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編集者のことば 担当編集者が綴る、とっておきの話―。1冊の本ができあがるまでには、波瀾万丈、いろんなドラマがあるのです。

白洲次郎の流儀

 カッコいい男がいなくなってから久しい。カッコいいといっても、顔のことではない。生き方、スタイルが、である。そのように思っている人々にとって、白洲次郎という男はとても気になる存在となるはずだ。

夫人である白洲正子が『白洲正子自伝』のなかで、次のように書いている。
〈そこへ忽然と現れたのが白洲次郎である。「ひと目惚れ」というヤツで、二十五歳まで遊ぶことも、勉強も、目の前から吹っ飛んでしまった。が、何といっても、十八歳のひと目惚れなのだから、当てにならぬことおびただしい。特に美男というわけではないが、西洋人みたいな身ごなしと、一八〇センチの長身に、その頃はやったラッパズボンをはいてバッサバッサと歩き廻っていたのが気に入ったのかも知れない。忽ち意気投合して、——といっても、その頃のことだから、せいぜい映画を見に行ったり、食事をいっしょにする程度で、無邪気なものであった。〉
「特に美男というわけではないが」とエクスキューズを入れてはいるものの、私が「ひと目惚れ」したのだから世に類なきカッコいい男だ、と言い切っているように思えてならない。ならば、そのカッコよさをグラフィックに構成したら、どうなるか。本書誕生の源である。この本がひろく読まれ、カッコいい男がふたたび出現する日がくれば、本書刊行の目的は達せられることになるのであるが。

ポルシェ911Sと次郎 撮影=田澤進

2004/09
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