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司馬遼太郎が描いた「新選組」の風景
堂々たる風格を持つ近藤勇、組織をまとめあげた切れ者・土方歳三、眉目秀麗なる剣士・沖田総司……。新選組の物語といえば、映画や舞台から漫画の世界に至るまで、ほぼこのイメージを踏襲した形で描かれることが多い。では、いま我々が抱いている新選組像は、どのように形づくられていったのか? その答えは、司馬遼太郎さんの名作『燃えよ剣』と『新選組血風録』のなかにある。わかりやすく言えば、この2作に描かれた近藤像や土方像や沖田像が、そのまま現代日本人の抱いている新選組のイメージとなっているのである。
今回『司馬遼太郎が描いた「新選組」の風景』を制作するにあたり、カメラマンの木村智哉氏とともに、『燃えよ剣』『新選組血風録』のふたつの小説を手に、東京・多摩地区、京都、函館と旅してきた。近藤や土方が生まれ育った頃には自然豊かな農村地帯であったはずの武州多摩は、現在は広大な住宅地に変わっている。が、ここには、土方の生家がいまも残り(場所は移転しているが)、その子孫が生活を営んでいる。京の都も、100年以上のときを経てすっかり様変わりしてはいるけれども、隊士たちの屯営となっていた壬生郷には、当時の建物が数多く残っていた。柱に残された生々しい刀傷も目にした。
司馬さんが、小説執筆にあたり膨大な史料を丹念に調査していったことはよく知られている。しかし、それだけでなく、ご自身が実際に各地を訪ねてまわり、さらにイマジネーションを膨らませる作業も怠らなかったという。この本では、われわれの新選組像の原型となっている“司馬さんが描き出した新選組の世界” を、司馬さんの文章と美しく迫力あふれる写真で再現していった。
また、司馬さんが残された新選組に関する秘蔵エッセイも6編収録した。ぜひお楽しみに。

土方歳三の生家(東京都日野市)。
左側の竹は歳三が植えたと伝えられている。
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