈴木光司

【短期集中連載】
今野 敏/乱雲 隠蔽捜査3

【好評連載小説】
赤川次郎/天国と地獄(最終回)
佐々木 譲/暴雪圏
高橋克彦/鬼哭鬼九郎
西村京太郎/宮島・伝説の愛と死
宮部みゆき/ソロモンの偽証
平岩弓枝/聖徳太子の密使
黒柳徹子/小さいときから考えてきたこと 追悼 赤塚不二夫さん
櫻井よしこ/母と過ごす至福の日々

【連載エッセイ】
嵐山光三郎/文士の舌
柴門ふみ/恋のタネ
佐藤 優/功利主義者の読書術
山田詠美/アンコ椿は熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった
太田和彦/居酒屋百名山

第四回「新潮エンターテインメント大賞」最終候補作発表
第五回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

日常の隣りの別世界
 ファンタジーって何だろう。小説なら「指輪物語」やハリー・ポッター、またはCGを駆使した大作映画や宮崎アニメだろうか。剣と魔法、妖精に巨人……。こうした王道ファンタジーには大長篇も多いから、どっぷり世界に浸ることができる。
 今月の小説特集は「短篇ファンタジー傑作選」。最新刊『いっちばん』も絶好調の畠中恵氏の「しゃばけ」シリーズ最新作、京都に抱腹絶倒の「森見ワールド」を展開する森見登美彦氏を始め、全八編が並ぶ。大作とは一味ちがう、日常の隣りにある別世界。特集「日本のファンタジーはすごい!」では、恩田陸氏が「幻視力」を、あさのあつこ氏が「現実に負けないための想像力」を熱く語る。大アンケートの回答にもあるように、すべての小説がファンタジーだ。
「城山三郎の『戦争』」では、講演「大きく生きる」、「落日燃ゆ」論争検証、『指揮官たちの特攻』を旅したルポで、城山氏の戦争と人間に向けた眼差しに触れられる。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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