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特集:今宵、感涙小説

小説新潮 2009年7月号

(毎月22日発売)

特別定価859円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/06/22

発売日 2009/06/22
JANコード 4910047010794
定価 特別定価859円(税込)

【特集:今宵、感涙小説】

◆重松 清/かわいげ
――昨日よりも今日。少しずつ新しい家族に慣れていけばいい。「おねえちゃん」と、今度はもっとじょうずに言えるかな

◆荻原 浩/トンネル鏡
――故郷へ向かう新幹線。日本海の風景は美しいのに、車窓から見える闇だけが、私に人生をフラッシュバックさせる

◆小路幸也/other world
――ただ生命を助けたい。歌わせてあげたかったんだ、もう一度

◆唯野未歩子/ばら色の、ばら
――きみたちを護る。それがどうしようもない俺の精一杯の愛

◆原田マハ/道――La Strada
――目の前にある絵、その一本の道が大切な記憶と重なったとき

◆有川 浩/キケン
――十年ぶりに俺たちは大学へ向かった。約束なんて何もないけど

【傑作読切シリーズ】
◆井上荒野/艶の通夜 第五話 松生春二の娘、山田麻千子
――女子学生に手が早いと評判の教授と、なぜか今飲んでいる
◆北原亞以子/雨の底 慶次郎縁側日記
――「死んでやる」と「信じたい」は、女ごころのうらおもて

【第22回山本周五郎賞決定発表】

【受賞作抄録】白石一文/この胸に深々と突き刺さる矢を抜け
――虚しさと、止まない欲望を抱えて現代を生きる男は、どこへ向かうのか

【選評】浅田次郎/北村 薫/小池真理子/重松 清/篠田節子

【記念エッセイ三十枚】白石一文/友とも呼べぬ彼について

【作品解説】重里徹也/思索する主人公、問いかける物語
――迷い、悩み、考える主人公たち。白石一文は、読む者に、自らに、人生の意味を問いかけ続ける

【集中連載】
◆海堂 尊/マドンナ・ヴェルデ
◆中路啓太/豊国神宝 第二話 二刀流の二人

【特集:文壇酒場があった頃】

◆野坂昭如/黒眼鏡文壇酒場放浪記
――こんな場所にぼくがいていいのか。びくびくしながら足を踏み入れた酒場の数々。そこで飲むことの恍惚と不安

【インタビュー】高頭とし子(銀座・コントアール)/麗しき昭和の銀座
――日本が成長し続けることを誰もが信じた時代。政財界から文壇まで、あらゆる大物たちが集まる店が銀座にあった

◆塩田丸男/文壇バー、それは「文壇」があった場所
――そんなものがあるのかないのか、今や曖昧模糊とした「文壇」。しかし、かつては酒場に行けば、その存在を実感できたのだ

【快調連載第二回】
◆西村京太郎/岐阜羽島駅25時
――相次ぐ毒殺事件。十津川は不老不死の謎を追い、新幹線で西へ
◆楡 周平/虚空の冠
――大火事取材へ向かう太平洋上で、運命の歯車は回り始めた

【好評連載小説】
◆赤川次郎/子子家庭の宅配便 後編
◆北森 鴻/鏡連殺
◆貫井徳郎/灰色の虹
◆宮部みゆき/ソロモンの偽証
◆黒柳徹子/小さいときから考えてきたこと
◆櫻井よしこ/母と過ごす至福の日々

【連載エッセイ】
◆阿刀田 高/イソップを楽しむために
◆嵐山光三郎/文士の舌
◆太田和彦/居酒屋百名山
◆柴門ふみ/恋のタネ
◆山田詠美/ライ麦畑で熱血ポンちゃん
◆山本益博/マスヒロのあくび指南
◆河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
◆フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった

第六回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

小説で泣くということ
 泣ける、泣かせる、それは必ずしも小説の使命ではない。小説は涙腺よりも、もっと深いところに届くように書かれるものだから。それでも、小説を読んで泣くこと、泣きそうになることは確かにある。心深く感銘を受けてこみ上げてくる涙――今月の特集は「今宵、感涙小説」。
 重松清氏の「かわいげ」は、血の繋がらない姉妹と母親の物語。荻原浩氏は「トンネル鏡」で、列車で故郷に向かう中年男の人生と心象を紡ぐ。有川浩氏の連作「キケン」は思いも寄らない感動の最終頁へ。ぜひ誌面で体験していただきたい。
 もう一つの特集は「文壇酒場があった頃」。野坂昭如氏の入魂のメモワール「黒眼鏡文壇酒場放浪記」、銀座の名店ママの語り下し、塩田丸男氏の体験的文壇バー論。昭和の空気が甦る。
 さらに第二十二回山本周五郎賞は、白石一文氏「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」に決まった。抄録と選評、三十枚の記念エッセイ、いずれも読み応え十分。


小説新潮編集長 高澤恒夫

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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