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取材先を探すには
つい先日、新しい年を迎えたばかり、と思っていましたが、もう一ヶ月が過ぎてしまいました。寅年だから、という訳ではないでしょうが、勢いよく日々が流れているような気がします。
「yom yom」では、毎号いろいろなことを体験し、その様子をお書きいただくエッセイ〈yom yomスペシャル〉や、三浦しをんさんが、さまざまな仕事に就かれている女性に、なぜその仕事を選んだのか、といった疑問をぶつける「三浦しをんのふむふむ」という頁があります。
「yom yomスペシャル」に登場いただいたふたりの男性は、万城目学さんがロッククライミング、森見登美彦さんが富士登山と、まさしく身体を張った体験をしていただきましたが、角田光代さんの〈ボーイスカウト入団〉、森絵都さんの〈タイル工場見学〉などの場合は、まず取材を受けて下さる相手を探し、依頼をして、ということから始めなければなりません。
「ふむふむ」も同じく、三浦さんからこんな職業の方に会ってお話を聞いてみたい、というリクエストがあれば、それに合った方を探さなければなりません。13号では、ウエイトリフティングの選手をということで協会に連絡をとり、昨年の全日本選手権優勝者を紹介していただきましたし、「大好きなフィギュアを作っている人」に会いたい、となれば会社の広報を通じて依頼、企画者のお話を伺うことが出来ました。
次号の14号では、昔ながらの観光地の土産物屋の女主人を、というご希望に対して、編集者が事前にある商店街を歩いて店々の写真を撮り、三浦さんに選んでいただいたのですが、その店には生憎女主人はおらず、最終的には商工会議所のご協力を仰ぎぴったりの方をご紹介いただくことが出来ました。
森絵都さんのタイル工場見学の際は、景気の悪さも影響し工場も休業中だったりと、取材先をなかなか決められずにいたのですが、たまたま連絡のあった友人からの「うちの叔父さんがタイル工場やってるよ」という言葉に、こんな偶然もあるのかとびっくりしたこともあります。
こうやって取材先を決めている「yom yomスペシャル」と「三浦しをんのふむふむ」。
次号のスペシャルにはYonda?を描いている100%ORANGEが登場します。イラストとともにお楽しみ下さい。
次号の発売は2月27日、発売までもうしばらくお待ち下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2010/02/01
今年から年5回の発行になります
あけましておめでとうございます。新しい年をいかがお迎えでしょうか。
年末年始に帰省をされたり国内外へご旅行されたり、家でのんびりされたりなどさまざまにお過ごしでしょうけれど、「yom yom」13号を、移動の電車や飛行機の中、またはおうちで炬燵にあたりながらお楽しみ下さった方もいらっしゃることと思います。
〈今読みたい作家〉の読み切り小説やエッセイを掲載した「yom yom」をお届けしてちょうど丸3年が経ちました。沢山の読者にご愛読をたまわり、今年から発行回数が1回増えることになりました。これまでの2、6、9、11月に4月が加わり、年5回お届けすることになります。「yom yom」を応援して下さっているみなさまのおかげと、本当に感謝しております。
さらに内容も充実、新しい書き手もどんどん登場していただきますので、今後ともなにとぞご愛読下さいますよう、お願い申し上げます。
現在書店に並んでいる13号にも、〈読みたい作家〉が沢山登場して下さっています。読み切り小説には、奥田英朗さん、横山秀夫さん、乃南アサさん、阿川佐和子さん、辻村深月さん、恩田陸さん、金原ひとみさん、近藤史恵さん、万城目学さん、栗田有起さんと、ミステリから人情小説、家族ものからちょっとファンタジーを感じさせるものまで、バラエティに富んだラインナップです。どの小説も17、8ページから50ページくらいまでの読み切りですので、お好きな時間にお好きなページからお読み下さい。
ほかに佐野洋子さんの「読書日記」、坂東玉三郎さんがこれまでに出会い、心にのこった本について、中野翠さんが「私の本棚」を、また鈴木光司さんが新潮文庫収録の城山三郎さんの著作を全部読んだ「一気読み」など、それぞれ楽しいエッセイをお書きいただいています。
今年も、〈読む楽しみ〉をもっともっとお届けしてまいりますので、「Yonda?」の表紙の「yom yom」をなにとぞよろしくお願い申し上げます。
「yom yom」編集長 木村由花
2010/01/05
お待たせしました。13号の発売です。
つい先日、大学ラグビー関東対抗戦の早稲田対慶応が好ゲームを戦った秩父宮ラグビー場のすぐ近く、神宮外苑の銀杏並木が美しく色付き、秋の深まりを感じさせてくれています。先日、山形に行く機会がありましたが、月山はじめ山々の頂がうっすらと雪化粧をしていました。今年も残すところ一ヶ月、慌しい年末がやってきます。
お待たせいたしました。「yom yom」13号の発売です。
読み切り小説には、『最悪』『無理』や『空中ブランコ』など、群像劇からコメディーまでバラエティに富んだストーリィテラー・奥田英朗さんが初登場。地方都市に暮らし、ちょっとした事に一喜一憂する若者の日常を描く「中古車販売店の女」に、笑いを誘われます。横山秀夫さんの「カウント・ダウン」は、孤独死を図る老人の心理を描きつつ、検視官の鋭い眼が真相を掴むミステリ、乃南アサさんの「コスモスのゆくえ」は下町にひっそりと身を寄せ合って暮らすふたりと、彼女らの前に現れた気立ては良いけれど、どこか危なっかしい若い女とのひとときの交流を描いた、心暖まる物語です。万城目学さんは三国志に材をとった中国歴史物「趙雲西航」、辻村深月さんの「長男の心得──使者生まれる日」も静かで深い感動を呼ぶ小説です。ほかに、阿川佐和子さん、恩田陸さん、金原ひとみさん、栗田有起さんと、どこから読んでも楽しめる、充実のラインナップです。
エッセイも、丸谷才一さん、岸本佐知子さん、おーなり由子さん、綿矢りささんが、それぞれ「読む」ことについて楽しいお話を寄稿して下さいました。
そして特集は「わたしたちのスポーツ人生」です。
