ほら僕ってサブカル男子?……って言ったら、
マッハ20で笑われた。

yom yom vol.40

(季刊誌 年4回発売)

910円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/04/30

発売日 2016/04/30
JANコード 4910090190665
価格 910円(税込)
◆NEW SERIES
谷 瑞恵「殻の祭壇」 
心に傷を抱えた額装師・奥野夏樹。彼女のもとには、忘れられない物に区切りをつけたい人々が集う――。
『思い出のとき修理します』の著者、待望の新連載。

蒼月海里「夜と会う。」 
絶望した人だけに見える〈夜〉へと誘(いざな)われた澪音(れいん)。
そこは異形の跋扈(ばっこ)する不可思議な場所だった――。
『幽落町おばけ駄菓子屋』シリーズの著者が描く新たな異界綺譚!

吉川トリコ「マリー・アントワネットの日記」 
あたし、アントワネット。もうすぐ政略結婚する予定www
――この王妃、ヤバすぎる! トリコ語訳で綴られる秘密の日記。

◆SPECIAL STORY
読み切り競作 十年交差点
中田永一「地球に磔にされた男」 
些細な運命の歯車で、今とは全く異なる人生を歩む自分に出会えるとしたら。
成功した俺、落ちぶれた俺、孤独な俺、そして……。

読み切り競作 十年交差点
岡崎琢磨「ひとつ、ふたつ」
あなたは確かに、同じ痛みを知っている人。でも、だから一緒に幸せを
見つけられるわけでもない――。突然のプロポーズに揺れる巴瑠の心。

◆SERIES
浅葉なつ「カカノムモノ」[第3回]
誰もが「いいひと」だと言う彼を碧は“濁り人”だと看破した。
――まるでお前のことだと言うように。碧と桐島の過去が垣間見える第三話。

畑野智美「消えない月」[第4回]
力強い仲間もできた。警察に相談もした。姿も隠せた。
松原さんもあきらめてくれるはず。もう大丈夫――。

藤井太洋「ワン・モア・ヌーク」[第3回]
秘密裏に「犠牲者ゼロの核爆弾」を殺戮兵器へと作り替えたイブラヒム。
しかし、但馬にテロ計画そのものを偽られていたと知り……。

トミヤマユキコ「たすけて! 女子マンガ」[第2回]
女の人生をマンガに教えてもらう本連載。おもしろい女はモテないと嘆くあなた、
マンガの世界では天然故に世界を救う「無意識系」や、
道化に走るお調子者「自意識系」のおもしろい女たちが、どっこい生きてますよ!

少年アヤ「あれの・花園」[最終回]
峠、ぼくを置いていかないで。
杏仁の悲痛な願いはやがて、「あれの・花園」をたゆたう。

東川篤哉「かがやき荘アラサー探偵局」[最終回]
「雑誌の表紙」撮影のために葵を変身させていく紳士。
気分はすっかりマイ・フェア・レディ! ……でもな~んか、おかしくない?

最果タヒ「渦森今日子は宇宙に期待しない。」[最終回]
高校三年の夏。恋、進路、勉強。女子高生に悩みは尽きない。
私だって同じ、同じはずなのに……。宇宙人は悩んじゃダメですか?

青柳碧人「ブタカン! 池谷美咲の演劇部日誌 第三幕」[第2回]
新入生向け説明会の賑わいに新生演劇部(ゲキブ)のパワーアップを期待する美咲。
でも新人名簿には学校に存在しない名前が――? この子はいったい誰!?

仁木英之「神仙の祈り 僕僕先生 零」[最終回]
宝具「一」の欠片が、人間たちの都にあることを突き止めた僕僕と拠比。
王宮探索のため、二人は辺火王の側近である厨師・剪吾に料理対決を挑む――。

坂木 司「女子的生活」[最終回]
彼女は自由(フェイク)。だから最高の生活(リアル)を知っている――。
傷つけることなど誰にもできない絶対ガールズ・ストーリー、完結!


