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Mystery Seller 2011 Spring〈とっておきの謎、売ります。〉

小説新潮 2011年3月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/02/22

発売日 2011/02/22
JANコード 4910047010312
定価 943円(税込)

ミステリが嫌いだという友人は、途中をすっ飛ばしていきなり解決編を読むという。
なぜそんな読み方をするのか聞くと、犯人が気になって仕方ないから、と答えた。
そんな読み方では、つまらないのは当たり前だ。
犯人は誰か?(Whodunit)というのは、ミステリの基本的な魅力の一つだろうが、答え合わせだけがミステリの面白さではない。
むしろ、謎が解かれる過程を楽しむものだろう。
謎の提示法も様々で、なぜそんなことをしたのか?(Whydunit)、どうやったのか?(Howdunit)など、ミステリを彩る要素は豊富に存在する。
さらに最近は、「そもそも何が起こっているのか?」というようなアプローチもあり、我々読者の楽しみは尽きることがない。
エンターテインメントには、多かれ少なかれ「謎」に類する要素が存在し、ミステリはそこを最大に演出したジャンルと言える。
その魅力を存分に味わっていただけたら、と思っている。

◆島田荘司/カシュガル幻桜記
――御手洗さんが語る、西域に散った孤高の魂

◆竹本健治/恐い映像
――僕を襲ったすさまじい恐怖の原因は、テレビCM?

◆北川歩実/確かなつながり
――見知らぬ部屋、開かないドア。これって、監禁?

◆長江俊和/杜の囚人
――緑に囲まれた山荘で、二人の新しい生活が始まる

◆麻耶雄嵩/失くした御守
――あの高嶺の花が、冴えない男と駆落ちしたらしい

【新シリーズ開始】

◆山田詠美/熱血ポンちゃんから騒ぎ
――華麗でトホホなポンちゃんの名物エッセイ、装いも新たに!

【連載エッセイ・コラム】
柴門ふみ/大人の恋力
酒井順子/徒然草REMIX
佐藤 優/落日の帝国 私のイギリス物語
沢木耕太郎/ひとりを除いて ポーカー・フェース

【好評読み切り連作】

◆平 安寿子/コーヒー、もう一杯
――清水の舞台から飛び降りた未紀。会社を辞め、借金をして、とうとうカフェをオープンさせた……はいいが、大問題が。肝心の客が来ないのである

【12ヶ月連続 総天然色付録 最終回】
しゃばけ花札

【新連載スタート】

◆浅田次郎/赤猫異聞
――維新の風吹く明治元年の暮れ。未だ江戸の世と変わらぬ政が続く伝馬町牢屋敷で、ある囚人に打首の沙汰が下るが……。待望の時代長編、ついに開幕!

【連載第二回】

◆畠中 恵/やなりいなり しゃばけ
――睡眠不足で、食欲も湧かない若だんなのために、守狐が稲荷寿司を作ってくれた。鳴家も兄やも大喜び。けれど、謎の“手”がひらひらと宙に現れて……
◆橋本 紡/ハチミツ
――諦観と倦怠をまとった澪、美人なのにとことん不器用な環、一家の主婦を引き受ける高校生の杏。おおむね平穏な三姉妹の暮しに異変が静かに忍びこむ

【江戸のもてなし】
――様々な日記や記録をもとに、江戸の宴会を再現する好評連載
巻頭グラビア/福田 浩・松下幸子
連載エッセイ/松井今朝子

【好評連載小説】
荒山 徹/蓋島伝――長宗我部元親秘録
飯嶋和一/星夜航行
池井戸 潤/鋼のアリス
石田衣良/明日のマーチ
大沢在昌/冬芽の人
今野 敏/転迷 隠蔽捜査4
佐々木 譲/警官の条件 最終回
小路幸也/荻窪 小助川医院
白川 道/神様が降りてくる
楡 周平/虚空の冠
原田マハ/夢をみた J'ai reve
宮部みゆき/ソロモンの偽証
山本一力/べんけい飛脚

第七回「新潮エンターテインメント大賞」募集要項
第二三回「日本ファンタジーノベル大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

ミステリと聞いて思い浮かぶのは?
 推理小説、あるいはミステリと聞いて、まず思い浮かぶのはどんなイメージだろう。もっとも一般的なのは、謎の殺人事件が起きて、怪しげな容疑者が沢山いるなかで、名探偵が意外な真犯人を指摘する、というようなものかもしれない。それは今も王道として多くの傑作が生まれているが、それだけがミステリではない。
 事件らしい事件が起こらなくても、そこに不可解な謎があり、読者が「なぜ?」ということに興味を持てば、それはミステリ的な読まれ方をしていると言えないだろうか。もっと言えば、日常的な行為の連なりであっても、「なぜそんなことをしたんだろう?」という点に興味が集まれば、それは広い意味でのミステリではないだろうか。つまり、エンターテインメント作品は、多かれ少なかれ、ミステリ的な要素を含んでいて、そこを特化して演出したのが、ミステリというジャンルだと言うことはできないだろうか。
 ミステリはその歴史の中で様々に発展、枝分かれして、「謎」の見せ方も多様化してきた。それらすべてを一堂に会することはできないが、今回の「Mystery Seller 2011」では、ある程度のヴァリエーションをご紹介できたのではないかと思っている。


小説新潮編集長 新井久幸

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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