江國香織さん、酒井順子さん、森見登美彦さんは、ご自分が体験したスポーツについてのエッセイを、椎名誠さんは若い頃にはまったムエタイについてエッセイと写真で、大の米大リーグ通の向井万起男さんには、お薦めのノンフィクションをご紹介いただきました。
さらにもうひとつ、近藤史恵さんの、自転車のロードレースに賭ける男たちを描いた『
サクリファイス
』の続編「老ビプネンの腹の中」も見逃せません。
白い表紙に、ピンクのハートが目印の「yom yom」13号、じっくりお楽しみ下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/11/27
100%ORANGEのこけし展
今年の秋は、綺麗に澄んだ晴天に恵まれていて、紅葉を見に行くにも、スポーツをするにも絶好の日和が続いています。次号「yom yom」13号では、〈スポーツ〉特集を組んでいて、ここ数日、江國香織さん、酒井順子さん、ほしよりこさんといったみなさんに、いろいろなスポーツ体験をしていただいています。私たち編集部員も参加しており、青空の下、汗を流すのはとても気持ちが良いのですが、普段の運動不足がたたってか、筋肉痛だけがちょっと辛いです。この特集のほか、奥田英朗さん、乃南アサさん、横山秀夫さん、万城目学さんほかの読み切り小説も充実の13号は、11月27日発売です。もうしばらくお待ちください。
スポーツの秋、食欲の秋、いろいろありますが、芸術の秋も味わおうと、現在上野の森美術館で開催中の「聖地チベット─ポタラ宮と天空の至宝─」(2010年1月11日まで、その後、大阪・仙台に巡回)に行ってきました。日本で見る仏像とは趣の異なるチベット密教の仏の数々──憤怒の表情の仏や抱擁する一対の仏など──にまず驚かされますが、どれも力強く躍動感があり、そしてちょっとユーモラスでもあったりもします。仏像のほかにも独特の暮らしの中から作り上げてきた装飾品や、楽器などチベット民俗の数々が展示されています。8年ほど前にチベットを旅したのですが、標高4000メートルに近いラサの、それこそ真っ青な空の中にそびえていたポタラ宮の崇高な佇まいを思い出しながら、展覧会を楽しんできました。チベット密教・チベット文化に馴染みのない方も多いかも知れませんが、ぜひこの機会に足をお運び、異文化に触れてみてはいかがでしょう。
もうひとつ、展覧会のご案内を。
「yom yom」の表紙・イラストを描いて下さっている100%ORANGEの「100%ORANGEこけし展覧会」が10月31日から11月30日の、金曜から月曜と祝日に、鎌倉のこけしとマトリョーシカのお店「KOKE-SHKA」で開かれます。手書きの「原画こけし!」のほか、鎌倉の大仏をモチーフにしたマトリョーシカ「リトルブッダ・バルーン」や「リトルブッダ・モノトーン」の販売もあります。ちょっとほのぼのとするこけし達に出会えると思います。詳しくは
http://www.100orange.net/exhibition.html
まで。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/10/30
たっぷりヨムヨム
秋の行楽シーズン到来。特に今年は五連休もあり、遠出をされた方も多いことと思います。私も一日ゴルフを楽しんだのですが、ゴルフ場のあちらこちらに沢山のどんぐりが転がっていました。ここしばらくは澄み渡る青空と、からっと気持ちの良い秋の陽気を満喫出来そうです。
さて、お待たせいたしました。「yom yom」12号の発売です。
今号はたっぷり読んでいただこうと、いつもよりちょっと厚めで、もちろん内容も充実。読み切り小説には、小野不由美さんの〈十二国記シリーズ〉最新作「落照の獄」150枚をはじめ、若手作家で今最も注目されている辻村深月さんの「アイドルの心得──使者生まれる日」、小池真理子さんの「蒼いトマト」、重松清さんの「ロング・ロング・アゴー」など読み応えある小説がずらりと並んでいます。また椎名誠さんによる、パタゴニアの過酷な自然を旅する男たちの物語とその写真のコラボレーション小説「パイネの牙へ」、阿川佐和子さんのちょっと複雑な関係から成り立つ家族小説「僕の兵隊」ほか、沢木耕太郎さん、恩田陸さん、栗田有起さんと趣の異なるさまざまな小説が掲載されています。全編読み切りですから、お好きな作家、気になる頁からお読み下さい。
さらに瀬戸内寂聴さん、黒柳徹子さん、有栖川有栖さん、嶽本野ばらさん、そして『千年の祈り』で注目のイーユン・リーさんの訳し下ろしなど面白いエッセイも揃っています。
また特集は、「誰もがすなる日記」と題し、〈日記〉にまつわるあれこれを取り上げました。とにかく日記を書かずにはいられない山本文緒さん・角田光代さんと、なぜ書くのか知りたい川上弘美さんによる鼎談「作家が日記をつける時」はじめ、荒俣宏さんによる古今の日記紹介、旅先で詳細な日記を作る池内紀氏の極意、さらにいしいしんじさん、高山なおみさんには8月一ヶ月間の「ふたりの夏日記」を書いていただきました。
もうひとつ、『きょうの猫村さん』でおなじみのほしよりこさんが岩国・厳島を旅したイラスト日記「ヘビに巻かれて」も必読です。
秋の夜長、「yom yom」でたっぷりと読書をお楽しみ下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/09/25
12号は9月26日発売です
いつも「yom yom」をご愛読ありがとうございます、まもなく12号の発売です。毎号発売日は発行月の27日ですが、今月は日曜日ですので、一日早い26日(一部地域を除く)となります。
12号は、読み切り小説初登場の辻村深月さんの「アイドルの心得──使者生まれる日」、小野不由美さんの十二国記シリーズ新作「落照の獄」など読み応えのある中篇を掲載しておりますので、ボリュームもたっぷり。秋の夜長にゆっくりとお楽しみいただけます。ちなみに小野不由美さんの「落照の獄」の舞台は柳国。『華胥の幽夢(かしょのゆめ)』(講談社文庫)の「帰山」で描かれた柳国での出来事を描いています。
書籍詳細を見る
前号11号の特集「鉄道にノルノル、鉄道をヨムヨム」で、酒井順子さんに九州の列車に乗りつつ各地の揚げ物を食していただきましたが、その体験記「鉄と油の二泊三日」も収録された単行本『
