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編集者のことば

須賀敦子が歩いた道

「イタリアがお好きなら、きっとこの本もお好きでしょう」。後輩からプレゼントされた1冊の本。須賀敦子さんの『ヴェネツィアの宿』でした。
 その端正で、しっとりと味わい深い文章に、一目惚れならぬ一読惚れしました。すぐに既刊を買い求めて読み耽り、新刊が出るのを待ちわびたものです。彼女が描く人びとの不器用で誠実な生き方に共感し、彼女が描くイタリアにあこがれました。

 本書は、没後10年を機に「芸術新潮」で特集された“須賀敦子が愛したもの”を再編集したものです。彼女が暮らし、訪れたイタリア各地を撮りおろしの写真と心を尽くした取材でご紹介します。須賀さんと親交の深かった作家・松山巖さんによるエッセーや、須賀さんの教え子でもあった作家兼翻訳家アレッサンドロ・ジェレヴィーニさんのインタビューも収録。須賀敦子さんの足跡を辿りつつ、その作品世界の深部へと近づくことのできる1冊です。

 残念ながら、私は生前の須賀敦子さんにお目にかかることはできませんでした。けれど、こうしたかたちで彼女にかかわることができ、編集者としてこの上ない喜びを感じています。


須賀さんが大のお気に入りだったというアッシジの夕景。
撮影=広瀬達郎

愛用のペン立て。同じものをもうひとつ持っていて、自宅と仕事場で使っていた。
撮影=広瀬達郎

2009/09

[特別対談]中谷美紀×赤木明登
「つくること、演じること」
 中谷美紀+赤木明登
「波」2011年7月号より

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