◆COMIC
益田ミリ「マリコ、うまくいくよ」[第8回]
――決められたくないことばかり
決めなくちゃいけないの?

error403「神梅さんが思うに。」[第8回]
春うらら。でも、かなりお疲れな神梅さん。
元気な明日のために、なにやらお風呂場で……?

◆ESSAY&COLUMN
押見修造「表紙のBACK STORY」

◆PRESENTATION
「女による女のためのR-18文学賞」決定発表

[大賞]町田そのこ「カメルーンの青い魚」(「金魚鉢、メダカが二匹」改題)
抜けてしまった歯が思い出させるのは、一生に一度の恋のこと。
共には生きられなかったあのひとのこと。両選考委員絶賛の大賞受賞作。

[読者賞]一木けい「西国疾走少女」(「夜の西国分寺」改題)
わたしは走っていた。夜の西国分寺駅に向かって。
ただ、彼に会うためだけに。誰かをうしなうことなど考えもせずに。

[友近賞]笹井都和古「県民には買うものがある」
地方住まいの十八歳が、女子高生のうちにしないといけないこと。
かなえてくれたのは、愛すべき、軽蔑すべき、地元そのものみたいな男だった。

この号の誌面

編集長から

口にした瞬間に、脆く壊れてしまいそうな想いがあります

口にした瞬間に、脆く壊れてしまいそうな想いがあります。世界中の誰にも見つけられない、世界でひとつの愛の言葉。それを誰かと一緒に見つめるために、私たちは物語を求めるのかもしれません。

「yom yom」2016年春号には、優しい奇跡の瞬間を描く三作が掲載されます。
 人気シリーズ「思い出のとき修理します」でおなじみの谷瑞恵さんの新連載「殻の祭壇」は、ある町に移り住み額装師として小さな店を構えた女性の物語。書画あるいはそれにとどまらず、立体の厚みを持つものも含まれるのですが、それらに額縁をあつらえるのが彼女の仕事。
 人々が持ち寄る品々には、時には依頼者自身も見失ってしまった想いや記憶が息づいています。額装とは、そこにふさわしい“枠組み”を与えることで、依頼者の悔恨に区切りをつけたり、未来への祈りに形ある手がかり(つまりはある種の聖像のような)を作り上げていったりする営みでもあるようです。
 この物語の幕開きは、遠く離れた土地から宿り木を娘に贈ろうとした男の願いが、次第に浮き彫りにされてゆくストーリー。その願いが、もう二度と会うことのできない家族に伝わったとき、依頼者の心に訪れるのは温かな涙に彩られた小さな奇跡です。

 中田さんの「地球に磔にされた男」で描かれるのは、「時間跳躍機構」という機械によって、十年前に枝分かれしたいくつもの自分の人生を体験する男の物語。この十年の自堕落な生活のツケで人生が破綻した男は、“幸福な生活を送っているバージョン”の自分を探して彼に成り代わってしまおうと画策するのですが……。
 大切なものをどこにも見つけられずに生きてきた男の、最後の選択が胸を打ちます。この五月に決定する第二十九回山本周五郎賞候補に「私は存在が空気」がノミネートされている中田さん、佳作が続々誕生ですね。

 ベストセラー「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズの著者、岡崎琢磨さんは「ひとつ、ふたつ」で新境地に挑みます。それぞれの身体的な理由から、異性に臆病になって暮らしてきたふたり。その孤独と、それでも誰かに聞いてほしい心の叫びが、プロポーズの言葉をきっかけに迸り出ます。
 欠落感は人と人とが結びつくきっかけとして十分だけど、愛を育てるには何かが足りない――。互いの告白に傷つきながら、でも、ふたりはここから、初めて一緒に未来を探すのでしょう。
 本作は読み切りの形をとりますが、実は連載の第1回という位置づけにもなっています。つまり、ふたりの物語は連作の形で夏号からも続きます。

