とんぼの本 |
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高峰秀子 暮しの流儀

二〇〇九年の夏の終わり。麻布十番の駅前にあったファミレスで、斎藤明美さんと数ヵ月後に刊行する『高峰秀子の流儀』の打ち合わせをしていたときのこと。
「今度のご本は読み物としてしっかりした単行本にさせていただきたいので、『婦人画報』での連載中に毎号掲載されていた高峰さんの愛用品のカラー写真は、残念ですが入れられません。じつは私、どっちかっていうと〈とんぼの本〉の編集部員でして、それらをまとめたビジュアルブックをこさえさせていただけませんでしょうか」
と図々しくもお願いしてしまった。
斎藤さんはちょっとびっくりされたようだったが、
「ご提案ありがとう。帰ったら松山と高峰に聞いてみます」
持ち帰ってくださって、翌日にはさっそく「いいですよ、という返事をもらいました」と電話をくださった。
あれから、ほんとうに、いろいろなことがあった。
フェルメール巡礼

フェルメールの世界的な人気は、近年ますます加速中。その理由として、清廉で穏やかな画風、稀少性、小さめサイズ……などが挙げられることが多い。いずれも、なるほど、と納得させられる根拠である。とはいえ、なにより私たちを魅了してやまないのは、それぞれの作品に秘められた(と、現代人が感じる)さまざまな物語、モチーフの意味、光と影の織りなすハーモニー、そして構図の妙を「読み解く」愉しみではないか。フェルメールの絵を前にすると、何故だか誰もが、探偵のような気分になる。美術史家のみならず、異分野の研究者、そして純然たる美術愛好家を含めて、観賞者ひとりひとりが史料を漁り、検証し、空想を膨らませ、推理する悦びに取り憑かれてしまうのだ。いったん、この「フェルメール病」にかかってしまったら……もう諦めるしかない。誰もが、「自分だけのフェルメール」を探し続けることになる。
本書は、現在、観ることのできる世界各地のフェルメール作品と所蔵美術館ガイド、そして、“理系”の視点を交えて細部を解読する驚きのコラム集など、既刊『謎解きフェルメール』(小林頼子、朽木ゆり子著)とは全く異なる角度から、この画家にアプローチしている。臨場感溢れる展示風景の写真も満載。ぜひとも、2冊併せてお楽しみください。

ワシントン・ナショナル・ギャラリー 撮影 筒口直弘

ベルリン国立絵画館 撮影 小野祐次

デルフト市街風景 撮影 野中昭夫
京都洋館ウォッチング

編集担当のAです。私は高校の時、京都に修学旅行に行って以来の京都好きで、京都にたくさん行きたいがために、京都への出張が多そうな方面の出版社に就職しました。というのはウソですが、大の京都好きなのは本当。よく、イケズされたとか、大学生は大事にされるけど棲むことになったヨソサンには冷たいよ、とか聞きますが、私はいつだってあくまで旅人ですので、まったくそんなこと構いやしません。仕事の上でのイケズ、というのも20代の時はされた(ような気もする)が、もうイケズもされなくなった(感じないだけかも)といって等しいです。
そんなわけで、はりきってこの企画を進めたことは言うまでもありません。
しかも、著者の井上章一先生。その昔、当時在籍していた雑誌で毎月書評を執筆していただいていましたが、お目にかかるのは、なんとそのとき以来。ご専門の建築史のみならず、美女、人形、霊柩車、関西文化など幅広く風俗・意匠について研究していらっしゃるとてもユニークな先生です。とくに“美女好き”で名高い方なので、かなり気が重かったのですが、一緒に仕事をしてくださった京都の編集者が美人だったので、大変助かりました。
仏教入門 法然の「ゆるし」

今年は、浄土宗の開祖、法然上人(1133~1212)800回忌となります。京都の総本山知恩院をはじめ、各地で大規模な法要が行われています。
梅原猛さんいわく法然は、「日本最大の思想的革命家」。一体何をどのように変革したのか? 日本仏教にとどまらず日本文化にも大きな影響を与えた宗教家の人生と教えを、分かりやすく、深く、解説したのが本書です。
その生涯については、国宝絵巻「法然上人絵伝」とともに、ターニングポイントとなる年齢を見出しに掲げ、見開き単位で、紹介しました。思想については気鋭の宗教学者、町田宗鳳さんがQ&A形式で、難解になりがちな仏教教義を現代の私たちの感覚に寄り添うよう明晰に説いてくださいました。そして知の巨人、梅原猛さんは、ご自身と法然のかかわりを省みながら、その思想の核心に迫る論考、タイトルもズバリ「死の教師、法然」をご寄稿くださっています。さらに故郷、岡山県美作と京都を取材した「法然への旅」と「法然ゆかりの地マップ」も収録、充実の入門書となっています。

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