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特集【ザ・プロフェッショナル――仕事人、仕事を語る】稲船敬二/大和田浩子/櫻井八重/須藤 晃/長崎尚志/前田建設ファンタジー営業部/山本一郎

小説新潮 2013年11月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/10/22

発売日 2013/10/22
JANコード 4910047011135
定価 943円(税込)

特集【ザ・プロフェッショナル――仕事人、仕事を語る】

自分の仕事を聞かれたら、「編集者」になるのだけれど、編集者がどういう仕事か説明するのは難しい。いまだに、作家の隣で原稿を待つイメージを持っている人は多いし、傍らからはまったく仕事に見えない局面もある。それはなにも、編集者に限ったことではない。

昨今、いわゆる「お仕事小説」が人気を博し、沢山の書き手が、様々な職業に取材して作品を創り出している。名前だけは知っているが、実態が分からないという仕事は沢山ある。人気の秘密は、小説の面白さもさることながら、自分の知らなかった世界を知る、という楽しみにもあるだろう。

そこで今回は、普段あまりお目にかかれない仕事の第一人者に、「小説」で仕事を紹介してくれるよう依頼した。「舞台裏はそういうことになっていたのか」という好奇心を満たしてくれるのはもちろんだが、本当のプロフェッショナルの仕事ぶりや矜恃を、じっくりと味わっていただきたい。

◆長崎尚志/最後の共犯者
――漫画はあまり好きじゃない――そんな新人が伝説の編集長と出会い

◆櫻井八重/エース・ハンター
――こちらを向かない相手を落とす。心理を読み、ポイントを外さずに

◆大和田浩子/たいようの招待状
――素人プランナーに寂れたビジネスホテル――結婚式は実現できる?

◆山本一郎/数字は踊る
――会社の実態は、すべて数字に表れる。微笑んでくることもあれば

◆稲船敬二/魂の刻印
――謳い上げろ、お前が感じる面白さを。できないなら作る価値はない

◆前田建設ファンタジー営業部/砂の魔術師
――トンネル工事に挑む期待の新人。彼には社外秘の特殊能力があった

◆須藤 晃/マーロン・ブランドは笑わない
――裸の土地に発芽させ、厄介事を交通整理。オレは農業をする警察官か

【新連載スタート】
◆伊東 潤/死んでたまるか
――連戦連敗ものともせず。動乱期を駆けぬけた大鳥圭介の一代記、開幕!

◆樋口有介/金魚鉢の夏
――弱者も無法者も島流し。売春も合法化。ようこそ、安全で豊かな日本(ジパング)へ

【連載第二回】
◆椎名 誠/じいじいのヨロコビ
――同居する孫の思わぬ反応。じいじいシーナは日常を“再発見”する

【好評グラビア・漫画】
◆グラビア 青山裕企/お仕事ちゃん
――子供が親の職場で働いてみたら? 大人気の写真家が写し出す現代の親子

◆シリーズ「しゃばけ漫画」
えすとえむ/三ノ巻 月に妖(あやかし)
――毎月異なる漫画家がしゃばけの世界に新たな命を宿す、贅沢トリビュート。秋の夜長、風邪っぴきの若だんなは、果たして月見に行けるのか?

◆柴田ゆう/しゃばけ4コマ
――鳴家に、一太郎に、白沢が! かわいくて面白い4コマ劇場!

【好評連載小説】
あさのあつこ/ゆらやみ
安部龍太郎/冬を待つ城
飯嶋和一/星夜航行
乙川優三郎/フォトグラフ テン・ストーリーズ
桐野夏生/抱く女
柴田よしき/転がらない球IV 名前のない古道具屋の夜
西村京太郎/生死の分水嶺・陸羽東線
野中 柊/波止場にて
乃南アサ/水曜日の凱歌
早見和真/イノセント・デイズ
原田マハ/暗幕のゲルニカ
平岩弓枝/私家本 椿説弓張月
森 達也/チャンキ
山本幸久/アシタ、デキル?

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人恋愛塾
酒井順子/地震と独身 最終回
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記 最終回
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
宮城谷昌光/随想 春夏秋冬
山田詠美/時計じかけの熱血ポンちゃん

第一回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

仕事人の魂に触れる
 親が教員だったので、長いこと、身近な大人はすべて「先生」という職業の人達だった。大学の卒業を控え、就職活動をする段になって初めて、先生以外の職業を知らないことに気づき、愕然としたことを思い出す。
 世の中には実に様々な仕事がある。自分が居る会社にしても、部署が異なれば別会社と言えるくらい違うのだから、就いたことのない仕事を分かれというのが無理な話なのかもしれない。
 ――名前は聞いたことがあるけど、何をしてるのか分からない。どんな仕事なのか、その道の第一人者に小説にしてもらったら面白いんじゃないか。
 そんな好奇心から始まった企画だが、作品を読んでいるうちに、業界の裏舞台については段々と二の次になり、仕事人達の熱意や矜恃に引き込まれ、呑み込まれていった。やはり「本物」は違う。そう痛感し、襟を糺しながらの校了作業は、辛く厳しくはあったが、初心に返らせてくれた貴重な時間でもあった。


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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