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yom yom ヨムヨム 23号 特別定価:780円(743円)

さくらももこ『そういうふうにできている』

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 先週から今週にかけて、小社でも入社試験の面接が行われています。リクルートスーツ姿の学生たちとエレベーターで一緒になったのですが、上階に行くまでのわずか15秒間、面接に臨む学生たちの緊張感がひしひしと伝わってきました。5年前になりますが、私も面接時の極度の緊張からしばらく解放されず、帰り道、地下鉄東西線を逆方向に乗ったこともありました。でも不思議と面接にあたった社員の顔や、誰にどんな質問をされたかというのは覚えているもので、入社後、「あのイジワルな質問をしたのは○○さんか」などと、密かに確かめたりもして……。
 いざ、入社して先輩社員と話をすると、自分がこれまで読んだ本や記事を作った人が当然のことながらたくさんいます。「あの本を作った人」「あの事件を追った人」に当時の話を聞くのは、とても楽しく勉強になります。

「yom yom」編集長も、私が読んだ「あの本を作った人」のうちの一人です。
 さくらももこさんがご自身の妊娠から出産までを綴ったエッセイ『そういうふうにできている』は、私が中学生の頃に発売されました。「ちょっと、まる子が子どもを産んだらしいよ!」と母親が興奮しながら買ってきてくれたのを覚えています。

 毎日の計測が面倒だから基礎体温を捏造して記録していたけれど、ふと気が付いたときには……と、何とも“まる子”らしく妊娠が判明します。悪阻や便秘に悩まされたり、何でもないことで突然泣き出したりと、妊娠による身体の変調や、情緒不安定な日々をさくらさんも経験されました。中でもこんな大変な目にも遭ったりします。
「とんでもない事が判明した。肛門の力を抜いても、便が奥に引っ込まないのである。こんな事があろうか。便と直腸は一心同体のような行動をとるのが普通ではないか。肛門の閉鎖と同時にやや直腸壁も上方へ動き、それに合わせて便も少し上へ動くというのが正しい直腸と便の間柄のはずだ。それなのに、この便は奥へ引っ込むどころかビクとも動かず出口ギリギリの所にいるままである。しかも、肛門の力を抜いたとたん、便は私の肛門周辺に非常な不快感を与えたのだ。この不快感は言葉で伝えにくいのだが、あえて言うならば“尻の穴の呼吸を止める悪魔の封印石”とでも言おうか。」
 妊娠中に一度だけ苦しんだ便秘に対する記述です。自分の便秘のことを、かくも綿密にそして真剣に書いていて、母娘で腹を抱えて大笑いしました。
 さくらさんは、周辺の人間が起こしたことをつぶさに観察するのみならず、自分の身や周辺に起きたことも一歩引いた位置から冷静に考察しています。読み手がつい「ゲラゲラ」と声を上げて笑ってしまうのは、適度に俯瞰して自分自身を描かれているからだと私は思っています。

 文庫版の巻末にはビートたけしさんとの特別対談も掲載されています。
 妊娠中で不安だったり辛かったりの方はもちろんのこと、ちょっと落ち込んでいる方にもおすすめの、悩みを「笑い飛ばす」パワーをくれる一冊です。

「yom yom」編集部(M・T)

2009年04月15日
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