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編集者のことば

太宰治と旅する津軽

今年、2009年は太宰治生誕100年ということで、昨年末からたくさんの太宰関連の書籍や雑誌が刊行されました。そんな中、《とんぼの本》では思い切って小説『津軽』に焦点を絞った編集をしてみました。

ご存知のとおり、『津軽』は太宰治が最も安定していた「中期」と位置づけられる時代の傑作で、出版社の求めに応じて自らの故郷とその周辺を歩いて記した旅紀行です。今回、厳冬の2月と、太宰が旅したのと同じ、春爛漫の5月に、太宰の歩いた道筋を忠実に辿ってみました。取材に際しては、改めて『津軽』を何度も読み返したのですが、太宰自身がこの小説で「愛」を追求した、と述べた、その意味がとてもよく理解できました。一度は義絶された故郷の津島家の人々との和解、家族の再生、そして東京に残してきた妻子への想いなど、珍道中の紀行文の体裁をとりながらも、その裏側には家族愛がしっかりと書き込まれていることを実感しました。

本書ではできるだけ太宰自身が書き記した小説のフレーズを引用することで、太宰治といっしょに津軽路を歩くような構成としました。写真も、ただ文章に合わせて説明的に撮影したものではなく、太宰の目に映ったであろう心象風景を再現しようと試みています。きっとこの本を読めば、もう一度『津軽』が読みたくなります。そして、旅に出たくなります!

もうひとつ、5度に及んだ自殺、心中の現場を訪ね、「滅びの風景」も追っています。さらに、太宰治の肖像写真を撮ったことで知られる写真家・田村茂氏について、弟子でもあった小松健一氏が書いたレポートも必読! あまり世に出ていないポートレートを掲載しています。

小泊にある、子守のタケとの再会の像
撮影=小松健一


入水した玉川上水
撮影=小松健一

2009/09

[特別対談]中谷美紀×赤木明登
「つくること、演じること」
 中谷美紀+赤木明登
「波」2011年7月号より

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