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【推理小説的日常(ミステリーライフ)】伊与原 新/白河三兎/岩下悠子/乾 くるみ/日明 恩/真梨幸子/新野剛志/麻耶雄嵩

小説新潮 2013年2月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/01/22

発売日 2013/01/22
JANコード 4910047010237
定価 943円(税込)

【推理小説的日常(ミステリーライフ)】

普段の生活の中にも、意外に沢山の不思議や不可解が隠れている。些細なことでも、理屈が通らないのは気持ち悪いし、原因が分かったときの「そうだったのか!」という爽快感は筆舌に尽くしがたい。そうした様々な事象は、「日常の謎」と呼ばれるミステリの一ジャンルを形成してきた。つまり、誰の日常にも、推理小説的要素は潜んでいる。自分の生活は平凡で、そんな謎めいた出来事は起きないよ、という方も嘆く必要はない。鞄に一篇の推理小説を忍ばせて町に出る。そこにあるのは、もう推理小説的日常なのだから。

◆伊与原 新/五十二年目の遠雷
――暇をもてあます探偵に「雷探し」の依頼が舞い込んだ

◆白河三兎/手の中の空白
――俺は観覧車の係員。乗客の会話を盗聴するのが趣味だ。ところが…

◆岩下悠子/水底の鬼
――かぶると本物の鬼になってしまう――呪われた面の正体とは

◆乾 くるみ/小諸-新鶴343キロの殺意
――別荘地で起きた不自然すぎる殺人事件。犯人の真意は何処に?

◆日明 恩/担保調査の彼女
――信金マンが怪しい車を発見! ライバル銀行の調査と思いきや

◆真梨幸子/エンゼル様
――旧友と再会した喜和子は、幼い頃の残酷な願いを思い出すが

◆新野剛志/スモーキー
――フィリピンで男が殺された。復讐を依頼され、僕は日本に渡った

◆麻耶雄嵩/最後の海
――名士の家庭はややこしい。長男が詐欺事件を起こせば、次男は…

【リニューアルスタート】恋バナ盛り沢山の人気エッセイ!
◆柴門ふみ/大人恋愛塾

【連載第二回】
◆桐野夏生/抱く女
――雀荘とジャズ喫茶の街は直子の街。そして男たちの欲望の街

◆嶽本野ばら/傲慢な婚活
――不動産屋まで振り回し、わがまま放題の自称天才だったが……

◆宮下奈都/おついたち
――他人の人生に立ち入らない。そう決めて生きてきたはずなのに

【好評読み切りシリーズ】
◆高橋克彦/約束
――写真家がテレビの収録で一緒になったのは、妙に熱弁を振るう若手小説家。彼の一言が、記憶に埋もれた情景を揺り起こして

◆畠中 恵/こいさがし 「しゃばけ」シリーズ
――ひょんなことから見合いの手伝いをすることになった若だんな。数多の良縁を結べば、たいそう儲かると大貞親分は言うのだが…

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑
飯嶋和一/星夜航行
京極夏彦/ヒトでなし
今野 敏/宰領 隠蔽捜査5 最終回
佐々木 譲/獅子の城塞
柴田よしき/底のないポケットVIII 名前のない古道具屋の夜
新城カズマ/島津戦記
杉山隆男/メイのいない五月
仙川 環/マテリアル・ライフ
野中 柊/波止場にて
はらだみずき/ここからはじまる
平岩弓枝/私家本 椿説弓張月
向田邦子 原作 烏兎沼佳代 構成/続・寺内貫太郎一家
山本一力/べんけい飛脚

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
酒井順子/地震と独身
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
中野 翠/いちまき ある家老の娘の物語
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
宮城谷昌光/随想 春夏秋冬
山田詠美/熱血ポンちゃんから騒ぎ

次号予告/編集後記

編集長から

推理小説的日常への招待
 一月十四日、東京に大雪が降った。といっても、「東京にしては」で、雪国育ちの方から見れば、大したことないレベルだったろう。首都圏がいかに雪に弱いか、改めて実感した出来事だった。
 白く雪化粧した地面を久しぶりに見て、すぐに『白い僧院の殺人』を思い出してしまったのは、今月号がミステリ特集なのとおそらく無関係ではない。実は、雪の上の足跡を、扉や目次のビジュアルに使えないかと思っていたのだった。だが、今ひとつ祈りが弱かったようで、校了が終わった後の積雪となり、残念ながら日の目を見ることはなかった。
 それでも、自分の残した足跡を見ながら、妙にワクワクした気持ちになった。見ようによっては、何ということもない普段の生活の中にもミステリ的なギミックが紛れ込んでいる、ということだ。是非、今月号を手に町へ出て、推理小説的日常を掴んでいただきたい。


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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