
●デポチプからイーマートまで
年々歳々スマートになってゆくソウルにくらべると、こちら釜山は、大阪のミナミを拡大したような泥臭さが魅力です。東方神起ではなく、演歌が似合う街なのですね。KTXが開通して以来、駅こそモダンに様変わりしたけれど、一歩外に出ると、あの独特の慶尚南道訛りがシャワーのように押し寄せてきます。
食に関しても、イタめしからフレンチまで揃うソウルに対し、こちらはどこまでも食い倒れ。実質本位の味が楽しめます。
釜山に着いて最初に入ったのは、サムギョップサルのお店でした。
なんだ、豚の三枚肉か、それなら、ソウルが本場ではないか、という声が聞こえてきそうです。が、ちょっと待って欲しい。こちらのサムギョップサル屋さんでは、豚の皮も一緒に焼くんです。テジコップテギといいまして、とてもモチモチして粘り気があり、甘い味がします。コラーゲンたっぷり。美容にもよいので、このお店は若い女性でいっぱいでした。
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サムギョップサル屋さん。 |
ソウルでお酒といえば、ソジュ(焼酎)。中でも真露の新ブランドの「チョウムチョロム」(Like a virginの意味です)が大ブームでした。同じソジュでも、釜山っ子は、「C1(シーワン)」という地元企業のものを好みます。また、ソジュ以外に、マッコルリ党も多い。釜山の北の金井山に工場を持つ「山城マッコルリ」が代表的な地元の銘柄です。
主にマッコルリを呑ませる酒場のことを、“デポチプ”といい、労働者の格好の憩いの場となっています。また、夕方になると、あらゆる大通りに、ビニールハウスの屋台が出没します。こちらは、“ポジャンマチャ”っていいます。ソウルにもポジャンマチャはあるけれど、釜山のように多くはない。また、釜山では、ポジャンマチャでも、マッコルリ党が主流みたいです。
通訳・運転手にボディガードを兼ねてくれたイ・ギヒョクさんにお願いし、ロッテホテルの裏手のポジャンマチャに連れていってもらう。マッコルリに焼きサバを注文。イスタンブールでは、食パンに焼きサバをはさんで食べるらしいが、やっぱり、港町には、サバがお似合いだと思う。
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ロッテホテル裏のポジャンマチャで。 |
翌日は、早朝から夜まで、主な取材先の「チャガルチ市場」を行ったり来たり。その顛末は本編で、是非どうぞ。
朝は、ホテルではとらず、お粥を食べにいくのが、韓流の掟。われわれが選んだのは、「済州家」というお店でした。その名の通り、済州島で海女をされていたオモニが切り盛りしており、産地直送のアワビが山盛り入って、15,000ウォン。やはり名物のウニのスープは7,000ウォンでした。
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済州家のあわび粥。 |
昼は「国際市場」に行き、百花繚乱の屋台をつまみ食いして歩きました。なかなかいい感じのアジュンマが開くお店では、トッポッキとパジョンを。熱々のもち米のホトックを食べた後は、ユブジョンゴル(油揚げ鍋)に挑む。こちらは饂飩とおでんをミックスしたようなお味。焼き餃子やカボチャのお粥も美味しそうだったが、そちらは断念しました。高知名物のイモケンピのそっくりなおやつも、あちこちで売られていました。
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国際市場のユプジョンゴル。 |
チャガルチ市場には、新旧ふたつのビルがあり、どちらにも、ぎっしりと魚屋さんが並び、水槽の中から鮮魚やエビ・タコ・イカ・貝の類を選ぶと、その場で調理し、食べさせてくれます。われわれはイさんのチングが営む「チョリ商会」の椅子席に陣取りました。
ヒラメやイイダコの刺身をもらい、ソイを焼き魚にして食べました。醤油をつけてもいいが、韓国では、刺身はコチュジャンでいただくのが一般的のようです。ちょうど、WBCの韓国対メキシコ戦をテレビでやっていて、魚屋のアジョッシやオッパたちも、画面に釘付けのようでした。
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これが、チャガルチ市場名物のユムシ(海ミミズ)。 |
夜は本編でも紹介した「釜山浦」という酒場に行きました。このお店の存在は、朝日新書「韓国・下町人情紀行」(著者・鄭銀淑さん)で知りました。この書物では、地元の作家やジャーナリストが集う文人酒場と紹介されており、今回の取材では、絶対に行きたい場所のひとつだったのです。
住所を辿ってゆくと、釜山タワーに近い中央洞の路地裏にポツンと釜山浦というネオンが輝いていました。中に入ると、確かに、作家の詩文や画家の絵が壁いっぱいに飾ってあり、なかなかの雰囲気を醸しております。奥では、いかにもメディアの人間らしいグループが、酒盛りをしていました。
ここでは、トンドンジュというマッコルリの一種のお酒に、パジョンを頼みました。
パジョンは、チヂミのことで、釜山のものは、土地柄からか、牡蠣、イカなどのシーフードがたっぷりつまっています。

(左)文人酒場・釜山浦のトントンジュとシーフードたっぷりのパジョン。パは葱、ジョンはチヂミの意味。(右)釜山浦の店内(2階)。とても知的な雰囲気があります。
トンドンジュは、ひょうたんのお玉でしゃくって、酒器に入れて呑みます。トンドンジュは、マッコルリをさらに呑みやすくした感じで、とても口当たりの爽やかなお酒でした。
釜山最後の日は、昼に馬山名物のアグチム(アンコウをもやし・せりと一緒に煮たもの)をいただき、夜は、カメラマンのA青年が、どうしてもカルビを食べたいとせがみますので、「アップジョン・カルビ」というちょっぴり高級なお店で、韓牛を堪能しました。
2度目の韓国取材で、やっと、牛肉にありついたA青年はとても幸せそうでした。この店は、金井区という郊外にあります。
イさんが、夕食の後、「E-mart」という名前の巨大なスーパーに連れていってくれました。イオンのようなつくりで、食料品売り場に行き、韓国のりやキムチを物色しました。おそらく、免税店の値段の半分以下でしょう。
大食堂のメニューを見ると、ジャージャーメンやピビンバプに混じり、蕎麦、天麩羅、寿司といった日本食が健闘しておりました。
僕は、電気製品売り場で、セール中の韓国語の電子辞書も買いました。「iriver」社のもので、とてもスタイリッシュ。日本円にして約1万円。とても得をした気分になりました。皆様も、韓国旅行のおりは、ぜひ、郊外のスーパーに立ち寄られることをお勧めします。
【耳寄り情報~♪】
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