女流阿房列車
』が9月18日に発売されました。〈鉄子〉の酒井順子さんにさまざまな鉄道体験を強いた「小説新潮」の人気シリーズですが、東京の地下鉄を16時間22分かけて全乗したり、東海道線を53回乗り継いだり、東京~博多をこだま号で10時間半かけて旅したりと、楽しいような辛いような旅がぎっしり詰まっています。楽しい紀行エッセイ集ですので、ぜひご覧下さい。
また、12号までお書きいただいた重松清さんの短篇6本を集めた小説集『再会』も10月に発売になります。こちらもお楽しみに。
そしてお知らせをもうひとつ。
「yom yom」でもブックガイドなどでいろんな本を楽しくご紹介下さっている豊崎由美さんと、『田村はまだか』(光文社)で今年の吉川文学新人賞も受賞され、今最も注目されている作家・朝倉かすみさんのトークショー「三つの読書」が10月31日札幌市中央図書館で開催されます。実は私も参加させていただき、作家・書評家・編集者という三人三様の立場から読書について語り合う、予定です。
10月31日午後3時から、聴講ご希望の方は下記のHPをご覧の上ぜひご応募下さい。
http://www.city.sapporo.jp/tosyokan/ht/oshirase.html#moji
どんな話が飛び出しますか……豊崎さん、朝倉さんからきっと爆笑トークが出てくると思いますので、お時間ありましたらぜひお越し下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/09/18
神社のご利益
ここ数日、朝晩は涼しく秋の気配も漂ってきましたが、この先三ヶ月の長期予報によると、まだまだ残暑は厳しいとか。本格的な秋の訪れはもう少し先かも知れません。強い日差しの中を歩いていると、木立や街路樹が作る木陰はありがたく、足は自然とそちらに向いていることがあります。
以前、ある神宮の権禰宜さんからこんな話を伺いました。いろいろ説はあるだろうけれど、「けがれ」とは不浄という意よりも、「気枯れ」、つまり「気」が枯れる状態のことを言う。人間が本来持っている「気」が枯れると、体調やら精神の状態やらが悪くなる。だから、「けがれ」た時には鎮守の森に囲まれ、「気」の満ちた神社を詣でれば、その「気」が回復するんですよ、と。
幾歳月を経たご神木や、杉木立に守られた空間には、確かに清らかな力があるように感じられ、以来、神社に詣でると大きく息を吸って良い「気」をいっぱい取り入れるようにしています。
そんな神社の中でも〈最強〉なのが伊勢神宮でしょうか。伊勢神宮では20年に一度、正殿をはじめ建物、さらに御装束や神宝を造り替え、御神体を新宮に遷す式年遷宮が行われますが、2013年に迎える遷宮を記念して東京国立博物館で「伊勢神宮と神々の美術」展が開かれています(9月6日まで)。「古事記」「日本書紀」などの古文書をはじめ貴重な展示物が並べられているのですが、1300年にわたり、御装束や神宝といった工芸品を作る技術が継承されていることに、何より驚きました。一昨年、御用材を曳きいれる〈御木曳行事〉を伊勢に見に行く機会を得たのですが、遷宮のための様々な伝統行事をこの機会にご覧になってはいかがでしょう。
「yom yom」でも、伊勢を彷彿とさせる架空の土地を舞台とした、恩田陸さんの小説「青葉闇迷路」を掲載しています。登場人物たちそれぞれが秘密を抱えるミステリアスな物語で、さらにその土地と人との不思議な関係も描かれていますが、この地ならこんなこともあるやも、と思わせる何かがあるような気がします。物語の名手が紡ぐ小説をぜひお楽しみ下さい。
また9月26日発売の12号では、ファン待望、小野不由美さんの新作も掲載されます。人気シリーズ「十二国記」の新作です。発売までもうしばらくお待ち下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/09/01
酒井順子さんが食べた揚げ物を、一挙ご紹介
緑の表紙に、赤い車に乗ったYonda?が目印の11号、もうご覧いただけましたでしょうか? 新潮文庫『
向日葵の咲かない夏
』『
片眼の猿
』が話題の道尾秀介さんの短編「夕霞」や、静謐な文章で描かれた、これぞ小説とも言うべき堀江敏幸さんの「波打つ格子」など、今号も読み切り小説全10編が充実です。お楽しみ下さい。
さて今号の特集「鉄道にノルノル、鉄道をヨムヨム」では、酒井順子さんが九州を鉄道で巡り、各地の揚げ物を味わいました。つぎつぎ現われる揚げ物に、かなり苦しくもあったその旅の顛末は紀行エッセイ「鉄と油の二泊三日」でぜひお読みいただきたいのですが、実際に酒井さんがお食べになった揚げ物の数々を、本文に掲載しきれなかった写真とともにここでご紹介します。地元のみなさんご推奨の、どれも美味しい揚げ物です。夏休みに九州を旅する予定のある方は、お試しあれ。
長崎空港2階売店で売っている長崎ばってん揚げと鯨カツ。ちゃんぽん天は長崎ならでは。
長崎てんぷら。砂糖入りの衣が少し甘い海老のかき揚げ。鍛冶屋町の天ぷら屋「のだ」で。タンシチュー好きの酒井さんが注文したタンシチューも美味でした。
海老のすり身をパンで挟んで揚げた長崎名物〈ハトシ〉。築町の「山口仕出し店」にて。ひとつ150円。
素麺が名産の神埼では、町起こしのひと品〈神埼そーめんコロッケ〉を。じゃがいもと素麺を混ぜ具とし、衣にも素麺を。「神埼宿場茶屋」で。
鳥栖のうどん屋「かつみ屋」で発見した〈揚げいなり〉。名物〈ごぼ天うどん〉のサイドメニューに。
熊本の郷土料理が楽しめる「青柳」では、当然〈からし蓮根〉を。
4月より運行のSL人吉号の中でいただける、からし蓮根スティック。旅のお供に。
ちょっと休憩、熊本・人吉駅近くの「丸一そば」で〈親子そば〉を。優しい味の鳥のお出汁が胃にしみます。
肥薩線吉松駅前・宮下製菓の〈汽笛まんじゅう〉。もちろん揚げまんじゅう。
100年を経た駅舎で知られる嘉例川名物の駅弁「かれい川」。さつま芋・にんじんなどの入った大振りの揚げ物〈がね〉が! 竹皮のお弁当箱が旅情を誘います。
番外編・鹿児島天文館の喫茶店「ママ」の〈白くま〉。フルーツたっぷりの甘味でしばし揚げ物を忘れて……。
鹿児島といえばやっぱりこれ。とんかつ「丸一」の330グラムの黒豚ロースカツ。美味いです! 迫力です!
