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掌に自由を包む、ひとつの方法

yom yom vol.44 2017年6月号

(隔月1、3、5、7、9、11月第三金曜日発行)

756円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/05/19

発売日 2017/05/19
JANコード F803021
価格 756円(税込)
◆NEW SERIES
三上 延「月の沙漠を 同潤会代官山アパートクロニクル」
震災という喪失で結ばれた二人が、昭和の家族の歴史を紡いでゆく――。待望の本格連載開始!

東川篤哉「三人組にうってつけの迷宮 かがやき荘アラサー探偵局2」
今日はダメでも明日はきっと輝きそう! 三人組アラサー女子探偵リターンズ(-д☆)キラッ!

最果タヒ「暗闇くん/暗闇くん 別邸」
電子書籍は光る本。だから、暗闇で読める本。あなたにやってくるかもしれない暗闇に合わせて詩を書いていく連載です。

中山七里「死にゆく者の祈り」
囚人に仏道を説き、精神の救済を願う教誨師、高輪顕真。今、彼の前に引きずり出された男は――。

乾 緑郎「機巧のイヴ2 Mundus Novus」
穢れなき魂を持つ機巧人形〈イヴ〉、万博を控えた新世界大陸(ムンドゥス・ノーヴス)の街ゴダムにて眠りから覚める……。

早坂 吝「人工知能探偵AIアイのリアル・ディープラーニング」
焼損死体としてみつかった父。現場の研究室で、僕は父の残した“少女”と出会い――。

カレー沢 薫「モテる技術(仮)」
モテたい。そう呟いたことなき者だけがこの本を閉じよ。世のモテをメッタ刺す新連載!

新井久幸「読みたい人、書きたい人のための、ミステリ超入門」
そもそも、ミステリってどんなもの?

◆SPECIAL STORY
恒川光太郎「やがて夕暮れが夜に」
弟が人を殺して目覚めさせた「悪いもの」から逃れ、森の小屋に隠れ棲むあかりだったが……。

◆SERIES
千早 茜×尾崎世界観「犬も食わない」[第2回]
仕事帰りの待ち合わせ。あらわれた男の姿に女は怒りを隠せず――。

成田名璃子「川越三姉妹の失恋」[第2回]
恋愛なんて――。そんな次女・六花の前に、漫画から抜け出てきたような美青年が現れた。

吉野万理子「忘霊トランクルームは」[第2回]
花嫁の母と、夫になるはずだった男。二人の“忘霊”に出会い戸惑う星哉だったが――。

谷 瑞恵「殻の祭壇」[最終回]
池畠の生き方を縛る秘密に触れた夏樹は――。人々の静謐な祈りが胸を打つ、感動の最終話!

朱野帰子「わたし、定時で帰ります。」[第4回]
晃太郎を守るため、ついに残業を始めてしまった結衣。そこへ新人・来栖が退職願を――。

須賀しのぶ「夏の祈りは」[第4回]
「ま、俺たちは無理だろうけど」。期待されていない世代は、自嘲を胸にグラウンドにたつ。

蒼月海里「夜と会う。II」[第2回]
氷室を頑なに庇うツルバミに澪音の言葉は届くのか。ノクターンとの全面対決が今始まる。

三川みり「もってけ屋敷の本の怪人」[第3回]
七曲の企みに笑みをたたえる、坂の上に住む美しいひと。これはほろ苦い、初恋のお話。

岡崎琢磨「春待ち雑貨店ぷらんたん」[第4回]
この店舗から立ち退くか、あるいは……。決断を迫られた巴瑠に、もう一つ深刻なトラブルが。

梶尾真治「Aクライ・プリンセス」[第4回]
「かいま会」を立ち上げ、張り切る美宇。だがスーパーヒロインの栄子は不安でいっぱい。

吉川トリコ「マリー・アントワネットの日記」[第5回]
「暴動か?」「いいえ、陛下、革命です」――私たちはずっと、神の御心に背かず歩んだはずなのに。

藤井太洋「ワン・モア・ヌーク」[第5回]
イブラヒムにテロ計画を乗っ取られた但馬は、消滅へのカウントダウンが始まった東京を奔る!