 もちろん、注目作はまだまだ他にも。
 蒼月海里さんは「夜と会う。」を新連載スタート。ここではない何処かへ逃げたい。
 どうしようもなく追い詰められて、何もかも投げ出したくなる。……絶望にとらわれてしまった人が誘われる不可思議な異界《夜》を舞台にした物語。
 執筆にあたって、蒼月さんからは、こんなコメントをいただきました。
「これは、悩みを抱えた人達が傷つきながらも前に進む物語です。そして、あなたの物語でもあります。もし、あなたの中の《夜》と出会った時、あなたはそこに何を見つけるのでしょうか」
 なお、蒼月さんの諸作品を継続的に応援している三省堂書店では、神保町本店などでyom yom春号が特別展開される予定です。店頭でご購入くださった皆様には、「夜と会う。」の挿画を担当する六七質さんのイラストを楽しめる特別限定ポストカードをプレゼント。詳しくは本誌公式サイトやツイッターをご覧ください。

 吉川トリコさんの新連載、「マリー・アントワネットの日記」も見逃せません。政略結婚を目前に控えた14歳のアントワネットちゃんが、王家のいろいろめんどくさいしきたりや天才少年モーツァルトくんとの出会いについて、トリコ語訳で語る語る! 遠慮のカケラもない皮肉の連打に爆笑したり、少女が背負わされた過酷な使命にちょっとしんみりさせられたり、担当者から渡された原稿を読み始めたらもう止まらなくなってしまって大変でした。

「yom yom」編集長 西村博一

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

yom yomとは?

どんなに親切な人に囲まれていても、やっぱりわたしはダメなんです。
友情や愛情や、絆やお金や、いろんなものを与えてもらい、時には自分から差し出してみたりもするのですが、わたしはいつも破れていて、温かなものは心からダダ漏れに漏れていってしまうのです。

それで自分の気持ちをもてあますと、わたしは物語を探します。
縁もゆかりもないはずの誰かの壮絶な戦いや、未来に人類が見つけ出す希望だとか絶望だとか、あるいは恋やら萌えやらに夢中で悶絶している少年少女……。そのままの自分が描かれるでなし、そして必ずしも幸せばかりの結末でもないのに、何で物語というものは、心を立て直してくれるのでしょう? 登場人物という人々は、わたしの丸まりきったこの背中を、さすって叩いて、伸ばしてくれるのでありましょう?

文字を覚えてからこの方、いや誰かに読み聞かせてもらっていたあの頃から、たくさんの物語に出会ってきたと思います。そして物語は、ああダメダメで困ったなどと呟く面倒くさいこのわたしに、幾度も見知らぬ世界を見せてくれました。
あるときは「なるほど、オトナになったらこんな恋とかしちゃうのね」と身の程知らずのドキドキを教え、またあるときは「がーん…自我崩壊! でも、でも、立ち上がるし!!」と若干キレ気味の元気を絞り出させる。しかしてその実体は、いつも困っているその人に、「世界はこんなにも様々な可能性に満ちているから。あなたの袋小路、そのうち出口できちゃいますから」と囁きかける、不思議な力を宿していると思うのですよ、物語というものは。

「yom yom」は、そんな物語の囁きを、あなたがこっそり聞きに来る雑誌になりたい。ダメな人と(ダメでしょ? あなたも)一緒に歩いてくれる、あなたのための物語が、見つかる場所になりたいのです。それでお気に入りの物語を読み終えたら、「まーしょうがない。明日も生きていってやるさ」とでも思っていただければ幸せです。

切れ味鋭い読み切り小説に加え、長編やシリーズ作品の掲載にも力を入れます。最近の文芸誌の流行に逆らうようではありますが、長いお話の面白さというのも、やっぱり捨て難い気がするのです。その分、この公式サイトでは、各作品のあらすじや登場人物の紹介に頑張ります。
それでは見知らぬ物語の世界へ、ようこそ――。

「yom yom」編集長 西村博一

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞

yom yom

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