「旅」編集部が取材先やブレイク中に思わずGETした情報や、プレゼントページの商品をより深く知るための情報など、本誌「旅」を2倍楽しめる情報をアップしています。
影絵のイラストレーターさん

ハワイ特集(2010年7月号)、ご覧になっていただけましたか? 最初の見開き扉のイラスト、かなりインパクト、ありませんでしたか? 
イラストレーターの加藤妙子さんに描いていただきました。

ハワイ特集(2010年7月号)、見開き扉のイラスト。

(「旅」2010年7月号より)

こちらが見開き扉のイラスト。
特集テーマのひとつ「ハワイの神話」にちなんで、
神話に登場する女神や先住民族を、
版画のような独特のタッチで描いていただきました。

加藤さんはフリーランスでイラストレーションのお仕事をするかたわら、「おと絵がたり」という活動をされています。
大型の影絵巻とオリジナルの音楽と語り手が一体となって、お話を表現するのが「おと絵がたり」です。市民ホールなどの公共施設や小学校をまわって、子供たちに「おと絵がたり」を披露し、物語のおもしろさを伝えているのです。

とても魅力的な絵とおはなしなので、その中のひとつをここでご紹介させていただきます。本来は絵巻ですが、ここでは絵をひとつひとつ、場面ごとに切り離して並べました。
おはなしは、「神地(ゴージ)とおばけ寺」。
どうぞ楽しんでくださいね。

●神地(ゴージ)とおばけ寺

このお話は川崎市中原区に伝わる昔話です。(川崎市の昔話より)
文:萩坂 昇
影絵:加藤妙子


むかしなあ、中原区の神地(ゴージ)に坊さんのいないやぶれ寺があったと。
屋根はなあ、いまにも くずれおちそう、境内はぼうぼうと草がしげって
おばけ寺とよばれ、だれもおまいりにいかなかったと。


そんなある日な、寺のそばを通ると、寺から木魚をたたく音がきこえてきたと。
「おかしいな、坊さんも小僧もいないというのに、いったいだれだべ」
ポクポク ポクポク ポクポク まちがいなく木魚のおと。


それからいく日かすぎたある夜、村のいしゃへ寺の小僧がはしってきたと。
「おら、寺の使いだ。病人がでたで むかえにきただ。すぐにきてくれ」
と いしゃをつれだした。


いしゃは小僧について夜道をあるいていった。
「寺というたが、どこの寺じゃ。ここらではみかけぬ小僧さんのようじゃが」
「おら、あそこの寺だ」小僧はケロッというたと。
「な、なに?あのおばけ寺だと?」いしゃは、足がすくんでしもうた


「おばけ寺だかなんだかしらんが、おらの寺だ。さ、いそいで いそいで」
小僧はいしゃの手をぐいぐいひっぱって寺へとはしった。
寺の境内へはいると、なまぐさい風がほほをなでていく。
にげようとしたが、小僧がしっかりと手をにぎってはなさない


「おお、きたか、きたか。おらが病人だ。みゃくを しらべい」
奥から真っ黒いかおの小僧がでてきて、毛むくじゃらの手をつんだした。
いしゃはおそるおそる みゃくをしらべた。
(け、けものじゃ。人間じゃねえ)


まっさおになって箱からくすりをとりだし
「こ、これをのんでくだされ。ごめん」
にげようとすると おくから


「またれい!病人はわしじゃ、べろをみてくれ」
と、年寄りの坊さんがあらわれ、真っ赤なべろをベロンとだしたと。
(け、けものじゃ)いしゃはガクガクとふるえた。
「こ、これをのんでくだされ。ごめん」


くすり箱もほうりだして 寺をとびだし、にげた、にげた。
どんどん にげた。


やっと村の辻にでたので、ほっとして しゃがむとな、
むこうから黒いかげが走ってくる。
「まて!まってろ。病人はおらだ。それを ほったらかすなんて、それでも
いしゃか」みるとむかえにきたあの小僧だ。


いしゃはにげようとしたが、なんとしてもこしがたたん。
小僧は二カッとわろうて ちかよってくると、
「たまには、寺さおまいりにこい」というて はしっていった。
このはなしは村じゅうにひろまった。


「だーれも おまいりにいかないから、仏さまがおこったんじゃ。
ひとつ、神さまにおきよめしてもらうべ」
と、神主をよんで おきよめしてもらうことになったと。
おばけ寺の境内の草をかって、祭だんをつくり 村人があつまった。


神主が のりとをあげ、おはらいをしていると、寺の戸がバシバシッと
やぶられて、三匹の むじなが、うらのやぶへ にげていったと。
そして、それっきり なにもおこらなかった。


それから このあたりを神さまに おきよめしてもらったというので
神地(ゴージ)というようになったと。
そしてなあ、おばけ寺はいつのまにか なくなって
そのあとに できたのが泉沢(せんたく)寺という りっぱな寺だそうな。


「おと絵がたり」HP
加藤妙子さんHP

(by オヤマ)

2010年07月13日   遊ぶ
Trackback

発売号を購入する
« 2010年09月 »
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

ページの先頭へ戻る