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第三回 テーマは「旅」回答と解説 出題:南陀楼綾繁
yom yom vol.3の「小説検定」、挑戦して頂けましたでしょうか?
たくさんの方から解答をお送り頂きました。ありがとうございました。
vol.3の「今号のお題」の解答と解説を以下に掲載致します。ぜひご覧下さい。


問10 以下の洋行経験のある作家のうち、日本以外の場所で死んだ人物を選びなさい。
a・辻潤 b・金子光晴
c・二葉亭四迷 d・永井荷風
 c・二葉亭四迷
二葉亭四迷は明治四十一年にロシアに向かうが、翌年肺結核となり、船で帰国する途中のベンガル湾上で死去している。


問11 林芙美子の『浮雲』で、生活に疲れた富岡とゆき子が最後に行き着く場所は次のどれ?
a・仏印 b・伊香保
c・屋久島 d・鹿児島
 c・屋久島
仏印は二人が出会った場所、伊香保は心中しそこなった場所である。ゆき子は鹿児島で寝込んだあと、富岡と屋久島に行くが、「ノアの洪水のように、家そのものが、ぞっぷりと、水浸しにあっている」ような雨の中、死んでいく。


問12 名著『時刻表2万キロ』をはじめとする鉄道紀行文を書いた作家・宮脇俊三。彼の自宅の隣には、やはり紀行文を著したことのある作家が住んでいた。その名前を以下から選べ。
a・山口瞳 b・北杜夫
c・遠藤周作 d・植草甚一
 b・北杜夫
宮脇は中央公論社の編集者時代に、北杜夫のベストセラー『どくとるマンボウ航海記』の担当者であった。その縁で、北は宮脇宅の隣に新居を構えた(宮脇灯子『父・宮脇俊三への旅』グラフ社)。


問13 つげ義春の漫画「長八の宿」のモデルとなったのは次のうちどこか? 同地はテレビドラマ版『世界の中心で、愛をさけぶ』のロケ地としても有名。
a・伊豆半島の松崎 b・湯河原
c・房総半島の大原 d・江ノ島
 a・伊豆半島の松崎
松崎の左官職人・入江長八は、鏝絵(漆喰のレリーフ)という独特の技法で作品を残した。『長八の宿』のモデルは山光荘といい、現在も盛業中。松崎は『セカチュー』以外に、吉本ばなな原作の映画『つぐみ』(市川準監督)のロケ地としても知られている。


問14 「名も知らぬ遠き島より/流れ寄る椰子の実一つ」。歌曲としても親しまれてきたこの詩はある人物の実体験に基づいている。その人物と詩の作者の組み合わせとして、正しいものを選びなさい。
a・柳田國男―田山花袋 b・南方熊楠―島崎藤村
c・南方熊楠―石川啄木 d・柳田國男―島崎藤村
 d・柳田國男―島崎藤村
明治三十一年、愛知県の伊良湖岬に滞在した柳田國男は、浜辺に椰子の実が漂着しているのを見つけ、そのことを島崎藤村に語った。それを受けて藤村は「椰子の実」をつくった。一方、柳田はこの体験にヒントを得て、戦後に『海上の道』を表している(『新潮日本文学アルバム 柳田国男』新潮社)。


問15 以下の作家が書いた、特定の土地がそのまま題名である作品を答えよ。カッコ内はその土地の属する地方である。
a・吉田健一(北陸) b・川上弘美(関東)
c・田宮虎彦(四国) d・太宰治(東北)
 a・『金沢』、b・『真鶴』、c・『足摺岬』、d・『津軽』


問16 旅先での出会いを描く以下の引用文と作品を結び付け、その上で作者を答えなさい。
a・「晴れて薄い冬陽が射してくると、朝から、大野屋さんの痩せたわりに豊かな髪の孫娘は、白い猫のように跫音をたてず長い廊下をわたって、渓流の上のサンルームに出て行った。私より一つ二つ年下のこの頬の蒼白い少女は、いかにも山峡の湯の宿の澄んだ気配を乱さず、ひっそりと、サンルームの片隅の籐の寝椅子の上で静臥した」
b・「踊子は十七くらいに見えた。私には分らない古風の不思議な形に大きく髪を結っていた。それが卵形の凛々しい顔を非常に小さく見せながらも、美しく調和していた。髪を豊かに誇張して描いた、稗史的な娘の絵姿のような感じだった」
c・「大きな家だったので雇われている女中たちも幾人かいたが、僕の世話をするのは安子さんの役目になっていた。それは二十歳そこそこの快活な娘で、この陰気な家には不似合なほど若さを蒔き散らしていた」
d・「私はやっとそこに、黄いろい麦藁帽子をかぶった、背の高い、痩せぎすな、一人の少女が立っているのだということを認めることが出来た。……誰かを待っているらしいその少女は、さっきから中庭のあちらこちらに注意深そうな視線をさまよわせていたが、最後にその視線を、離れの窓から彼女の方をぼんやり見つめていた私の上に置いた」
ア・秋津温泉
イ・美しい村
ウ・廃市
エ・伊豆の踊子
 a―ア 藤原審爾、b―エ 川端康成、c―ウ 福永武彦、d―イ 堀辰雄

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