毎月7日発行
1,200円(税込)
発売日:2024/04/06
◎昨年「植物少女」で三島由紀夫賞を受賞した朝比奈 秋の力作中篇「サンショウウオの四十九日」(210枚)を発表する。主人公は29歳の双子姉妹、杏と瞬。ふたりはひとりであり、ひとりはふたりである。どういうことか。杏と瞬は胎児の時よりひとつの身体に融合した「結合双生児」(実在する症状)なのだ。ふたつの精神が均衡と分裂をはらみ浸透しながら、肉体はひとつである双生児。まるで白と黒の陰陽図のような生を、筆者は実に真摯かつ細やかに描いてみせた。彼女たちの状況は特殊だが、精神とその器である肉体が調和を失い軋みをあげる感覚は私たちにとって身近であり根源的なものではなかったか。気鋭の筆者が特異な主人公に託して探究したのは普遍的な精神のドラマなのだ◎この号をもって編集長が交代する。小誌をつねに支えてくださった書き手や読者の皆様に心から御礼を申し上げる。新編集長・杉山達哉による次号は創刊120周年記念号だ。どうぞご期待ください!
編集長・矢野 優
発売日 | 2024/04/06 |
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JANコード | 4910049010549 |
定価 | 1,200円(税込) |
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文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。