更新履歴
9月12日
質問コーナー更新!
3月28日
 「養老先生と遊ぶ」 サイトオープン!

「養老先生と遊ぶ」サイト内、質問コーナは2005年4月から9月の毎月第2月曜日更新! お楽しみに!


季刊誌「考える人」では養老先生が「万物流転」を連載中です。
詳しくは「考える人」ホームページをご覧ください。



 





質問コーナー
脱線だらけの人生相談 ──新潮社ホームページ編

 ついにこのコーナーも最終回の更新となりました。
『養老先生と遊ぶ』を愛読いただき、そしてこのコーナーをご覧いただき、本当にありがとうございました!
 今まで読んだ本の中で、いちばん面食らった言葉は養老先生が書かれたものです。それは、「死体を人間だと認めろ」というものでした。私は死んだ人を人間だと思っていないなあ、と目が覚める思いでした。
 養老先生はカウンターパンチを受けるような言葉に出会われたことはありますか? (20代 女性)
 カウンターパンチを受けるような言葉ですか、あまり無いです。考えさせられた、という言葉はあります。40代のころに聞いた、「人を思うようにしたい」という言葉です。東京大学で教えている頃に、同じ学者が学問の世界でこう言うのを聞いたときに、これが仏教の「欲」というものなのかと実感しました。
 そもそも、こういう「自分を変えた言葉」「好きな言葉」の類はよく聞かれるんですが、ないんですよ。私の場合はまず最初に疑うのが癖になってます。聞いたり見たりした言葉をどういう意味や背景があるかと裏を読むんです。疑って考え込む癖がついているから、そのまま素直に言葉を受け止めないんです。この質問をしている人は素直だと思いますよ。
 それぞれにこういった言葉はあればいいんであって、私のなんぞは参考にしないほうがいいです。
 オナラはどうして出るのですか? 出なくはならないのでしょうか? 私はずーっとこれで悩んでいます。まあ、たいした悩みとはいえないかもしれませんが、オナラを今の、せめて十分の一に減らせたら幸せになれそうです。(40代 女性)
 これは問題ですね。二通りに考えられます。まずひとつは、あきらかに腸内細菌と関係している場合です。これは食べ物を調整したり、医者にかかったりする必要があるかもしれないですね。
 もうひとつは空気を多く飲み込んでいる場合です。これは人それぞれの癖だと思います。想像妊娠でおなかが膨れるのもそのせいじゃないかと思います。いずれにしても、無意識だから案外治すのが難しい。
 ただ、自分にあったやり方っていうのは必ずあるはずですよね? 身体のことは特に自分がいちばんわかることじゃないでしょうか。自分のいつものおなかの調子だって、それぞれ違うはずです。そのためには自分で自分のお腹の調子の原因を探る必要があるんです。食べ物を変えてみるとか、空気を飲まないようにするとか、よく寝るとか、なにかしら自分の身体で試行錯誤をして、身体を探求すべきです。

 非常に内気で繊細なので、人と接したり話をしたりするのが苦手です。養老先生は、現在では講演など人前で話すことができ、人を笑わせることまでできるようで、すごいなあと思っています。先生はどうやって変わりましたか? (30代 男性)
 必要がなければ、変わらないと思います。私の場合は、学生に教えるのが仕事でしたから、しょうがなかったんです。やるしかなかったんです。最初は苦痛でしたよ。だからいろいろと準備を入念にするわけです。こういって、ああいって、それでこの図を見せて……なんていうことです。でも、準備をしたようにはしゃべれないから、無駄でした。
 それを繰り返していくうちにわかったんです。しっかりと伝えるには、自分がしっかりと考えて伝えるべきことを持っていなくちゃいけないということが。結局、しっかり考えろ、それにつきる。当たり前なんだけどね。よく、パソコンで綺麗なグラフやレジメを作るだけで満足していて、肝心の話にまで気が回っていない人なんていうのがいるでしょう? そのグラフを見ればわかるっていうこと以上のことが話せない。準備しても自分で考えていないと、そんな風に終わっちゃうんですよ。
 それから、相手を笑わせられるかどうかなんていうのは、私もどうしたらいいのかわかりませんよ。自分がおかしいと思ったことを相手に言ってみるだけなんです。
 必要であれば、本気で仕事をすれば、変わると思います。仕事上必要があるのにどうしてもダメなときは、仕事をやめるしかないでしょうね。話せなくても済む職人にでもなればいいんじゃないでしょうか? でも、職人さんだって、作ったものを売る営業をしなくてはいけないでしょう。そうなるとうまく話さなくてはいけないかもしれないですね。結局のところ、必要性があれば、話せるようになるんです。

 最後となりましたが、いろいろな質問を受けていかがでしたか?
 いろいろと答えてきましたが、結局は自分で悩んで悩んで考え抜いて答えを見つけることって大事だと思います。一回答えを自分で見つけると癖がついて楽しくなります。すぐに聞いちゃうと、最初の段階がなくなってしまう。いろいろと試行錯誤したり考えたりする楽しい段階ということです。やせ我慢して、ひとつふたつ自分で解決してみたらどうですか。人生にそのことは大事だと思いますよ。それに、小さいことほど自分で解決する癖をつけておくと、大きい問題の解決をすんなりできるようになるんです。
 だいたい私には、人に聞かない癖があるんです。それがいいのか悪いのかわかりませんが、少なくともその答えを見つける楽しみがいつも私にはある。最近は人生が万事、能率重視になっている気がします。でも、車で行かずに歩いていくと、その途中の道端のものをじっくりと見られる。見落とさないんです。
 そんなときこそ、人生がおもしろいなあと思う瞬間かもしれないですよ。
 ありがとうございました!!