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特集【SFルネッサンス】瀬名秀明/初野 晴/岡崎二郎/結城充考/乾 緑郎/梶尾真治

小説新潮 2012年11月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/10/22

発売日 2012/10/22
JANコード 4910047011128
定価 943円(税込)

特集【SFルネッサンス】

SFとは言うまでもなく【Science Fiction】のことで、厳密な意味では、何らかの科学的仮想に基づいた小説を指す。しかし現代では、もう少し意味が広がっているようにも感じられる。現実とはちょっと違った世界や、不思議な出来事を描く作品は、「SF的」と紹介されることも多い。
その辺りの感覚を、非常に上手く表現してくれたのは藤子・F・不二雄で、自らのSF短編の世界を、「少し不思議な物語(Sukoshi Fushigi)」と称した。かつては映画の影響などで、SFといえば宇宙を舞台にしたスペースオペラがイメージされることが多かったが、日常の隣にも別世界はひっそりと口を開けているし、規模の大小と作品の面白さは必ずしも直結しない。
今回の特集「SFルネッサンス」は、「凄く不思議(Sugoku Fushigi)」な世界から、「少し不思議」な出来事まで、様々なSFの面白さをご紹介する。

◆瀬名秀明/未来からの声
――十三年先の世界から、おれにコンタクトする者がいるらしい

◆初野 晴/浜辺で歌うスース
――小さな町を訪れた招かれざる客。忌わしい過去があるようで

◆岡崎二郎/蟻塚
――荒野に取り残された研究者が見つけた、奇妙な形の目印とは

◆結城充考/微睡む娘
――謎めく積荷に寄り添う青年。過去と決意が交錯するとき――

◆乾 緑郎/機巧のイヴ
――人そっくりのカラクリ人形を――青年藩士が求めたこととは

◆梶尾真治/奈津美と重力波
――燃える恋と同時進行する異国の内戦。偶然? それとも……

【第八回新潮エンターテインメント大賞決定発表】

【受賞作】光本正記/白い夢(抄)
【選評】畠中 恵

【受賞作家 特別読み切り】
◆神田 茜(第六回受賞者)/カタログ
――片頭痛と妄想癖の48歳。俺が婚期を逃したのはどちらのせいか

◆水沢秋生(第七回受賞者)/僕らは世界を終わらせることができるんだ
――目の前に立ったのは、昔の同級生。これは僥倖か、災厄か…

【連載第二回】
◆仙川 環/マテリアル・ライフ
――赤ちゃんポストに失踪した女が現れた。なぜ彼女がここに?

◆酒井順子/地震と独身
――シングルであるから、働いていた。皆の「日常」をつなぐため

【連載最終回】
乙川優三郎/脊梁山脈

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑
飯嶋和一/星夜航行
京極夏彦/ヒトでなし
熊谷達也/海峡の絆
今野 敏/宰領 隠蔽捜査5
佐々木 譲/獅子の城塞
柴田よしき/底のないポケットV 名前のない古道具屋の夜
白川 道/神様が降りてくる
新城カズマ/島津戦記
西村京太郎/十津川警部 新宮に徐福伝説の謎を追う
野中 柊/波止場にて
藤田宜永/風屋敷の告白 還暦探偵
誉田哲也/ドンナ ビアンカ
向田邦子 原作 烏兎沼佳代 構成/続・寺内貫太郎一家
山本一力/べんけい飛脚

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
中野 翠/いちまき ある家老の娘の物語
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
宮城谷昌光/随想 春夏秋冬
山田詠美/熱血ポンちゃんから騒ぎ

次号予告/編集後記

編集長から

失われたSF魂を求めて
 SFと聞いて何を連想するかは十人十色だろうが、それを象徴する作品名は、世代によって変わってくるかもしれない。ある年代以上は『日本沈没』で、その下は『STAR WARS』、そして『時をかける少女』といった具合に。
 子供の頃こうした作品に触れた人たちにとっては、SFは非常に馴染みのある世界のはずなのに、大人になると共に段々と疎遠になってしまう。いや、SFから疎遠になるのではなく、小説や映画から疎遠になってしまうのかもしれないが、とにかくもったいないことは確かだ。
 幼い頃に接した作品は、その後に触れたどんな作品よりも印象に残るし、再度接した際、そのときの感覚まで一緒に蘇らせることがある。今回の特集では、懐かしい感じのするSFから最先端まで幅広くご紹介し、様々な感覚を刺激しようと試みた。
 かつてSFに心躍らせた経験を持つすべての人に、もう一度あのときめきをお届けできたら幸いである。


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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