とんぼの本 |
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「戦争」が生んだ絵、奪った絵
〈「戦争」が生んだ絵〉とは、「戦争」を生き抜いた画家たちが、今度は戦争体験と向きあわねばならなくなり、それを作品にまで昇華させた絵。画家たちの内なる戦いが、いかなるものであったか、戦争体験をもたない人がほとんどとなった今、うかがい知ることはむずかしい。
〈私も学校を半年早く卒業させられて、すぐにもソ連との国境近くに連れ出されている。そこで肋膜に水がたまり、内地に連れもどされた(略)どうしてあなたは生きて還れたのですか、と遺族の方々に尋ねられるたび、私はとても後ろめたい気持になったものだ。たしかにあの辛さに耐えかねて、体が逃げだしてきたものだろう。〉と、上田市にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」開館に際し書かれた野見山暁治氏による本書の香月泰男論は、そのような間隙をうめてくれる。
では〈「戦争」が奪った絵〉とは? 実在しない絵を図示することはできない。そこで編集者が取った手段は? それが狙い通りになったか? 失敗だったか? 編集者は、その結果をじっと待つしかない、と観念している。
2010/11
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