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谷内六郎 昭和の想い出

 谷内六郎は多くの、本当に多くの絵を残しています。有名な『週刊新潮』の表紙絵だけでも1335枚。もう絶版になってしまって手に入らないのですが、その名も『谷内六郎「週刊新潮」全表紙絵』という、『週刊新潮』の表紙を全点掲載した本があります。この数ヶ月、この本を何回、何十回と眺めたことでしょう。しかも、困ったことに、いったん見始めると始めから終わりまで通して眺めずにはいられません。見るたびに新しい発見と感動があるのです。

 そういえば、長女の広美さんが言っていました。「父の絵はね、3回楽しめるのよ」。どういうことだろうと思って聞いてみると、それはこういうことでした。「みなさん、まず絵を見てほほえむでしょう? 次にタイトルを見てナルホドと唸る。最後に『表紙の言葉』を読んでエッと驚くの」
 そうそう、たしかにそうなのです。そして最後にあらためて絵を見返すと、その絵の世界のなんて大きいこと!(たとえばこの絵をご覧ください。) それに、あまりにも沢山の時間、谷内さんの絵を見て過ごしたせいでしょうか、最近、見るものすべてが谷内さんの絵に結びついてしまいます。大げさに言えば、自分が谷内六郎になったような、そんな気分になることも。本書では、広美さんの案内で、谷内さんが大好きだった三浦半島の観音崎を紹介しているのですが(ここにはアトリエがあって、近く谷内さんの美術館も出来る予定です)、実は、以来私もすっかり観音崎が好きになり、ときどき訪れるようになりました。何があるというわけではありません。きれいな空と、海と船と燈台と。なんでもない風景の一つ一つがなんだかとても懐かしく、愛おしく思える。谷内さんに引き寄せられるようにして世界が広がってゆく。この幸せな気分を一人でも多くの人に味わってほしいと心から思っています。

◎谷内六郎公式HP(六郎工房)
http://www.vesta.dti.ne.jp/~totetote/

《しづくのアクセサリー》
『週刊新潮』昭和35年6月27日号原画
Michiko Taniuchi

この体験がもとになって、左の絵ができました。今度蜘蛛の巣を見たときに、この絵が思い浮かんだら、あなたも立派な六郎ワールドの住人です。

2006/01

[特別対談]中谷美紀×赤木明登
「つくること、演じること」
 中谷美紀+赤木明登
「波」2011年7月号より

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