鹿児島中央駅改札前で購入したさつま揚げ。枝豆入り、さつま芋入り、ごぼう入りなど種類も豊富。
宮崎名物〈チキン南蛮〉は、老舗の「おぐら本店」で。たっぷりのタルタルソースが……。
〈とり天〉は発祥の別府「東洋軒」で。酢醤油、ねりからしをつけて。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/08/01
特集は、「夏の読書」と「鉄道にノルノル、鉄道をヨムヨム」
夏の恒例「
新潮文庫の100冊
」フェアがスタートします。今年のラインナップは生誕百年を迎えた太宰治・中島敦はもちろんのこと、新作『
1Q84
』が話題の村上春樹さんまで、今読んでおきたい本がずらっと揃っています。また昨年好評だった
フェア限定スペシャルカバー
も『あしながおじさん』『十五少年漂流記』、さらに重松清さんの『きみの友だち』、山田詠美さんの『ぼくは勉強ができない』などを加えて全10色10冊に。2冊買えば必ずもらえるプレゼントも、このカラフルな本10冊を抱えたYonda?のマスコット人形です。100冊のラインナップと合わせて、書店の新潮文庫の棚で、または新潮文庫HPでぜひご覧下さい。
さて今号には、そんな〈100冊フェアの作家〉が勢ぞろいしました。読み切り小説には、沢木耕太郎・小池真理子・乃南アサ・重松清・恩田陸・道尾秀介氏らが登場。人情味溢れる話、心に響く話、ちょっとぞくっとする話など、様々にお楽しみいただけます。宮部みゆきさんには、子どもの頃からのご自身の読書体験「小遣いをやりくりして買うなら、本を」を、上橋菜穂子・いしいしんじ両氏にはエッセイを、三浦しをんさんには、連載の女性職人探訪記をお願いしました。じっくりお楽しみ下さい。
もうひとつ、乗っても楽しい、読んでも楽しい鉄道特集を。阿川弘之さんの満鉄(南満州鉄道)の乗車経験談から、酒井順子さんの九州一周鉄道と揚げ物紀行、森まゆみさんのシベリア鉄道完乗記、さらに平松洋子さんのぶらり巡る都電の旅まで、それぞれ趣の違う鉄道記をお願いしました。出久根達郎さんの「『小説よりも面白い』時刻表」、新作駅弁をプロデュースした小林しのぶさんの「まだまだあるぞ、元気な駅弁」も必読です。
読書エッセイコンクール「
新潮文庫感動大賞
」、その第二回の応募も始まります。昨年同様、選考委員は宮部みゆきさん。新潮文庫を読み、感動文を、どしどしお送り下さい。
締め切りは9月末日、大賞受賞作品は「yom yom」に掲載されます。詳しくは新潮文庫HPをご参照下さい。
もうひとつ。「yom yom」のメールマガジンが、今号よりHTMLに変わりました。「yom yom便り」や「おススメの一冊」はもちろんのこと、編集部からの情報や、次号のお知らせなど読みやすいカラーの画面でお送りします。またHPも、立ち読みページ、詳しい誌面紹介などリニューアルいたしました。ぜひご覧下さい。
これからもyom yomメールマガジンをご愛読下さいますよう、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/06/26
次号は6月27日発売です
yom yom編集部には男性ひとり、女性ふたりの3名の部員がいます。それぞれ芝居やら、落語やら、スポーツやら好きなものがあって、休み明けにこんなものが面白かったよ、と雑談するのが常なのですが、映画館にはみな足しげく通っているので、映画は話題に出ることの一番多いエンターテインメントかも知れません。先々週だったか期せずして週末に三人ともが観た映画は、韓国の新人監督ナ・ホンジンによる『チェイサー』でした。
2003年から04年にかけて実際に起きた連続殺人(21人の殺人容疑で逮捕され、後に自供で31人になった)を材にとった作品で、殺人鬼とそれを追う元刑事の息詰まるようなドラマが展開されます。凄惨なシーンもあるので映像としても怖いのですが、全篇通じて漂う緊張感や迫力、さらに役者たちの演技も強烈で、久しぶりに衝撃的なパンチを受け、週明けの映画談義も盛り上がりを見せました。まだご覧になっていない方は、ぜひ。但し、かなり怖いですので、心してご覧下さい。
日本でも連続殺人を扱った小説は数々あって、昨年亡くなった緒形拳さん主演で映画化もされた、佐木隆三さんの『復讐するは我にあり』(これも緒形さんの演技が凄かった!)、今年生誕100年の松本清張さんの『
わるいやつら
』、そして宮部みゆきさんの『
模倣犯
』など、どれも話題作です。宮部さんには他にもクレジットカード債務を扱った『
火車
』や『
理由
』など犯罪を材にした作品がいくつかあります。
そんな宮部さんの最新作『英雄の書』(毎日新聞社刊)は、主人公の女の子が現実世界と異世界を行き来するファンタジーではあるのですが、冒険や悪との戦いといったヒロイックファンタジーではなく、〈物語〉をめぐるちょっと異色の作品になっています。小学校5年生の友理子の兄・大樹が学校で友人をナイフで刺し、姿を消すところから物語は始まるのですが、その兄を探して友理子は古い〈本〉に導かれ異世界へと入って行きます。兄も書物の中の〈英雄〉に惹かれて、物語の生まれる世界へ入り込んでいるのですが、〈物語〉の定義や、なぜ存在するのかといったテーマが、登場人物たちによって語られてもいます。例えば物語の源泉〈万書殿〉の守人である無名僧は、〈物語〉とは「有りもしない出来事を作り上げる。そして語る。記録に残し、記憶をばらまく。嘘でございます」と。
宮部みゆきさんはこの『英雄の書』について「自分が20年以上も物書きをやってミステリやホラーを書いてきて、現実との間に生じる齟齬のようなものをまとめてみたかった」と、先日伺ったお話の中でおっしゃっていました。このインタビューは、次号の特集『夏の読書』に掲載します。子どもの頃から宮部さんがどんな本に親しんできたのか、そんな読書体験をたっぷり語っていただきましたので、ぜひお楽しみに。
次号は他にも、小池真理子・重松清・恩田陸・道尾秀介といった方々の読み切り小説が満載です。
6月27日の発売までもうしばらくお待ち下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/06/01
鉄道のススメ
先日、京都出張の折、空いた時間に東山辺りのお寺を散策して来ました。若い、深い、瑞々しい圧倒的な緑の中に、ぼたん、海棠、つつじ、花水木、小手毬、藤……と、色とりどりの花が咲いていました。心が沸き立つような、美しい季節になってきました。
行楽シーズン到来、GWも控え外出のご予定を立てている方も多いと思いますが、鉄道での旅をお考えの方にお薦めなのが「
日本鉄道旅行地図帳
」(新潮社刊)です。小社の〈鉄ちゃん〉が企画編集、日本全国を12の地域に分割しそれぞれを一冊にまとめ、鉄道の全線、全駅、全廃線を、正確な縮尺の地形図上に記載しています。名駅舎100選や、お薦めの車窓からの絶景、さらに地下鉄立体透視地図・車両基地一覧といったちょっとマニア向け企画なども楽しいムックです。B5サイズ、ノートくらいの薄さですから、ぜひ旅のお供にどうぞ。
また、新潮文庫6月の新刊にも、鉄道本が並びます。関川夏央さんの『
汽車旅放浪記
』、難波とん平さん・梅田三吉さんの『
鉄道員は見た!
