欧米では作家が自身の作品を朗読し、聴衆の質問に答えるという「朗読会」が盛んだそうです。作家と直に交流できる主な機会がサイン会、という日本では大変羨ましい話ですよね。作家の肉声を聞きたい! と願う読者の方は多いのではないでしょうか。
新潮社では作家の講演や、作品の朗読を収録したカセットやCDを発売しています。江守徹さんが山本周五郎さんの『
葦は見ていた』を、市原悦子さんが松本清張さんの『
家紋』『
巻頭句の女』を朗読し、最近では、ベストセラーになった小川洋子さんの『
博士の愛した数式』が柄本明さん主演でラジオドラマになり、CD化されています。小説を“聴く”ことからは、読むこととはまた違った印象を感じることでしょう。
今回ご紹介するのは、向田邦子さんの講演『
言葉が怖い』です。
昭和56年――ちょうど向田さんが事故で亡くなられた年――に収録されました。子どもが親を殺してしまう事件についてのこと、旅先で考えた異文化の言葉についてなど、20年以上経た今でも、非常に新鮮に感じられます。
言葉がもつ力の正と負。作家の向田さんが語られる説得力ある内容に加えて、向田さんの上品な言葉遣いやユーモアたっぷりに話される様子に、活字では捉えきれない向田さんの魅力に触れることができます。例えば、直筆の原稿を拝見したときと同じように、作家の人間性を少し覗けた気がして非常に嬉しくなりました。
向田邦子さんの他にも、小林秀雄さん、司馬遼太郎さん、遠藤周作さん、沢木耕太郎さんなど、多くの作家の方々の講演がCDやカセットになっています。
活字を読むのがしんどくなってしまったおじいさん、おばあさんにプレゼントしたり、お風呂で半身浴をしながら耳を傾けたり、iPodに入れて持ち歩いたりするのもちょっと粋な気がしませんか……?
「yom yom」編集部(M・T)