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特集【熊猫堂鬼談】阿部智里/恩田 陸/北大路公子/北村 薫/高橋克彦/二宮敦人/花房観音

小説新潮 2013年8月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/07/22

発売日 2013/07/22
JANコード 4910047010831
定価 943円(税込)

特集【熊猫堂鬼談】

夏の夜、皆で集まって怪談を楽しむ。活字でその雰囲気を伝えたくて、ホラーではなく怪談の特集にこだわってきた。

今年の特集は岡本綺堂のひそみにならい、ちょっと変わった活字怪談の進化形。

車座の一席を空けて、皆様のご参加をお待ちしている。

――どんな趣向かは、特集扉137頁を。

◆阿部智里/恩田 陸/北大路公子/北村 薫/高橋克彦/二宮敦人/花房観音
――どの怪異を誰が語るのか、あなたは見破れますか? 答えは本号のどこかに!

発掘【幻の初期作品公開】

同人誌に発表されたきり眠っていたタイムカプセルが、半世紀を経て遂に開かれる!

◆星 新一/ミラー・ボール
――風変わりなクイズが巻き起こす騒動――。ショートショートの神様の原点がここに!

特集【SFルネッサンスR】

昨年ご好評をいただいたSFの特集を再びお贈りする。SF界の巨人〈星新一〉の単行本未収録作品と共に、想像力の極限をじっくりとお楽しみいただきたい。

◆乾 緑郎/神代のテセウス
――公儀隠密・甚内に立ちはだかる謎に次ぐ謎。使途不明金の行方は…

◆小川一水/御機送る、かなもり堂
――“パートナー”を喪うとき、人は、新たな弔いの儀式を欲した

◆小林泰三/量子密室
――「妻を不確定に殺害した」確信犯の不敵な挑戦に、超限探偵Σは

◆月村了衛/焼相 機龍警察
――残虐非道な立て籠もり犯に、新型兵装の死神(ライザ)が大鎌を振り下ろす

【新連載】
◆あさのあつこ/ゆらやみ
――徳川の世の末、石見の闇に生まれた女。業火のような恋が運命を変えて

◆森 達也/チャンキ
――高校生・チャンキの生きる21世紀、日本にはある病がはびこっていた

【連載第二回】
◆乙川優三郎/サヤンテラス テン・ストーリーズ
――海辺の町のホテルの名前は、二人が出会った国の言葉だった

◆原田マハ/暗幕のゲルニカ
――空襲でバスクの古都は壊滅した。その報を知り、憤怒のピカソ

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑
安部龍太郎/冬を待つ城
飯嶋和一/星夜航行
石井光太/蛍の森
桐野夏生/抱く女
柴田よしき/転がらない球I 名前のない古道具屋の夜
新城カズマ/島津戦記
杉山隆男/メイのいない五月
仙川 環/マテリアル・ライフ 最終回
嶽本野ばら/傲慢な婚活
西村京太郎/生死の分水嶺・陸羽東線
野中 柊/波止場にて
乃南アサ/水曜日の凱歌
早見和真/イノセント・デイズ
はらだみずき/ここからはじまる 最終回
平岩弓枝/私家本 椿説弓張月
山本一力/べんけい飛脚

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人恋愛塾
酒井順子/地震と独身
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
宮城谷昌光/随想 春夏秋冬
山田詠美/時計じかけの熱血ポンちゃん

第二五回「日本ファンタジーノベル大賞」候補作発表
第一回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

暗闇の中、怪を語る 語り手の顔は見えない
 何とかの一つ覚えと言われそうだが、去年も一昨年も、夏には怪談の特集を行なってきた。日本人はやはり、ホラーじゃなくて怪談だろう、という単純な思想による。とはいえ三回目ともなればマンネリ感も出てくる。どうせやるならちょっと変わった怪談ができないかと考えていたところ、編集部でなかなか尖ったアイディアが出た。
 目次でも本文でも、作品と書き手の繋がりを明らかにせず、誰がどの話を書いたのか分からないようにしたらどうか、というものだった。神楽坂の熊猫堂という本屋に集まった人々が暗闇の中で怪を語る――だから、語り手が分からない――という設定で、岡本綺堂の『青蛙堂鬼談』の向こうを張ってみようというのだ。かなり特殊な趣向なので、成立するか心配ではあったが、それは杞憂に終わった。熊猫堂に集った豪華な面々が語る怪異の数々を、語り手の推理も含め、車座に同席しているつもりで楽しんでいただきたい。


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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