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第八回 テーマは「お金」解答と解説 出題:南陀楼綾繁
yom yom vol.8の「小説検定」、挑戦して頂けましたでしょうか?
たくさんの方から解答をお送り頂きました。ありがとうございました。
vol.8の「今号のお題」の解答と解説を以下に掲載致します。ぜひご覧下さい。


問9 カード破産をテーマとした宮部みゆきの『火車』。行方をくらませた関根彰子が残した一枚の写真に映っていたのは何の照明灯だったか?
a・劇場 b・大学
c・空港 d・野球場
 d・野球場
消えた婚約者の捜索を頼まれた休職中の刑事・本間は、アルバムに残された写真に映った野球場のものらしき照明灯に着目する。この照明灯が外側を向いていることから、意外な事実が判る。


問10 「按ずるに筆は一本也、●は二本也。衆寡敵せずと知るべし」。文筆で生活する困難を指した、明治の小説家・斎藤緑雨の有名な警句だ。●に入るのは、以下のどれ?
a・足 b・手
c・箸 d・釘
 c・箸
斎藤緑雨は別名・正直正太夫。皮肉屋として知られる。この警句は、「青眼白頭」に収録。同じ中から、もうひとつ紹介しよう。「貧人が唯一の味方は、詩人なりと。げに然らん、詩人も唯一の貧人なれば」。


問11 お金をめぐる悲喜劇を描いた以下の作品と作者を結び付けなさい。
a・梅崎春生 b・赤川次郎
c・黒川博行 d・星新一
ア・ボロ家の春秋 イ・福の神
ウ・一億円もらったら エ・大博打
 a―ア、b―ウ、c―エ、d―イ


問12 晩年を世間から隠れ孤独に過ごした永井荷風。一九五四年(昭和二十九)に電車内でなくしたカバンに入っていた預金通帳の残高は?
a・五千円 b・二百万円
c・四万円 d・二千万円
 d・二千万円
このカバンは米軍木更津基地に勤務するアメリカ人軍曹に拾われ、無事荷風の手元に返った。しかし、その謝礼が五千円だったのが少ないと揶揄されたり、借金を申し込む手紙が殺到したりと、荷風の生活を乱した。


問13 池澤夏樹『スティル・ライフ』で、「少しお金が必要なんだ」と云う佐々井とぼくがやりはじめた「仕事」とは?
a・誘拐 b・株の売買
c・公金横領 d・パチンコ
 b・株の売買
『スティル・ライフ』は一九八七年の芥川賞受賞作。作中で佐々井がやっているのは、いわゆる「デイトレード」だ。「ある程度の資金があって、きちんとした情報と運用のシステムがあって、なおかつ期間を限り、投入した資金を何割か上回る利益が上がったところで終了するつもりなら、株は安全で着実な方法だ」と佐々井は云う。



問14 恋人のレーサーのために一千万円を得ようと、株やネズミ講、さらには脅迫にまで手を出す福美女性、を描いた『イミテーション・ゴールド』。この作品の作者は?
a・小池真理子 b・林真理子
c・夏樹静子 d・田辺聖子
 b・林真理子


問15 以下の引用文を読み、その作者を以下から選べ。

「人はよく、お金の有り難味と云う事を申すけれど、お金の有り難味の、その本来の妙諦は借金したお金の中にのみ存するのである。汗水たらして儲けたお金と云うのも、ただそれだけでは、お金は粗(あら)である。自分が汗水たらして、儲からず、乃(すなわ)ち他人の汗水たらして儲けた金を借金する。その時、始めてお金の有難味に味到する。だから願わくは、同じ借金するにしても、お金持からでなく、仲間の貧乏人から拝借したいものである」
a・稲垣足穂 b・菊池寛
c・内田百ケン d・上林暁
 c・内田百ケン
百鬼園先生は、借金に関する理屈を考えるのが趣味だったのではないか? 引用した「無恒債者無恒心」を含む『大貧帳』(『内田百ケン集成』5、ちくま文庫)には独自の「錬金術」が満載である。

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