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特集【秋深し 時代小説 収穫祭】西條奈加/青山文平/梶よう子/天野純希/野口 卓

小説新潮 2013年10月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/09/21

発売日 2013/09/21
JANコード 4910047011036
定価 943円(税込)

特集【秋深し 時代小説 収穫祭】

猛暑も一段落して、じっくり何かに取り組むには打って付けの季節になってきた。昔から秋に関しては、「芸術の秋」「食欲の秋」など、季節とは必ずしも関係なさそうな言葉と結びついて、「せっかくだから始めましょうよ」という誘惑が多い。

「小説新潮」はもちろん「読書の秋」を推奨するのだが、そもそも小誌を手に取って下さっている方には不要なお誘いかもしれない。

そんな皆様には、今まであまり読んでこなかったジャンルへの挑戦をお薦めしたい。何となく敬遠してきたジャンルも、ひとたび手を出してみるや、「なぜ今まで読まなかったんだろう」と悔やむことになったりもする。しかしそれは、喜ぶべきこと。これから先、今まで知ることのなかった膨大な作品を、新鮮に楽しむことができるからだ。
今月は、時代小説の特集に加え、シリーズ読み切りも大ボリュームでお届けする。新しい出会いのきっかけにしていただければ嬉しい。

◆西條奈加/弥生鳶 善人長屋
――小間物売り、実は掏摸の安太郎が危ない? 力を合わせる長屋の面々

◆青山文平/夏の日
――貧しい百姓へ放たれた金を要求する矢文。騒動とは無縁の村で何が

◆梶よう子/化粧映え みとや・お瑛仕入帖
――益次の企みを慮り、悶々とするお瑛。そこへ美人の内儀が訪れて

◆天野純希/義元の呪縛
――打倒信長――それは、己の足枷から自由になれる唯一の方法だった

◆野口 卓/火吹竹
――「三ざる」の心得を破った女髪結。最初は軽い気持ちだったけれど

【新連載スタート】
◆椎名 誠/じいじいのヨロコビ
――じいじいシーナが現在進行形でつづる、三匹の孫との至福の日々

【連載第二回】
◆グラビア 青山裕企/お仕事ちゃん
――子供が親の職場で働いてみたら? 大人気の写真家が写し出す現代の親子

◆シリーズ「しゃばけ漫画」
雲田はるこ/二ノ巻 ほうほうのてい
――若だんなたちが、落語の世界にやって来た! 話題沸騰のトリビュート漫画企画、今回はオリジナルストーリーでご覧あれ。

【豪華読みきり饗宴】
◆荻原 浩/アナザーフェイス
――相次ぐ“僕”の目撃談。しかし僕に記憶はない。一体誰だ?

◆窪 美澄/瞬きせよ銀星
――忘れたくて、離れたくて、転勤を受け入れた。新しい町に期待もない

◆今野 敏/自覚 隠蔽捜査外伝
――住宅街で強殺事件が発生! 捜査員の発砲を巡り、関本刑事課長は

◆垣根涼介/さざなみの王国 君たちに明日はない PART5
――内気で緊張症の元「変な子」が、修業のつもりで選んだのは接客業?

◆唯川 恵/山姥 異譚
――山中で迷った父子が見つけた人家の灯り。一夜の宿を求めて訪うが

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑 最終回
あさのあつこ/ゆらやみ
安部龍太郎/冬を待つ城
飯嶋和一/星夜航行
乙川優三郎/オ・グランジ・アモール テン・ストーリーズ
桐野夏生/抱く女
柴田よしき/転がらない球III 名前のない古道具屋の夜
杉山隆男/メイのいない五月
嶽本野ばら/傲慢な婚活 最終回
西村京太郎/生死の分水嶺・陸羽東線
野中 柊/波止場にて
乃南アサ/水曜日の凱歌
早見和真/イノセント・デイズ
原田マハ/暗幕のゲルニカ
平岩弓枝/私家本 椿説弓張月
森 達也/チャンキ

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人恋愛塾
酒井順子/地震と独身
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
宮城谷昌光/随想 春夏秋冬
山田詠美/時計じかけの熱血ポンちゃん

第十二回「小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞」決定発表
第三回「日本医療小説大賞」のお知らせ
第一回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

挑戦の秋
 秋になると必ず出てくる言葉として、「芸術の秋」「読書の秋」「食欲の秋」がある。食欲は、実りの季節である秋との親和性が高いが、芸術や読書は必ずしも秋とは直結しない。「過ごしやすい気候で夜も長いから、本でも読んで過ごしましょうよ」、というのは分かっているし、読書推進の一環だという認識もあるのだが、それでもなんで秋だけ、という意識は常にある。もっとも、ここをご覧になっている方には「読書の秋」など不要で、いつも書物に親しんでおられることだろう。
 ならばこの秋は、今まで読んでこなかったジャンルに挑戦されてはどうか。食わず嫌いという言葉があるように、読まず嫌いもきっとある。一読、今まで遠ざけて来たことを悔やむ、ということがあるかもしれない。
 今月は時代小説の特集だが、同じボリュームで読み切り短編もお届けする。新しい出会いの一助にしていただけたらと思っている。


小説新潮編集長 新井久幸

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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