』、そして鉄道写真家の櫻井寛さん『
今すぐ乗りたい!「世界名列車」の旅
』など、見て、読んで楽しい本ばかりです。
もう一冊、4月に刊行された森まゆみさんの『女三人のシベリア鉄道』(集英社)もとても面白い本です。森さんが学生時代の夢を果たすべく、ロシア・ウラジオストクからパリまでシベリア鉄道を使って9千キロの旅を続けるなかで、時期は少しずつずれるものの20世紀前半、シベリア経由でヨーロッパを目指した三人の女性──与謝野晶子・中條(宮本)百合子・林芙美子の旅を重ねていく。三人の歌や日記、小説から、時々の思いや、町・人への感想などをちりばめながら、森さん自身の旅を進めていく、本当に力作です。それにしても、晶子も百合子も芙美子も強くて、積極的で、なんて行動力があるのだろうと脱帽です。この本を読んで、シベリア鉄道の旅をしてみたくなりました。
そして、「yom yom」でも〈鉄道〉企画を進行中です。「yom yom」ならではの鉄道モノを進めておりますので、発売日(6月27日)までもうしばらくお待ち下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/05/01
スポーツを観る、スポーツを読む。
大のスポーツ観戦好きの私にとって、この1ヶ月はヤキモキしつつも(仕事は手に付かず)、とても楽しいものでした。もちろんワールド・ベースボール・クラシックがあったからです。
どんな競技でもそうですが、観ているだけでは気がつかない選手同士の駆け引きや、些細だけれど大きな結果をもたらす作戦が試合の中には沢山あります。WBCでも、バッターボックスに立った日本の選手が、一瞬の目線の動きだけで内野の守備隊形を確認していたシーンがスポーツニュースで流れていましたが、これから新聞・雑誌、テレビのドキュメントで紹介されるであろう様々なエピソードで、まだまだ大会の余韻に浸れるのではと、今から楽しみにしています。
小説でもスポーツを扱ったものは多く、最近では、本屋大賞受賞の佐藤多佳子さんの『一瞬の風になれ』、三浦しをんさんの『
風が強く吹いている
』はともに陸上競技を、森絵都さんの『DIVE!!』は水泳の飛び込みを、近藤史恵さんの『
サクリファイス
』は自転車のロードレースを題材にし、それぞれの競技を軸に、戦う人間達のドラマを描いた迫力のあるものばかりです。ちなみに「yom yom」9号掲載の「スピードの果て」は、『サクリファイス』の外伝的作品です。
心に強く残っているスポーツ小説では、宮本輝さんの『青が散る』。テニスに明け暮れる大学生たちの、テニスにかける情熱や若さゆえの痛みなど、青春時代のさまざまが一冊に凝縮された素晴らしい小説です。もう一冊、スポーツと言えないかも知れませんが、同じく宮本さんの『
優駿
』。競馬という世界に生きる人々のドラマがぎっしり詰まり、心に染みわたる感動がある、何度でも読み直したくなる小説です。小説を読んでから競技を見ると、また違った面白さが見えてくるかも知れません。ぜひ、ご一読を。
お知らせをひとつ。「yom yom」に掲載された小説が、単行本になります。まずは2号より掲載されていた角田光代さんの小説『
くまちゃん
』。男と女、恋と失恋の連鎖の物語で、恋のはじまりの沸き立つ思いから、愛に終止符を打つまでの不安な心模様を丹念に描いた連作集です。もう一冊は大島真寿美さんの『
三人姉妹
』。恋も仕事も宙ぶらりんな三女を中心に、鬱陶しいようで気遣いあう三人の姉妹と、とりまく人々の日常をリアルに描いた物語です。『くまちゃん』は3月31日、『三人姉妹』は4月22日発売です。こちらも、ぜひお読み下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/04/01
おいしい話、好きですか?
先日、早咲きの桜で有名な伊豆の河津を散策してきました。生憎、菜種梅雨の走りなのか、冷たい雨が降る中の桜見物となってしまいましたが、少し濃い桜色の花と土手の菜の花が、四月の桜とは違う味わいを見せてくれました。さらに、花の中から可愛らしい声が聞こえるので目を凝らして見ていると、何十羽といううぐいすが、花をついばんでいました。来週からは弥生三月、春はもうすぐそこまで来ています。
さて、お待たせいたしました。「yom yom」10号の発売です。
今号は「食べたい、読みたい、おいしい話」と題し、読んで楽しい〈美味しい話〉を特集いたしました。大評判となった大河ドラマ「篤姫」の原作者・宮尾登美子さんには『
櫂
』や『
春燈
』(ともに新潮文庫)などにも登場する土佐の料理についてのエッセイをお願いしました。食いしん坊のお父様の食材へのこだわりや、正月の料理支度など、土佐ならではの味のあれこれをご紹介いただきました。〈丸かじり〉シリーズでお馴染みの東海林さだおさんと平松洋子さんには、食べ物のことを文章で書く面白さや難しさについて、酒井順子さんには、東京のレストランを巡って五大陸を旅した「東京・各国料理で世界一周」を。
また実際に旅をしている椎名誠さんの写真紀行「辺境の食卓」は、よくもこんなものを口に入れることが出来たなあ……と思ってしまいますが、そこは椎名さんのこと。アザラシもカリブーの生肉も、蜘蛛もヘビも、ピラニアもわしわしと美味しそうに食べてしまいます。
さらに〈この人たちの好物〉として、檀ふみさん、澁澤龍子さん、向田和子さん、井上荒野さんに、檀一雄・澁澤龍彦・向田邦子・井上光晴各氏が好きだった思い出のひと品をお願いしました。お料理にまつわるお話しはもちろんのこと、レシピも100%ORANGEのイラスト入りでご紹介しています。イラストを描いていただくにあたり、実際に編集部で料理を全部作ってみました。どれも本当に美味しいので、料理もぜひお試し下さい(ちなみに個人的にお薦めは澁澤さんの「豚の武満徹ふう」と井上さんの「だご汁」です)。
もうひとつ、ほんわかした人気漫画「きょうの猫村さん」のほしよりこさんのイラスト紀行「山とそば」もお薦めです。信州を旅しながら各地でそばをすするほしさんのひとり旅、ちょっと真似したくなります。
もちろん、読み切り小説も梨木香歩さんの「
家守綺譚
」の新作ほか、万城目学さん・重松清さん・金原ひとみさん・恩田陸さんなど充実の一冊です。
「yom yom」10号、じっくりとお楽しみ下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/02/27
おいしい話、好きですか?
