夏目漱石の『
こころ』を読んだことのある方は多いと思います。
国語の授業で、読書感想文の課題で、夏休みになんとなく……。
どんな感想を持たれましたか?
私が『こころ』をきちんと読んだのは、高校2年の現代文の授業でした。
あの時の衝撃は今でも忘れられません。
三角関係や自殺といった物語の展開にどきどきしつつ、何より、文中の表現から多様なものを読み取って想像することの楽しさを教えられました。小説っていうのは実はこんなに面白いんだ!と、目の前の世界が広がった思いがしました。『こころ』には始まりから終わりまで、大変緻密に計算された細かな仕掛けが張り巡らされていて、まるでトリックを解いてゆくミステリー小説を読んでいるかのような楽しさを味わえるんですよ。
この小説を、漱石は新聞で連載していた、というのも驚きでした。新聞連載というのは、毎日少しずつ掲載されていき、結末まで書いた後に直すということができません。漱石のあたまの中には、執筆前から既に、これらの仕掛けがある程度出来上がっていたわけですから、なんという頭脳明晰さ。夏目漱石は難しそうだからちょっと…と、敬遠していては本当にもったいないです。
『こころ』を読まずに人生を終えるなんて、なんて損なことでしょう!
新潮文庫には『
文豪ナビ』というシリーズがあります。
三島由紀夫、太宰治、夏目漱石、谷崎潤一郎、山本周五郎、芥川龍之介、川端康成の7人の作品について、それぞれ1冊ずつにまとめた“ガイドブック”です。文豪の作品を読んでみたいけれど、何から読んでいいか分からない読者のみなさん、ぜひ手にとってみてください。分かりやすく面白く紹介しているので、きっと読書の手助けになることと思います。年末年始のお休みに、文豪の作品に耽ってみてはいかがでしょうか。
「yom yom」編集部(M・T)