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特集:時代小説 蝉しぐれ

小説新潮 2009年8月号

(毎月22日発売)

特別定価859円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/07/22

発売日 2009/07/22
JANコード 4910047010893
定価 特別定価859円(税込)

【特集:時代小説 蝉しぐれ】

◆乙川優三郎/逍遥の季節
――女の芸と男の現実は両立しない定めか。無名の花道家である
紗代乃に回ってきた、藤間流大ざらいの座敷飾りという大役

◆諸田玲子/幽霊の涙 お鳥見女房
――久右衛門が逝ってはや一年、初盆が近づくと共に不穏な噂が。
生前の身形の久右衛門を見かけた、という人が続出したのだ

◆松井今朝子/銀座開化おもかげ草紙 雨の日の記憶
――雨の田原坂、まさか市来巡査が「抜刀隊」の一員として戦うとは

◆北 重人/伊勢町三浦屋
――武士、百姓、商人…やむなく身分を変えてきた男の生き甲斐は

◆西條奈加/犀の子守歌
――善人長屋に運び込まれた行き倒れは、ある藩主の「恋人」だった

◆蜂谷 涼/闇の現
――幕軍敗走後の油照りの京で、総菜屋の娘と若い托鉢僧は出会う

◆犬飼六岐/忍寄恋曲者
――吾助に連夜酒を奢ってくれた男は、別嬪の幽霊が見えると言う

◆北原亞以子/唐茄子かぼちゃ 慶次郎縁側日記
――器量は十人並みの私が二枚目の亭主を持つのは間違いだったのか

【傑作読切シリーズ】
◆小池真理子/廃墟
――二十七年前の夏、あの日の私を、この畳だけが覚えている
◆北村 薫/指輪物語 飲めば都
――笑えるのと笑えないの、酒の失敗には二つある。彼女の場合
◆三浦しをん/SINK
――夜の海底に沈んでいく白いセダン。あの光景は現実か、夢か

【集中連載】
海堂 尊/マドンナ・ヴェルデ
中路啓太/豊国神宝 第三話 桂の月

第二十一回 「日本ファンタジーノベル大賞」候補作発表
第五回 「新潮エンターテインメント大賞」中間結果発表
第六回 「新潮エンターテインメント大賞」募集要項

【特集:猫と暮らす、猫と生きる】
【スペシャル・エッセイ】平岩弓枝/お花という猫
――十三年前、我が家に現れた彼女はすでに大年増だった。
どこでどう暮していたのか。答えはお花自身が語ってくれる
【名人の撮影術公開】岩合光昭/ネコの撮り方、教えます
――まずは挨拶、そして駆け引き! 動くネコはどうする? 世界のイワゴーが指南する、とっておきのネコ写真術
【飼い主たちの物語】猫への詫び状/香取章子
――いつかは必ずやってくる、愛猫との別れ。深い絆で結ばれていた忘れ得ぬ猫たちへ、五人の作家が明かす惜別の物語
◆小池真理子/佐藤 優/高村 薫/道尾秀介/村山由佳

【好評連載小説】
赤川次郎/子子家庭の同姓同名 前編
北森 鴻/鏡連殺
高橋克彦/鬼哭鬼九郎
西村京太郎/岐阜羽島駅25時
楡 周平/虚空の冠
貫井徳郎/灰色の虹
宮部みゆき/ソロモンの偽証

【連載エッセイ】
阿刀田 高/イソップを楽しむために
嵐山光三郎/文士の舌
太田和彦/居酒屋百名山
柴門ふみ/恋のタネ
山田詠美/ライ麦畑で熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった

川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

作家と猫の物語
 人間にとって、猫との付き合い方は永遠の謎なのかもしれない。その距離感は、犬とも他の動物とも異なるが、それだけに魅力も底知れない。漱石、谷崎、三島を始め、猫好きの作家は数多く、それは今も不変だ。
 今月の特集は「猫と暮らす、猫と生きる」。平岩弓枝氏の「お花という猫」は、お宮にさまよい込んできた日本猫との出会いから、その前半生を垣間見せた出来事までを、滋味深く描き出す。動物写真の第一人者、岩合光昭氏は「ネコの島」として有名な田代島に渡り、名人の撮影術を余すところなく教えてくれる(カラーグラビア付きで)。そして、香取章子氏構成の「猫への詫び状」。小池真理子、高村薫、道尾秀介、村山由佳、佐藤優の諸氏から、「飼い主たちの物語」をじっくり聞き出した。
 小説特集は「時代小説 蝉しぐれ」。乙川優三郎氏、松井今朝子氏、「お鳥見女房」再開の諸田玲子氏など全七編。もちろん北原亞以子氏の慶次郎縁側日記も。


小説新潮編集長 高澤恒夫

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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