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特集【時代小説 花吹雪】西條奈加/青山文平/梶 よう子/天野純希/山本一力(新連載)

小説新潮 2014年4月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/03/22

発売日 2014/03/22
JANコード 4910047010442
定価 943円(税込)

特集【時代小説 花吹雪】

 花、と聞いてまず浮かぶのは何だろう。今の時期に限らずとも、桜を思う人は多いはずだ。日本人がいかに桜好きかは、春先の街角を見ればよく分かる。こんなところにまで、とびっくりするくらい、街中に桜が溢れている。
 また、「桜」の意でつかわれる「花」のいかに多いことか。
 花嵐、花筏、花篝、花霞、花雲、花衣……、すべてが桜に関連した意味を持っており、今回の特集タイトル「花吹雪」もまた、吹雪の如く桜が舞うさまを示している。
 そうした散り際の美しさと潔さも、武士の生き様に似て、昔から日本人に好まれている所以なのかもしれない。

◆西條奈加/子供質 善人長屋
――必ず戻るのでこの子を預かってください……子供が質草にされた?

◆青山文平/三筋界隈
――用心棒稼業でその日暮らしの私だが、心配の種は給金ではなく……

◆梶よう子/鼻下長物語 みとや・お瑛仕入帖
――近所にできた四文屋の主は元花魁! 開店前から男共が大騒ぎで

◆天野純希/直隆の武辺
――己の将としての才覚を信ずるも活躍の場がなく、腐る直隆だったが

◆山本一力/マックでよい(新連載)
――インディアンの末裔は日本上陸を切望し――漂流民の物語、第一幕!

【新連載】
◆江上剛/鬼忘島 金融検査官・伊地知の密命
――嵐の夜、銀行幹部が不審な痕跡を残し失踪。只の喧嘩か、それとも――

【新連載コラム】
◆本の森
――新刊文芸書の中から、選りすぐりのお薦めを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助/〈医療・介護〉東 えりか/〈ホラー・ミステリ〉村上貴史

【好評読み切りシリーズ】
◆今野 敏/検挙 隠蔽捜査外伝
――検挙率をアップせよ! 突然の通達に強行犯係の一匹狼・戸高は

◆岩下悠子/黒髪盗人
――消えたかつらの謎に大騒ぎの撮影所。犯人に心当たりのある美山は

◆畠中 恵/仁吉と佐助の千年 しゃばけ
――若だんなに三つの見合い話が。仁吉と佐助はなにやら困り顔で――

◆シリーズ「しゃばけ漫画」
村上たかし/八ノ巻 あやかし帳
――あやかしたちはきっといる。現代の学校を舞台に描く不思議な日常

【好評グラビア】
◆グラビア 青山裕企/お仕事ちゃん
――子供が親の職場で働いてみたら? 大人気の写真家が写し出す親子像

【好評連載小説】
あさのあつこ/ゆらやみ
阿刀田 高/花酔い 絵のない肖像4
安部龍太郎/冬を待つ城
飯嶋和一/星夜航行 最終回
伊東 潤/死んでたまるか
小川 糸/サーカスの夜に
乙川優三郎/ビア・ジン・コーク テン・ストーリーズ 最終回
桐野夏生/抱く女
柴田よしき/転がらない球VIII 名前のない古道具屋の夜
杉山隆男/メイのいない五月
乃南アサ/水曜日の凱歌
葉室 麟/鬼神の如く 黒田叛臣伝
早見和真/イノセント・デイズ 最終回
原田マハ/暗幕のゲルニカ
樋口有介/金魚鉢の夏 最終回
平岩弓枝/私家本 椿説弓張月 最終回
森 達也/チャンキ

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人恋愛塾
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
椎名 誠/じいじいのヨロコビ
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
宮城谷昌光/随想 春夏秋冬 最終回
山田詠美/時計じかけの熱血ポンちゃん

第一回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

春を想う
「花吹雪」で思い浮かぶのはどんな光景だろう。おそらく、花びらが吹雪のように舞い散っている様で、桜の花びらを思い描いているはずだ。
 花見、という言葉を出すまでもなく、日本では「花」といえば「桜」を指すことが多い。一年中咲いているどころか、春先のほんの一週間くらいしか咲いていないのに、日本人の心にこんなにも深く刻まれているのはなぜなのだろう。
 それは、花そのものの魅力もさることながら、咲く時期にも関係があるのではないか。四月、新生活が始まるのと機を同じくして咲き誇る花は、新しい環境への不安よりも、希望や期待を抱かせるに足る美しさを持ち、あっという間に散る様は、悲しみや寂しさよりも、「来年もまたこの桜を見たい」という、この先一年の気持ちの下支えになっているような気がする。
 今年度もまた、気持ちを新たにして「小説新潮」を作っていきたい。


小説新潮編集長 新井久幸

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 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

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 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
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