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【新春読み切り大饗宴】荻原 浩/角田光代/北村 薫/曽野綾子/千早 茜/仁木英之/唯川 恵

小説新潮 2013年1月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/12/22

発売日 2012/12/22
JANコード 4910047010138
定価 943円(税込)


十二月に入ればすぐ街はクリスマスの装いで、イルミネーションがあちこちに灯るようになる。二十五日まで一気に盛り上がった後は、今度は年越しへ向けて慌ただしい日々が続いていく。イベントが続くこともあって、子供の頃は「お正月」と聞くだけでワクワクしてきたものだった。その刷り込みのせいか、サンタさんが来なくなって久しいし、お年玉も貰えないけれども、今でも新年が近づくと、慌ただしさとは別に心が躍る。
そして年が明けてしまえば、それまでとは打って変わった、嘘のような静寂が訪れる。
新年号は、十一本の読み切りと四本の新連載で皆さんをお迎えする。お正月の静かなひととき、小誌を傍らに楽しんでいただけたら、とても嬉しい。

◆荻原 浩/冷蔵庫を抱きしめて
――相性抜群の新婚夫婦、のはずだった。そう、食卓を囲むまでは

◆角田光代/どこかべつのところで
――自分のせいで逃げた猫。それを捜して行き着いた、妙な出会い

◆北村 薫/日常生活の冒険
――歌集を探して訪れた図書館。期限を越えて借りられているらしく

◆曽野綾子/放射線のゆりかご
――震災前後で何が変わったか。冷徹な眼差しの先に浮かぶものは

◆千早 茜/ねいろ
――サキちゃんが釣ってきた金魚は、何だかゆらめく胎盤みたいだ

◆仁木英之/競漕曲 僕僕先生
――そこはいずこか謎の島。劉欣を加えた一行を試練が待ち受ける

◆唯川 恵/怪猫伝 異譚
――これぞ妙技! 怪談の王道が変貌を遂げ、妖しく舞い降りる

――時代小説
◆宇江佐真理/鬼 古手屋喜十 為事覚え
――見世を訪れた異形の男に、喜十とおそめの間にはさざなみが

◆梶 よう子/めんないちどり みとや・お瑛仕入帖
――突然現れた父親の形見。川に沈んだはずじゃなかったの?

◆諸田玲子/鷹匠の妻 お鳥見女房
――伴之助が巻き込まれた騒動。密かに動けるのは珠世しかいない

◆矢野 隆/凛と十三郎
――藤兵衛を助けるべく孤独な闘いに挑む凛。そのとき十三郎は

【新連載スタート】
◆桐野夏生/抱く女
――七〇年代、吉祥寺。無為に過ごすことに力を注ぐ女子大生の日々

◆嶽本野ばら/傲慢な婚活
――凡人は俺に奉仕せよ。一流の屁理屈で世を渡ってきた男だったが

◆畠中 恵/しごとさがし しゃばけ
――盛り場で働くことになった若だんな。無事に仕事が見つかるか!?

◆宮下奈都/おついたち
――祖母は厳しい人だった。笑わないメアリー・ポピンズのように

【連載第二回】
◆平岩弓枝/私家本 椿説弓張月
――傷心を抱え、豊後国に辿り着いた為朝の前に現れたのは……

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑
飯嶋和一/星夜航行
今野 敏/宰領 隠蔽捜査5
佐々木 譲/獅子の城塞
柴田よしき/底のないポケットVII 名前のない古道具屋の夜
白川 道/神様が降りてくる
新城カズマ/島津戦記
仙川 環/マテリアル・ライフ
野中 柊/波止場にて
藤田宜永/風屋敷の告白 還暦探偵 最終回
向田邦子 原作 烏兎沼佳代 構成/続・寺内貫太郎一家
山本一力/べんけい飛脚

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
酒井順子/地震と独身
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
中野 翠/いちまき ある家老の娘の物語
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
宮城谷昌光/随想 春夏秋冬
山田詠美/熱血ポンちゃんから騒ぎ

次号予告/編集後記

編集長から

文芸誌のある生活
 雑誌「BRUTUS」の、「文芸ブルータス」という企画に参加させていただいた。同じ「文芸誌」でも、それぞれに個性と考え方があるもので、とても勉強になった。
 中でも最も感動したのは、この号のためだけに目次を観音開きにし、平背にし、雑誌の見た目まで変えてしまった「BRUTUS」の遊び心だった。「そんなの無理だよ」とか「できたらいいな」ではなく、面白そうだと思ったら「やってしまう」というのは、雑誌が忘れてはならない基本的な使命の一つだと思う。
 そして、この企画をきっかけに、「文芸誌で小説を読む」という行為を、沢山の人に楽しんで貰えたらいいなと思っている。
 連載が多くて新規参入は厳しいと思っている皆さん、新年号は十一本の読み切りと四本の新連載で、新たに読み始めるには最高の布陣。
 二〇一三年は、是非「文芸誌のある生活」を!


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