
バンクーバー特集号の取材で訪れたソルト・スプリング島では、農業に関していろいろと考えさせられました。
日本でも最近、見直しがはじまっている農業。
自然相手で辛くて時間もかかるのに、もうからない。それでも、自分たちの命の源をもっと大切にしたい、そんなおもいを抱きはじめた若者が増えているような気がします。スーパーでも有機野菜のコーナーが増えているし、生産者の名前が明記された野菜もよく目にしますよね。

ソルト・スプリング島のサタデー・マーケットでは、色鮮やかで
美しくディスプレイされた有機野菜が印象的でした。
![]() |
標高600メートル弱のマックスウェル山のそばに農場をかまえるのは、カリスマ・ファーマー、マイケル・エイブルマンさん。80年代に、大量の農薬をつかうアメリカの大規模農業に疑問を呈した人です。世界に先駆けてアメリカ西海岸で有機農場をはじめたマイケルさんは、この農場フォックスグローブ・ファームを5年前に買いました。50種以上の野菜をここで育てています。 |
彼の農場では夏のあいだ、さまざまなワークショップが開催されます。ジャムの作り方のほか、写真の教室まであります。マイケルさん、農業は独学だそうですが、写真の学校に通ったことがあるとか。「My Farming is an art.(僕の農業はアート)」だから、マーケットのディスプレイに2時間半を費やします。
「有機農業だけではまだ十分ではない。常にメインストリームに疑問を投げかけるのが僕の仕事だとおもっている」。彼の農業哲学は「Beyond Organic」というドキュメンタリー映画でも紹介されていて、ナレーターはなんと、メリル・ストリープ。著作はこれまで3冊出版されていますが、そのうち「On Good Land」の翻訳本「この土地がくれたもの」(フレックス・ファーム発行)が、日本でも手に入ります。
クランベリー摘みの季節。 |
![]() |
箱に入れられたクランベリーは、 |
![]() |
今回、私たち取材チームは、フォックスグローブ・ファームの敷地内にあるログ・ハウスに宿泊しました。

100年以上は経っている木造建築ですが、

中はもちろんきれいに改装してあります。ここにはふだん、3日間の
ワークショップ参加者が宿泊することが多いそうです。
![]() |
大きなキッチンが付いているので、レストランのシェフが泊まりに来て、畑の野菜を使って料理の研究を行ったりもします。2階のベッドルームには、窓からさんさんと陽が射すので、朝は早起きできます。 |
もう一軒、訪ねた
ストーウェル・レイク・ファームには、一般の人用の宿泊施設はありませんが、ウーファーを受け入れています。本誌(2010年3月号「カナダ特集号」)でも紹介していますが、オーガニック農場で働く代わりに、食事と宿を提供してもらうシステムが、ウーフ(WWOOF=Willing Workers On Organic FarmsあるいはWorld Wide Opportunities on Organic Farms)です。日本の場合、
ウーフジャパンに登録をすると、世界の農場の受け入れ先の情報が手に入ります。この農家ではたまたま、二人の日本人女性に出会いました。そのうち一人の方は、バンクーバーで働いていて、こちらで農業体験をしてみたいとやってきたそうです。さまざまな国からやってきたウーファーたちと一緒に食事をつくって食べるので「知らなかった料理を覚えられるし、なによりも野菜が美味しいし、ここはまるでパラダイス。日本でも農業をやってみたいとおもいました」と、農業生活を満喫されている様子でした。
![]() |
![]() この農場の場合、ウーファーはパオに宿泊。簡素に見えますが、中はかなり広いです。敷地内にはヨガスタジオもあり、希望者は予約すれば参加できます。 |
他の農家では、農場主の息子さんと結婚した日本人女性にも出会いました。彼女も元々はウーファーだったそうです。
9月のソルト・スプリング島では、日本人観光客には一人も出会わなかったのですが、彼女によれば、いま島の農場で働いている日本人は少なくとも20人はいる、とのこと。この島はもしかして、日本の農業の未来を担ってくれる若者たちを育ててくれているのかもしれない、そんなことを考えて、なんだかとてもあたたかい気持ちになりました。
(by こぐま)