つい先日、新年を迎えお雑煮やお節をいただいたばかりなのに、あっという間に一ヶ月が経ちました。お隣中国では、今年は1月26日に旧暦のお正月「春節」を迎えましたが、日本のお節料理と同じように、もち米団子入りスープ(湯圓)やナツメの実、水餃子など縁起のいいご馳走を食べて新しい年を祝うそうです。
美味しいものを頂くのは、誰もが好きなことではありますが、「作家には食いしん坊が多い」という説もあり、確かに池波正太郎、吉田健一、開高健などなど美食家と呼ばれる人たちの食エッセイ(『
散歩のとき何か食べたくなって
』『旨いものはうまい』『小説家のメニュー』など)を読むと「食」に対する飽くなき興味や欲望が伝わってきます。ほかにも食に関しては、いろんな逸話があり、牛肉好きで毎晩ステーキを三枚食べていた石川淳、亡くなったその日までカツ丼を食べていた永井荷風、揚げ物好きの澁澤龍彦と、みなさんの健啖家ぶりも窺えます。
最近の作家でも料理好き・美味しいもの好きは多いようで、食べ物エッセイで披露したり、食事シーンで美味しそうな食べ物が沢山出てくる小説もあります。「yom yom」で「青葉闇迷路」を書いていただいている恩田陸さんの『木曜組曲』は、4年前に起きた女流作家の死の真相に、現場である館に集まった5人の女性たちが互いに牽制しあいながら近づいていくという物語ですが、この館で彼女たちが呑み食べするメニューが実に美味しそう。真鯛のカルパッチョ、牡蠣の豆鼓蒸し、海苔と切干大根の胡麻酢サラダ、温かいヒジキのドレッシングをかけたサラダなどなど……読んでいるうちにお腹が減ってきてしまう小説です。
「yom yom」10号では、ちょっと幸せな気持ちになれる「おいしい話」を特集します。食をめぐる対談、小説の中に出てくる食べ物の話、思い出の一品、「食べ物」に関する薀蓄話などなどご馳走が満載です。
もちろん、梨木香歩さん、重松清さん、恩田陸さん、金原ひとみさん、万城目学さんなどの読み切り小説も充実です。
2月27日の発売までもうしばらくお待ち下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/02/02
今年もヨム楽しみをたっぷりと
新年明けましておめでとうございます。穏やかなお正月をお迎えでしょうか。
東京などに住んでいるとお芝居やら、歌舞伎やら、コンサート・展覧会に親しむ機会に恵まれ、いろんなエンターテインメントを愉しんでいらっしゃる方も多いことと思います。私もあちらこちらに足を運ぶのですが、去年も一番多かったのは映画で、40本ほどの新作を映画館で観ていました。ワクワクしたもの、しんみりしたものなど様々ですが、記憶に残った作品が数本あります。
原作を読み、いったいどうやって映像化するのだろうと思っていた「
ライラの冒険
」はパラレルワールドを丁寧に作りテンポよいストーリーが面白かったし、バットマンシリーズの「ダークナイト」は執拗なまでに続く敵〈ジョーカー〉の凄みに圧倒されたし、クローネンバーグ監督の「イースタン・プロミス」はイギリスのロシアン・マフィアの中の犯罪を軸に描かれた人間模様が面白く(さらに主演のヴィゴ・モーテンセンが素晴らしい!)、本当に魅せられた作品でした。
他にも重松清さん原作の「
きみの友だち
」「
青い鳥
」、梨木香歩さんの「
西の魔女が死んだ
」など、物語を丁寧に描いた作品も多く、ハリウッド映画とはまた違った心温まる作品も多かったと思います。もちろん、「インディ・ジョーンズ」などの超娯楽映画を大画面で観るのも大好きですけれど。
すでにDVDになっているものもありますので、このお休みにご覧になってみてはいかがでしょう。合わせて原作もぜひお読み下さい。
昨年は、「
赤毛のアン
」誕生100年や、「
源氏物語
」千年紀が話題になりました。今年は太宰治・松本清張がともに生誕100年を迎えます(このおふたりが同年齢、というのにちょっと驚きましたけれど)。「
人間失格
」や「
ヴィヨンの妻
」、「
ゼロの焦点
」などの映像化も決まっているようです。どんな作品になるのか、今から楽しみにしています。
そして「yom yom」でもこのおふたりの特集をするなど、タイムリーな話題を盛り込みつつ、いろんな「読む楽しみ」を年に4冊お届けしてまいります。
今年も「yom yom」をなにとぞよろしくお願いいたします。
「yom yom」編集長 木村由花
2009/01/05
9号は、ミステリをたっぷりと
来年はどれにしようかとカレンダー売り場で悩み、年賀状を買い、そろそろ忘年会の相談をして……そうこうするうちに、あっという間に師走、そして年末と、毎年のことながら忙しない季節がめぐって参りました。
さて、お待たせいたしました「yom yom」9号の発売です。この時期、恒例の「このミステリーがすごい!」や「週刊文春」などのベスト・ミステリが書店の店頭を賑わせます。年末年始のお休みに、今年の話題作を読もうと楽しみにされている方も多いことでしょう。そこで、今号では「この冬は、ミステリをたっぷりと」と題し、ミステリの特集を組みました。
読み切り小説は、乃南アサさんの「毛糸玉を買って」、また近藤史恵さんの、今年の本屋大賞二位となった『
サクリファイス
』のもうひとつの物語「スピードの果て」の二本を、また『ボーン・コレクター』などでお馴染みのジェフリー・ディーヴァーの訳し下ろし小説「つぐない」を掲載しました。人情味あり、迫力あり、どんでん返しあり──それぞれの味わいをじっくりお楽しみ下さい。
大のミステリ好き、児玉清さんと江國香織さんには、お薦め海外ミステリをご紹介いただきました。好きな作品を目の前に並べての対談は、本当に熱く、思い入れたっぷりに面白さを語って下さり、お薦め本の書名も次々に出てくる楽しいものでした。江國香織さんがミステリの面白さにはまり、これから読む本が沢山あると気付いたときに「これで人生もう大丈夫だと思った」という言葉が、印象的でした。
また有栖川有栖さんには古典から現代まで、歴史に沿いつつ、国内外のお薦めミステリを50冊紹介していただきました。「外れ抜き」の「栄養バランスに留意して」選んでいただいたリストから、何を読むかじっくり悩んでみてはいかがでしょう。
他に、赤川次郎さん、石田衣良さん、沢村凛さん、手嶋龍一さんには「私の好きな」探偵・スパイ小説・ミステリ映画などを挙げていただきました。さらに豊崎由美さん、大森望さん、東えりかさん、千野帽子さんによるガイドもぜひご参照下さい。お気に入りのミステリがきっと何冊も見つかるはずです。
もちろん、ミステリ以外の読み切り小説も充実、重松清さん、阿川佐和子さん、恩田陸さん、森見登美彦さん、嶽本野ばらさん、大島真寿美さんの小説もお楽しみ下さい。
