ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:小説新潮 > 雑誌詳細:小説新潮 2012年7月号

第25回 山本周五郎賞決定発表

小説新潮 2012年7月号

(毎月22日発売)

特別定価1,047円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/06/22

発売日 2012/06/22
JANコード 4910047010725
定価 特別定価1,047円(税込)

第25回 山本周五郎賞決定発表

【受賞作】原田マハ『楽園のカンヴァス』(抄)
――この絵は真作か贋作か? そこに隠された、ピカソとルソーの秘密――前代未聞のアート・ミステリー

【受賞記念特別寄稿】「ルソーに会いに」
――へったくそ。なのに目が離せない。ルソーに取り付かれた著者が本作を書くに至った、二十数年の軌跡

【選評】石田衣良/角田光代/佐々木 譲/白石一文/唯川 恵

【歴代受賞作家 読み切り競演】
◆宇月原晴明/いわゆるゾンビですけど、なにか?
――キモメンとか言う香具師、逝ってよし! ゾンビまじでリア充だから

◆荻原 浩/カメレオンの地色
――やっと始めた大掃除。でも出てくるのはダメ男の思い出ばっかり!

◆恩田 陸/思い違い
――いつも行くコーヒーショップ。ふと耳にした、奇妙な会話から……

◆窪 美澄/よるのふくらみ
――私の流産に、親の葬式でも泣かなかった圭ちゃんは、大声で泣いた

【特集】納涼 夏の時代小説

◆宇江佐真理/紅唐桟 古手屋喜十 為事覚え
――捨吉の世話にてんてこ舞いの喜十の元に、高価な紙入れが持ち込まれ

◆諸田玲子/七夕の人 お鳥見女房
――彦星と織姫はいつかは一緒になれるの? 娘のいじらしい思いは

◆藤原緋沙子/葭切
――一目、あの方に逢ってから――結婚を前に、心揺れるおゆいだが……

◆矢野 隆/老人と罪
――奴は何者だ? 追い出したい一心で尾行を始めた藤兵衛だったが

◆辻井南青紀/消えた花婿 結婚奉行 手控え帖
――強面の新十郎の新たなお役目は幕臣の円満な縁組。一体どうすれば

【連載第二回】
◆京極夏彦/ヒトでなし
――職も家族も失い、家を出た俺の前に現れたのは変貌した旧友で

◆西村京太郎/十津川警部 新宮に徐福伝説の謎を追う
――刺殺事件の現場から姿をくらませた男を追って、十津川は新宮へ

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑
飯嶋和一/星夜航行
井上荒野/ほろびぬ姫
乙川優三郎/脊梁山脈
熊谷達也/海峡の絆
近藤史恵/キアズマ
今野 敏/宰領 隠蔽捜査5
佐々木 譲/獅子の城塞
柴田よしき/底のないポケットI 名前のない古道具屋の夜
白川 道/神様が降りてくる
新城カズマ/島津戦記
田口ランディ/サンカーラ――この世の断片をたぐり寄せて 最終回
野中 柊/波止場にて
葉室 麟/春風伝――高杉晋作・萩花の詩
坂東眞砂子/Hidden times
藤田宜永/風屋敷の告白 還暦探偵
本多孝好/魔術師の視線 最終回
誉田哲也/ドンナ ビアンカ
真山 仁/沈黙の代償
向田邦子 原作 烏兎沼佳代 構成/続・寺内貫太郎一家
山本一力/べんけい飛脚
米澤穂信/リカーシブル

【好評読み切り連作】
◆奥田英朗/スカイツリーの女
――県会議員の秘書を務める美里。センセイの愛人は、短大の同級生?!

◆朱川湊人/今は寂しい道
――雷の日に奇妙な動物を助けた男性。周囲で不思議なことが起き始め

◆千早 茜/やけど
――背中に彫ったイニシャル。血のにじむ手首。みんなあたしの記録だ

【連載エッセイ】
阿刀田 高/源氏物語を知っていますか
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人の恋力
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
嶽本野ばら/地嶽八景亡者戯 最終回
中野 翠/いちまき ある家老の娘の物語
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
宮城谷昌光/随想 春夏秋冬
山田詠美/熱血ポンちゃんから騒ぎ

次号予告/編集後記

編集長から

あたかも万華鏡のごとく
 今年から、山本周五郎賞の選考委員が替わり、新選考委員での初めての選考会となった。どんな選考会になるのか、緊張しつつも楽しみにして当日を迎えたが、談論風発の非常に濃い時間が流れていった。
 選考の過程は、山本賞の特徴の一つでもある、本誌掲載の長い選評を読んでいただくのが一番だけれども、中で最も感銘を受けたのは、視点によって幾重にも変わっていくその読み方の多様さだった。ある視点からは瑕疵と見られそうなことが、別の視点では意図であり美点となる。それは、そういった多様さを、作品が内包しているからに他ならない。
 議論の過程で、万華鏡のように見え方を変えていく作品とその読み方に、圧倒され続けた数時間だった。
 選考会の後、みなさん異口同音に楽しい選考会だったと仰っていて、それも印象的だった。来年の選考会が、早くも楽しみになっている。


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