◆COMIC
益田ミリ「マリコ、うまくいくよ」[第12回]
――女である前に私なのだということを会社の空気が置き去りにする。

◆ESSAY&COLUMN
神田松之丞 聞き手・杉江松恋 「“絶滅危惧職”講談師を生きる!」[第2回]
父を亡くし、居場所まで失った。時が止まったままの彼を救ったのは、ラジオから流れる圓生だった。

執筆者紹介/編集後記

次号予告

編集長から

掌に自由を包む、ひとつの方法

 さて、vol.44(2017年6月号)は電子書籍版の第1号です。電子化作業を始めてみればやっぱり予想できなかったことも多く、様々なリクエストにご対応くださった作家・イラストレーター諸氏にはもう感謝しかありません。日本一美しい電子文芸誌を目指して細かな調整作業を続けてくださった川谷デザインさんには足を向けて寝られません(一つ一つ制作していただいたカラーの作品扉の美しいこと!)。そしてもちろん、yom yomの新しい一歩を見守ってくださっている皆様にも改めて御礼申し上げます。

 私ごとになりますが、初めて電子で本を読みだしたのは、我が子が生まれた頃でした。夜泣きに困り、ベビーカーを押して静まりかえった住宅街をひたすら歩く。あの焦燥感を癒やしてくれたのは、暗闇でぼうっと光るモニタの中の小説でした。まだガラケーのボタンをニチニチ(という擬音を作ったのは舞城王太郎さんでしたよね)押していた時代。
 子どもが生まれれば暮らしも変わり、遅ればせながらまっとうな社会人の時間帯に出勤します。身動きできないラッシュアワーの通勤電車に乗り込めば、たとえ文庫本であろうとも鞄から取り出すことができません。ラッシュなんて世の中的にはあたりまえなのでしょうけど、あんなに好きだったはずの小説を楽しむ気持ちが日ごとに消えてゆくのが残念でした(残念だけれども、それをどうにかしようという気持ちが、そもそも消えていってしまうわけですね)。そんな時、ポケットから片手で取り出せるスマートホンは、私の唯一の相方でした。別にどうしても離れがたいほどじゃないけれど、まあ一緒にいてくれるといろいろ便利だし、という感じの。
 でもこの相方が想定以上に親切なやつで、電車内の中吊り広告で少し気になった本をその場で電子書店で買ってみたり、無料版の続きが読みたくて続刊をポチってみたり。しばらくすると、私のスマホの中には、それまで読んだことがなかった小説や、気にはなっていたけどなんとなく放置していたマンガ(だってほら、受験勉強をしていた時期や、仕事でいっぱいいっぱいになっていた時期は、マンガにブランクができませんか?)などがたくさん並んでいたのです。

 オトナになるってだんだんと自由を削られるようなところがあります。
 が、“それをなんとかする方法”はいつも電子がくれました。オトナの自由は、この掌に包んだ端末にある――なんて。笑
「電子書籍は光る本。だから、暗闇で読める本。あなたにやってくるかもしれない暗闇に合わせて詩を書いていく連載です。」これは今号から「暗闇くん/暗闇くん 別邸」を執筆するにあたって、最果タヒさんが寄せてくださった言葉。電子書籍化のメリットは、yom yomというこの一冊の本が、お読みいただいている読者ひとりひとりの生活に、これまで以上にぴったりと、そして親しくひっそりと、寄り添えるようになることだと私は思います。皆様が削られたくない、諦めたくない自由を、いつも提供できる雑誌として。たとえば外回りの仕事帰りに立った駅のホームで、ふと見上げる青空のような雑誌として。

 電子のメリットを追求することはもちろんながら、だからといって変に奇を衒った誌面にするつもりはありません。逆説的な物言いになりますが、私たちの削られたくない自由とは、“どんなに環境が変わっても、変わらずにいられることの自由”だと思うからです。
 これまでの執筆陣は完全に引き継いだ上で、毎号、魅力的な新連載と読み切り作品を掲載していきます。今号では三上 延さんの「月の沙漠を 同潤会代官山アパートクロニクル」や、東川篤哉さん「三人組にうってつけの迷宮 かがやき荘アラサー探偵局2」といった個性溢れる新連載も8作開始。当社出版部文芸第二編集部の新井編集長による「読みたい人、書きたい人のための、ミステリ超入門」なんていうのも始まっております。

「yom yom」編集長 西村博一

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世界はこんなにも様々な可能性に満ちているから。

「yom yom」はそんな物語の囁きを、あなたがこっそり聞きに来る雑誌です。あなたと一緒に歩いてくれる、あなたのための物語が、見つかる場所になりたいのです。それでお気に入りを読み終えたら、「しょうがない。明日も生きていってやるさ」とでも思っていただければ幸せです。注目作家の小説も詩もコミックも……文芸の「イマココ」に必ず出会えるボリュームたっぷりの文芸誌です。