寒い冬、暖かい部屋の中でじっくりミステリにひたる日々──年末年始のお休みを待たず、明日からでもぜひ始めてみてはいかがでしょう。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/11/27
「赤毛のアン感想文コンテスト」と「感動大賞」
今年は源氏物語が記されてから千年ということで、各地で様々な催しが開かれているようです。中でも1日京都で開催された「源氏物語千年紀記念式典」では、「yom yom」5号でもインタビューにご登場いただいた瀬戸内寂聴さんの講演などがあり多くの方が集まりました。日本文学研究者で、コロンビア大名誉教授のドナルド・キーンさん曰く「日本文学の最高峰で、世界の古典」である『
源氏物語
』を、この秋の夜長に楽しまれてみてはいかがでしょう。
すでに読まれている方には、現代の作家たちがそれぞれの手法で描いた『
ナイン・ストーリーズ・オブ・ゲンジ
』がお薦めです。江國香織さんが「夕顔」を、角田光代さんが「若紫」を、金原ひとみさんが「葵」を、桐野夏生さんが「柏木」をと、9人の個性溢れる作家がそれぞれの帖を蘇らせました。ぜひ、お楽しみ下さい。
カナダで生まれた世界の古典『
赤毛のアン
』も、今年誕生して百年を迎えました。この百年を記念して、新潮文庫と「yom yom」ではこの夏、「赤毛のアン 感想文コンテスト」を開催しましたが、8月末の締め切りに未成年の部・成人の部合わせて1,192通の応募がありました。応募者の年齢も小学生から90歳までと幅広く、「赤毛のアン」ファンの層の厚さを感じさせ、また「私のアン」をみなさんとても熱く描いて下さいました。
先日、選考委員の梨木香歩さん、村岡美枝さん・恵理さんが集まり、それぞれの部門の大賞も決定いたしました。詳細につきましては、11月末発売の「yom yom」9号をご覧下さい。
また、「
新潮文庫の100冊
」フェアに合わせて募集いたしました、第一回「感動大賞」。宮部みゆきさんが選考委員のこの賞には、なんと1万通を越える応募がありました。ご応募下さったみなさん、本当にありがとうございました。スタッフ一同で厳選なる選考をしているところです。
宮部さんの選評ならびに結果発表は、2月発売の「yom yom」で行いますので、もうしばらくお待ち下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/11/04
8号が出来ました
夜になるとちょっと冷んやりした風が吹き、虫の音が耳に心地よい季節となりました。
お待たせしました。「yom yom」8号の発売です。
今号の特集は「犬と猫の文学」。私たちの身近にいる犬と猫には、百人百様の物語があると思いますが、今回、エッセイや小説をお書き下さった作家の皆さんのお話も本当に面白く、そして胸を打つものばかりでした。
椎名誠さんは、これまで飼ってきた犬や、取材先で出会ってきた犬の物語を写真とともに紹介して下さいました。子どもの頃の思い出の犬から、モンゴルやチベット、パタゴニアからシベリアまでまさしく世界中で出会った犬のそれぞれのエピソードが面白く、犬に対する椎名さんの〈愛〉が伝わってきます。向田和子さんは、小さい頃から向田家で飼われてきた猫についてのエッセイを。「家につく」と言われる猫を、引っ越し先で調教しようとした姉・邦子さんのエピソードや、向田家の人々と猫の関わり、さらに飛行機事故で亡くなった邦子さんの飼っていた猫を和子さんが引き継ぐ話など、思わずほろりとさせられます。
現在は2匹の犬を飼う森絵都さんの、子どもの頃に飼った犬にまつわる切ない話や、人生の転換期に猫が支えてくれたという村山由佳さんのエッセイ、先日、奥様を亡くされた川本三郎さんが奥様の反対を押し切って拾ってきた野良猫との顛末や、「犬に目がない」という小澤征良さんの犬への思いなど、本当に心が熱くなるような、美しいお話ばかりです。
特集の中には、山本容子さん・岡崎武志さん・最相葉月さん・千野帽子さんによる犬・猫本のブックガイドや、森まゆみさんによる、文豪たちが犬猫をどう描いていたかのエッセイ、動物生態学の日高敏隆さんによる「犬と猫」の違いなどのほか、乃南アサさん・小川洋子さん・唯川恵さん・江國香織さん・小野不由美さんたちの愛犬・愛猫の写真も勢ぞろいです。
犬・猫好きの方はもちろん、そうでない方にも存分に楽しめる特集ですので、ぜひご一読下さい。
青い表紙の「yom yom」8号を、どうぞお楽しみ下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/09/26
次号は9月27日発売です
つい先日、隕石でも降ってきたのか、と思うほどの大きな音で未明に目が覚めました。雷が大暴れしていたのですが、今年の雷や豪雨には恐怖を覚えるほどです。
さて毎号、いしいしんじさんが気になっているところに足を延ばしている連載「遠い足の話」では、これまで直島、高野山、大阪、長崎など国内各所を回ってきました。面白いものを発見したり、なぜか毎回驚きの出会いがあったりと、取材中に不思議な体験をすることもしばしばで、これもいしいさんの持つ〈引きの強さ〉なのかなと思ったりもします。黄色い表紙の7号では、この連載で初めて海外、NYへと足を延ばしました。
お目当てのひとつだった写真家・鬼海弘雄さんの写真展のオープニング、アポを取っていた移民博物館や、グッゲンハイム美術館を見て回り、アストリア、ブライトンビーチといった移民の町を散策、さらに友人のボニーさんとの再会など、出発前に立てていた予定をこなしていくうち、何となくいしいさんの口数が少なくなっていくように見えました。それはいつも感じることなのですが、ノートと鉛筆と鉛筆削りを手に、文字と絵で取材の記録を取っているいしいさんは、見て聞いて感じたことを自分の中に入れて、ゆっくり何かの形になっていくのを待っている。そのために大切な時を過ごしているように思えるのです。その後、NY市立図書館にひとりで行きたい、と言ったいしいさんがどんな時間を過ごし、何を見つけたのか。NYの日々で何を得たのか──本誌連載をぜひご覧になって下さい。また、つい先日終わったばかりの次号8号の取材でも驚くような、強烈な出会いがありました。次号にもご期待下さい。
さて「yom yom」8号は9月27日に発売となります。特集は「犬と猫の文学」。取材先で会った犬たちの物語を椎名誠さんが、村山由佳さんが飼っている猫との関係を、また、向田和子さんが向田家の猫たちについてエッセイをお書き下さいます。さらに、小川洋子さん、江國香織さん、小野不由美さん、唯川恵さん、乃南アサさんらの自慢の飼い犬・飼い猫のベストショットを集めました。飼い主ならではの目線で撮られた写真、どうぞお楽しみに。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/09/01
こんな体験してみませんか?
