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特集:【没後二十年】隆慶一郎の道々

小説新潮 2009年11月号

(毎月22日発売)

特別定価859円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/10/22

発売日 2009/10/22
JANコード 4910047011197
定価 特別定価859円(税込)

特集:【没後二十年】隆慶一郎の道々

【対談】安部龍太郎×藤田達生(三重大学教授)/歴史を疑え――隆慶一郎の源を探る
──大胆な解釈で日本史の闇に迫る作家と、戦国史を書き変えるために闘う歴史学者が語り合う、傑作を生んだ発想の原点

【名作シナリオ発掘】池田一朗/騎馬奉行
──将軍暗殺を阻止すべく、火盗改メ、黛内蔵助は疾走する――。「隆慶一郎」誕生の前夜、その後を予感させる伝説の時代劇脚本

【再録エッセイ】文芸作品の脚色について/シナリオ青年に
──小説と脚本の不思議な関係、シナリオライターになるために大事なこと。脚本家を志す者に贈った、随筆という名の助言

【インタビュー】原 哲夫/「花の慶次」が生まれた夏
──病室に訪ねた作家は、余命数カ月──。二十年前のたった三度の出会いが、若き漫画家の傑作時代長編を生んだ

【エッセイ】万城目 学、田牧大和、矢野 隆/私の偏愛! 隆慶一郎「この三冊」
──時代を越えて、何故こんなにも人を惹きつけてやまないのか。新進気鋭の作家たちが夢中になった隆作品はこれだ!

【担当者座談会】二橋進吾(映像プロデューサー)、寺田行健(元「静岡新聞」記者)、宮澤徹甫(元「週刊新潮」編集部)/流れ星みたいな人
──隆慶一郎の仕事に併走した三人が目の当たりにした魅力と凄み

【グラビア】隆慶一郎 創作の風景

【第五回 新潮エンターテインメント大賞決定発表】
◆受賞作/ベンハムの独楽(抄)
◆受賞の言葉/小島達矢
◆選評/荻原 浩

【傑作読切】
君たちに明日はないPART3 百四十枚
◆垣根涼介/やどかりの人生
──激務で安月給の旅行代理店、リストラ請負人・真介の首尾は?
◆小池真理子/ラプソディ
──あれは恋ではない。私は彼の歯に烈しい性的魅力を感じていたのだ
◆唯野未歩子/あたらしい思い出
──過去の恋人と追憶に包まれ暮らすわたしの生き方は、季節外れ
◆北原亞以子/横たわるもの(一)慶次郎縁側日記
──亀屋の主人夫婦を殺すと書かれた物騒な文に、慶次郎が動き出す

【集中連載】
海堂 尊/マドンナ・ヴェルデ
中路啓太/豊国神宝 最終話 紅の剣

【特集:警察&推理 五つの現場】
◆乃南アサ/秋霖
──この新聞記事。漏れるべきではない捜査情報が漏れている──
◆今野 敏/初陣
──国会で追及される県警の裏金。伊丹の過去にもメスが入るのか
◆誉田哲也/ブルードパラサイト
──突然夫に包丁を向けた妻。何の不満もない生活のはずが、なぜ
◆安東能明/抱かれぬ子
──女子高生がスーパーに置き去りにした赤ん坊が、病院から消えた
◆西澤保彦/傀儡がたり
──母は亡き兄の妄想日記を書き継ぎ、不穏な「宣言」を記していた

【新連載エッセイ】
◆酒井順子/徒然草REMIX
──当代随一のエッセイストが七百年前の悩み多き同業者、吉田兼好に迫る

【追悼 北 重人】
◆池上冬樹/生きることの華やぎと寂しさ
──艶やかな文章と豊かな叙情――時代小説の名手の急逝を惜しむ

【連載第二回】
石田衣良/明日のマーチ
飯嶋和一/星夜航行

【好評連載小説】
赤川次郎/子子家庭の身代金 後編
北森 鴻/鏡連殺
高橋克彦/鬼哭鬼九郎
西村京太郎/岐阜羽島駅25時
楡 周平/虚空の冠
貫井徳郎/灰色の虹
宮部みゆき/ソロモンの偽証

【連載エッセイ】
嵐山光三郎/文士の舌
太田和彦/居酒屋百名山
柴門ふみ/恋のタネ
佐藤 優/落日の帝国 私のイギリス物語
山田詠美/ライ麦畑で熱血ポンちゃん
山本益博/マスヒロのあくび指南
河口俊彦/盤上の人生 盤外の勝負
フジモトマサル/終電車ならとっくに行ってしまった

第六回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
川柳うきよ大学/小沢昭一
次号予告

編集長から

隆慶一郎の五年間
 彗星のように現れ、流星のように消えた――。隆慶一郎が『吉原御免状』をひっさげて、小説の世界に登場したのは一九八四年。以降、『影武者徳川家康』、『一夢庵風流記』と数々の名作を発表し、八九年に六十六歳で世を去った。その間、わずか五年余。未完も含め、十五作の長編小説が遺された。
 ダイナミックな発想、自由で鮮烈な人物像、歴史の表層から隠れた「道々の輩」に向ける視線。その衝撃は、没後二十年の今も色褪せない。特集「隆慶一郎の道々」では、氏がどこから来て、何を変えたのか、もう一度探ろうと試みた。安部龍太郎氏と歴史学者・藤田達生氏の対談「歴史を疑え」、漫画家・原哲夫氏のインタビュー「『花の慶次』が生まれた夏」ほかに加えて、脚本家・池田一朗時代の名作シナリオ「騎馬奉行」と、エッセイ二編を発掘、再録する。
 小説特集は「警察&推理 五つの現場」。乃南アサ、今野敏の両氏を始め、こちらも手錬れ揃いの五編。


小説新潮編集長 高澤恒夫

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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