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編集者のことば

ビートルズへの旅

「失礼ですけど、リリーさんがビートルズをそんなに好きだったなんて意外でした」
「うん?」
「どっちかというとストーンズ派のイメージが……」
「いや、ミック・ジャガーが好きじゃないんだよね。ブライアン・ジョーンズはいいけど」
「リリーさんは1963年生まれですから、パンク直撃世代ですよね。思春期にパンクをリアルタイムで聴いた人って、ビートルズ的なものを『オールド・ロック』として嫌う感じがあるじゃないですか」
「うん、そういう人は多いよね。だけど僕は……」

 リリー・フランキーさんが、ビートルズに夢中になったきっかけ。なぜビートルズが好きなのか? ビートルズから学んだこと――。
 本書収録の文章に、そんなリリーさんのビートルズについての想いがこめられています。さらに昨年、リヴァプールとロンドンにあるビートルズゆかりのスポット(ジョンやポールの生家から、メンバーが足しげく通ったパブ、無名時代に演奏したライブハウス、果ては伝説のスタジオ、アビィロード・スタジオの「スタジオ2」内部まで!)を取材、「ビートルズの現場」に足を踏み入れた緊張と感動が静かにそして強く語られています。
 忘れてはいけないのが、「ビートルズの風景」が切り取られた本書の写真です。撮影は、失礼を承知で形容すると、フォトグラファーという以上に「ビートルズ・マニア」の肩書きが似合う福岡耕造さん。福岡さんは、これまでも世界中の「ビートルズ・スポット」(有名な場所のみならず、ジョンと父親が遊んだ海岸から、4人が出演した映画のロケ地などに至るまで!)を撮影してきており、それらの写真を今回一切出し惜しみせず掲載しています。福岡さんによって撮影された写真は、それが今のキャバーン・クラブやアビィロード・スタジオの写真であっても、あたかもビートルズが活躍した60年代当時の風景に見えてしまうような、不思議なタイム・トリップ感覚を引き起こします。

 そんな二人のビートルズへの愛情から生れたのが本書です。二人の執念はついに伝説のアビィロード・スタジオでのレコーディング敢行、という快挙にまで至り、リリーさんはそこで自ら率いるバンド「東京ムードパンクス」の曲をレコーディング、その曲は、4月に発売されたファースト・シングル「ジェイミー」のボーナス・トラックとして収録されています。
 解散から40年近く、世代を超えて今でも人々を熱狂させるビートルズ。そしてその4人が生んだ奇蹟に魅せられた二人が、それぞれ文章と写真で精一杯恩返しをしようと、精魂込めて創りあげたのが、本書『ビートルズへの旅』です。


かつてのアビイ・ロードの標識。現在は真新しいものに取り替えられている。

2008/04

[特別対談]中谷美紀×赤木明登
「つくること、演じること」
 中谷美紀+赤木明登
「波」2011年7月号より

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