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越後妻有、大地のチカラとアート

3年に1度のアートの祭典「越後妻有 大地の芸術祭アートトリエンナーレ」を来年2012年を前に、2011年の今夏、“大地の祭り2011夏”と題して常設作品の公開(~2011/8/28)をしているこの地を再訪してみました。

圧倒的な自然にふれ、ふつふつと元気が湧いてくるのを、あらためて感ました。
アートイベントしての成功例として語られることの多い越後妻有ですが、成功へ導いた“チカラ”がなんなのか、ちょっと分かった気がしました。
今回は、そんな越後妻有の“大地のチカラ”を中心にご紹介します。

内海昭子さんの「たくさんの失われた窓のために」(2006年作品)
内海昭子さんの「たくさんの失われた窓のために」(2006年作品)
4回目の芸術祭で、女子を中心に大ブレイクしました。この窓から切りとられた風景が、特別なものに変わっていく、自分だけの心の変化が感じられる作品。
実際ここからの眺めは、稲田のそよぎ、清流のせせらぎ、河岸段丘のなだらかな風景。そしてさわやかな風が、体を吹きぬけていきます。

動画も撮っていますので、ぜひ体感してみてください。山の稜線がまっすぐになっているめずらしい河岸段丘の景色にもご注目を。

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行武治美さんの「再構築」(2006年作品)

行武治美さんの「再構築」(2006年作品)
越後妻有の唯一のリゾートホテルの敷地内にあります。すすきの原っぱにぽつんと建っていて、鏡に覆いつくされた小さな家が作品です。
外壁には周囲の風景が映りこみ、中に入れば摩訶不思議な世界が広がります。風で微妙に揺らぐ鏡。映っている自然と一緒に自分の立ち位置も揺れてしまうかのよう。


実は、この小屋には住人(?)がいます。作家の行武さんも“くろちゃん“と呼んでいる青大将。お掃除に行くと、脱皮した跡をちゃんと残しています。ほとんど姿は現わしませんが、もし見かけたら優しく見守ってあげましょう。
“くろちゃん”は、脱皮のたびに自分を再構築してるんだなあ、なんだかピッタリのところに作品があるものだなあ、なんて。

塩澤宏信さんの「イナゴハビタンボ」(2006年作品)
塩澤宏信さんの「イナゴハビタンボ」(2006年作品)
十日町から松代(まつだい)を結ぶ道路を車で走っていると、どうしても目に入るお蕎麦屋さんの看板があります。そのお店の奥の田んぼのなかに、巨大なイナゴが! こちらは陶でできた滑り台。稲田とイナゴ……。お米づくりでは共生しがたいこの関係をみつめているかのよう。
この地方では、田んぼはとても大切なもの。その中に作品をつくるということは、どれだけの信頼関係があってのことか……。それにしても稲田は美しいです。

お蕎麦屋さんの座敷からこの姿を眺めながら、「妻有そば」をいただけます。
越後妻有では、ぜひ、“山菜そば”を頼んでくださいね。季節季節の山菜、山の葉っぱなどが出てきます。春には「ホップの芽も食べました♪」と“こへび”の女の子が喜んでいました。今回、苧(からむし)の葉っぱも出ました!


トーマス・エラーさんの「人 自然に再び入る」(2000年作品)
トーマス・エラーさんの「人 自然に再び入る」(2000年作品)
お蕎麦屋さんのすぐ前の田んぼの中に、道に迷ったかのように人が立っています。その人は夏になると、ごらんのように蔦に絡まれ“自然”そのものになっていくのです。秋には紅葉した葉っぱをまとい、初秋になってやっと顔を見ることができます。この道を通るたびに、気になる存在です。

越後妻有をまわっていると、時折、こんな風景に出会います。
古い石仏が集められています。
あまりにも微笑ましくて、とてもよく手入れをしてあって、思わす駆け寄ってしまった、なんだか心が膨らむような風景。古い石仏が集められています。


芝山昌也さんの「KAMIKOANI」(2009年作品)
芝山昌也さんの「KAMIKOANI」(2009年作品)
山間の集落として厳しい現実を共有する秋田県の上小阿仁(かみこあに)村とつながろうという作品。山と山の隙間に作られた田んぼを杉林の中から望む地に、上小阿仁村の小屋を型取りして作られた作品です。
祈りの石仏はこの作品のすぐ上にありました。

越後妻有の作品のなかで、代表的な作品が、イリヤ&エミリア・カバコフさんの作品です。
ジャン=リュック・ヴィルムートさんの「カフェ・ルフレ」から、イリヤ&エミリア・カバコフさんの「棚田」(2000年作品)を望む。
ジャン=リュック・ヴィルムートさんの「カフェ・ルフレ」から、イリヤ&エミリア・カバコフさんの「棚田」(2000年作品)を望む。
このカフェの天井には集落の人々が自宅から撮った写真がマウントされていて、鏡のテーブルに映りこんでいます。窓からは色鮮やかなイリヤ&エミリア・カバコフさんの作品が。
単純なのに、心を打つ作品。棚田を守る人々の田仕事が作品になっています。
山から迫ってくる棚田そのものの美しい迫力にも圧倒されます。

ここは「越後まつだい里山食堂」として、地元の野菜を使った、元気のでる素敵な食事やスイーツなどがいただけます。

越後妻有は、十日町市と津南町が合わさった東京23区くらいの広さの地区。その津南町は、特に野菜に注目したい町。甘い雪下にんじんのジュースなどでも知られています。

でも、夏はなんといっても、ひまわり畑です!

でも、夏はなんといっても、ひまわり畑です!



夏には、ぜひ、とうもろこしを買って帰りましょう!
夏には、ぜひ、とうもろこしを買って帰りましょう! 短い夏の太陽を受けてチカラいっぱいの元気をくれます。

最後に、越後妻有で一番有名な、素敵な棚田をご紹介。
星峠の棚田です。本当に美しい棚田です。
星峠の棚田です。本当に美しい棚田です。
でも、写真をよくみると、ところどころ崩れているのが見えます。

ご存知のように、2011年は、越後妻有にとっては大変な年でした。冬の間は豪雪に見舞われ、東北の地震の翌日に大地震に襲われ、夏のはじめには新潟豪雨。
3月の地震では津南も通っているJR飯山線の線路が宙吊りになっている報道をごらんになった方も多いと思います。その地震の被害は、神社の鳥居も隠れるくらいに固く積もった雪に隠れていましたが、やっと雪解けした5月(!)に被害を確認し、復興工事をしている最中に、またしても豪雨。その復興工事そのものが流されてしまった……という現場もあったそうです。

でも、きっと2012年には、この圧倒的に迫ってくる自然が、青々とした緑で傷跡を覆っていることでしょう。ということは、人も、この自然と闘っていかないといけないということです。そうしてできた“里山”。大地のパワーを感じないわけがありません。


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