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歌麿の謎 美人画と春画
『歌まくら』といえば、喜多川歌麿、渾身の大作枕絵です。今でこそ、葛飾北斎の『浪千鳥』や鳥居清長の『袖の巻』と並ぶ、浮世絵春画最高峰の作品とされていますが、じつは出版当時は、あまり評判は芳しくなかったようです。しかし、とある事情から、出版後10年以上たって、ふたたび脚光を浴びることになります。いったいどんな事情があったのでしょう?
そして歌麿といえば、やはり美人大首絵。これを目の当たりにした当時の人々は、活き活きと描かれた美人画のあまりの斬新さに、さぞびっくりしたに違いありません。しかし狂歌本の豪華な木版挿絵などで活躍していた歌麿が、なぜ突然、こんな美人画へと行き着いたのでしょう?
本書では、歌麿の美人画&春画のなかから、選りすぐりの名品を紹介しつつ、稀代の絵師・歌麿のさまざまな謎に迫ります。歌麿の絶頂期のエロチカを読みとく1冊、すみからすみまで見ごたえ読みごたえたっぷりです。
ところで、著者のひとり、リチャード・レインさんは、長らく日本に住み、江戸時代の言葉にまで精通してしまったほどの枕絵研究の大家です。本書の『歌まくら』をめぐる謎ときは、このレインさんの手によるものです。が、じつはレインさん、この原稿が「芸術新潮」2003年1月号に掲載される直前にお亡くなりになられました。享年76。この原稿がレイン博士の最後の謎ときとなったのです。

『歌まくら』より(部分図)。恋文を隠し持っていた若いツバメに、怒り心頭の嫉妬深き愛人。場の緊張感が伝わってくるほどのリアルさ。赤い輪郭線が、優男の手指の繊細さを強調している。
2005/11
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