谷内六郎 昭和の想い出
谷内六郎、谷内達子、橋本治、芸術新潮編集部

発行:2006/01/25
127ページ 定価:1,365円
ISBN:4-10-602131-5
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【編集者のことば】
 谷内六郎は多くの、本当に多くの絵を残しています。有名な『週刊新潮』の表紙絵だけでも1335枚。もう絶版になってしまって手に入らないのですが、その名も『谷内六郎「週刊新潮」全表紙絵』という、『週刊新潮』の表紙を全点掲載した本があります。この数ヶ月、この本を何回、何十回と眺めたことでしょう。しかも、困ったことに、いったん見始めると始めから終わりまで通して眺めずにはいられません。見るたびに新しい発見と感動があるのです。
 そういえば、長女の広美さんが言っていました。「父の絵はね、3回楽しめるのよ」。どういうことだろうと思って聞いてみると、それはこういうことでした。「みなさん、まず絵を見てほほえむでしょう? 次にタイトルを見てナルホドと唸る。最後に『表紙の言葉』を読んでエッと驚くの」
 そうそう、たしかにそうなのです。そして最後にあらためて絵を見返すと、その絵の世界のなんて大きいこと!(たとえばこの絵をご覧ください。) それに、あまりにも沢山の時間、谷内さんの絵を見て過ごしたせいでしょうか、最近、見るものすべてが谷内さんの絵に結びついてしまいます。大げさに言えば、自分が谷内六郎になったような、そんな気分になることも。本書では、広美さんの案内で、谷内さんが大好きだった三浦半島の観音崎を紹介しているのですが(ここにはアトリエがあって、近く谷内さんの美術館も出来る予定です)、実は、以来私もすっかり観音崎が好きになり、ときどき訪れるようになりました。何があるというわけではありません。きれいな空と、海と船と燈台と。なんでもない風景の一つ一つがなんだかとても懐かしく、愛おしく思える。谷内さんに引き寄せられるようにして世界が広がってゆく。この幸せな気分を一人でも多くの人に味わってほしいと心から思っています。

《しづくのアクセサリー》
『週刊新潮』昭和35年6月27日号原画
Michiko Taniuchi

この体験がもとになって、左の絵ができました。今度蜘蛛の巣を見たときに、この絵が思い浮かんだら、あなたも立派な六郎ワールドの住人です。
 
展覧会情報
■没後25年 谷内六郎の軌跡 ─その人と仕事─


横浜展 そごう美術館
2006年2月2日(木)~2月26日(日)
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/

旭川展 北海道立旭川美術館
2006年4月8日(土)~5月14日(日)
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.jp/hk-asamu/

名古屋展 松坂屋美術館
2007年1月2日(火)~1月23日(火)
http://www.matsuzakaya.co.jp/museum/museum.html

■~幼い日の風景~「週刊新潮」表紙絵から 谷内六郎展
湯河原ゆかりの美術館
2006年2月9日(木)~4月3日(月)
http://www.town.yugawara.kanagawa.jp/museum/museum01.html

◎谷内六郎公式HP(六郎工房)
http://www.vesta.dti.ne.jp/~totetote/

 目次
1章 昭和の子ども 「週刊新潮」表紙絵より
なつかしい昔のあそび
現実の向こうに想うもの
怖がりだったあのころへ

 思い出の表紙絵 谷内達子

2章 “駄菓子屋派の巨頭”になる
世田谷の田園に育つ
少年時代をつづった画文集『北風とぬりえ』
御宿慕情
漫画家・谷内六郎をごぞんじですか?
日々是“病”日
六郎流病気とのつきあい方 『楽書 病院日記』
らくだ工房の谷内ブラザーズ
谷内六郎 青春ギャラリー 初期傑作選

3章 毎週が展覧会!
昭和30年の大ブレイク
表紙は谷内六郎 「週刊新潮」創刊!
働くことは尊いこと さまざまな仕事
女の子が動いた! まんがニュース「都会」・全著作 絵本から画集まで・六郎装釘集・街角の谷内六郎

橋本治が選ぶ「週刊新潮」表紙絵ベスト10
コメント 橋本治
シュールレアリスト谷内六郎 橋本治

4章 谷内六郎の世界をさがして
釜めしがとりもつ横川の縁
観音崎――海の見えるアトリエを訪ねて
案内 谷内広美

5章 子守しながら筆をとる
   家庭の中の谷内六郎
 谷内達子
初心に生きた59年 略年譜

六郎綴方1 ぼくの絵とアイデア
六郎綴方2 妹のいた景色
六郎綴方3 幻灯の旅
六郎綴方4 歳月の中のこどもたち


記念すべき『週刊新潮』の創刊号。以降約25年間、亡くなるまで一度も休むことなく連載します。


仕事場は居間や食堂。絵具も筆も、その辺で簡単に手に入るものを使っていました。特別なことはしない、それが谷内六郎の絵のスタイルです。


観音崎での楽しみの一つは、間近に見える色とりどりの船たちを眺めることでした。


「毎日ぼくの絵を見てもらいたい!」 各地に作られたモザイク壁画には、谷内さんのそんな思いがこめられています。