熱帯夜やら猛暑やら真夏日やらと、聞くだに、見るだに暑そうな言葉が交わされる今日この頃、まさに夏真っ盛り。風鈴の音を聞き、打ち水をし、夕涼みをして……こんな風情のある言葉で、暑さを凌いでみてはいかがでしょう。
夏の日差しを浴び、すっかり日焼けしたYonda?が目印の「yom yom」7号、もうご覧いただきましたでしょうか。特集「『
新潮文庫の100冊
』の作家たち」では、読みたい作家の、こちらも熱い読み切り小説が満載です。またこの機会に「新潮文庫の100冊」フェア収録作品も合わせてお読み下さい。
さて「yom yom」には、みなさんがちょっとやってみたい、見てみたいと思っていることを、書き手の方々に体験いただく「yom yomスペシャル」というコーナーがあります。これまで酒井順子さんに古本屋街巡りを、万城目学さんにロッククライミングを、有吉玉青さんには革装本作りを、また辛酸なめ子さんには由緒正しきお茶会を体験していただきました。初めての体験も多く、取材では四苦八苦することもありますが、毎号楽しい体験記を掲載しています。また100%ORANGEの味わい深い挿絵も必見です。
そんな「スペシャル」の今回の企画は〈断食道場入門〉。体験者はここ数年の間に自己最高体重をマークしてしまったという山本文緒さん。施設によってはエステが付いていたり、別荘風だったりとお洒落な道場もある中、まさしく〈道場〉の名にふさわしい淡路島のとある健康道場を選ばれました。道場では、滞在中の半分の期間が断食、残りの半分は〈回復食〉をとって、少しずつ常食に戻していきます。今回は6泊7日の滞在でしたが、3日間の断食中、空腹感や眩暈に襲われ山本文緒さんにとってはかなり辛い体験となった「一週間で痩せなきゃ日記」、忙しい日々を送っている方にもご参考になると思いますのでぜひご一読下さい。実は私も同行したのですが、遅寝遅起き連日飲酒(?)という不摂生な日常に比べ、空気の綺麗な場所で早寝早起き、もちろんアルコールはなしという日々を過ごし、すっきりと元気になってしまいました。断食道場、もちろん個人差があるとは思いますが、心身のリフレッシュにお薦めです。
そんな山本文緒さんの6年ぶりの小説『
アカペラ
』が刊行になりました。「yom yom」に発表された2編を含む小説集です。
この他にも「yom yom」に掲載された小説が、一冊の本に収まっています。乃南アサさんの『
いつか陽のあたる場所で
』、恩田陸さんの『
朝日のようにさわやかに
』、北村薫さんの『
1950年のバックトス
』、唯川恵さんの『
とける、とろける
』、阿川佐和子さんの『
婚約のあとで
』、畠中恵さんの『
いっちばん
』。もちろん「yom yom」に発表された以外の作品も収録されていますので、単行本でじっくりとお楽しみ下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/08/01
夏休みヨムヨム、7号の発売です
南からは梅雨明けの便りも届いていますが、まだまだ梅雨真っ只中。もうしばらくはこんなお天気と付き合わなければならないようです。でも「yom yom」7号はひと足お先の夏バージョン、すっかり日焼けしたYonda?の表紙でお目見えです。
読み切り小説には、「
新潮文庫の100冊
」フェアに合わせて、乃南アサさん、川上弘美さん、角田光代さん、沢木耕太郎さん、恩田陸さん、重松清さんが、エッセイには石田衣良さん、森見登美彦さんが登場します。
また特集「夏の読書は文庫!」では、椎名誠さんが〈旅に持って行き旅のふところで読む本〉〈絶対的圧倒的に面白い小説の金鉱脈〉〈眠れないときに読んでさらに眠れなくなる本〉など、ならではのジャンル分けでイッキに101冊の文庫本を紹介下さいました。本当に読みたくなるような本ばかりですので、このリストは保存して今後の本選びの参考にされてはいかがでしょう。また伊坂幸太郎さんの「僕を作った五人の作家、十冊の本」は、読者のみなさんにもなるほど納得の10冊だと思います。さらに「私の文庫20冊」では、水村美苗さん、松浦弥太郎さん、平松洋子さん、西加奈子さん、田村章さんによる〈みなしごもの〉〈旅に持ち歩いた本〉〈地下鉄で読む文庫〉〈素敵な装丁の本〉〈声が聞こえるノンフィクション〉の5つのジャンルのガイドを。この本は地下鉄で、この本はじっくり装画をながめてなど、みなさんがお薦めの読み方を試してみるのも楽しいかも知れません。ちなみにノンフィクションの20冊を紹介して下さった田村章さんは、重松清さんの別のお名前です。
小説・エッセイの楽しみももちろんですが、この1冊があれば夏の読書のガイドとしても情報満載です。
黄色い表紙の「yom yom」7号、じっくりお楽しみ下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/06/27
発売までもう少しお待ち下さい。
先日、取材で北海道に行ったのですが、日中でも気温は12度、山々の頂にはわずかに雪が残り、鮮やかな若葉が目にまぶしいほどでした。東京に戻ってみたら27度の夏日、さらに南九州からは入梅のニュースも届き、北と南の季節の訪れの違いを感じた一日でした。
さて、今年もあと1ヶ月ほどで恒例「新潮文庫の100冊」フェアが始まります。1976年にスタートし33年目を迎えるこのフェアで、毎年100冊に入っているのは『
人間失格
』『
こころ
』『
銀河鉄道の夜
』『
罪と罰
』『
異邦人
』など計11冊。前回の「yom yom便り」でもお知らせしました、今年誕生100年の『
赤毛のアン
』も常連の一冊です。このフェアを機会に、読みそびれていた名作を手に取ったり、かつて感動した物語を再読してみてはいかがでしょう。
6月27日発売の「yom yom」7号でもフェアに合わせ、「夏の100冊」フェアの作家の特集をします。読み切り小説は、川上弘美さん・重松清さん・恩田陸さん・角田光代さん・沢木耕太郎さん・乃南アサさん。エッセイには森見登美彦さん、石田衣良さんが登場します。ブックガイドの「夏の読書」特集には、椎名誠さんの「お薦めの100冊」はじめ、井上ひさしさんの本棚拝見、伊坂幸太郎さんの「僕を作った5人の作家」、水村美苗さん・平松洋子さんのお薦めの20冊などなど充実の内容です。
巻頭エッセイには「ローマ人の物語」の塩野七生さん、読み切り小説に今夏、映画『クライマーズ・ハイ』も公開される横山秀夫さんが初登場です。
発売までもう少し、盛り沢山の「yom yom」7号、ぜひお楽しみにお待ち下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/06/02
〈赤毛のアン感想文コンテスト〉作品募集中
若葉の美しい季節となってきました。
目に鮮やかなピンクの表紙の「yom yom」6号、ご覧いただけましたでしょうか。内容もボリュームもたっぷりの特大号です。7号の発売は6月末ですので、今号をゆっくりお楽しみ下さい。読み終わられてしまった方、ごめんなさい、次号までもうしばらくお待ち下さい。
さて少し前にもお知らせしましたが、今年は、カナダの作家ルーシー・M・モンゴメリが「Anne of Green Gables」(「アン・オブ・グリン・ゲイブルス」)を著してから100年を迎えます。「赤毛のアン」シリーズが村岡花子さんの訳で日本に紹介されたのは1952年、以後、新潮文庫をはじめ子供向けの抄訳も含めると十以上の出版社から刊行されています。
私も小学校6年生の時、このシリーズにすっかり魅了され、同級生と競い合うようにして読みました。仲の良い友人と密かにアンと親友・ダイアナになりきり、やりとりした手紙の中ではミドルネームのように〈アン〉(しかもAnnではなく、Anne。「アン」のファンの方々にはお分かりいただけることと思いますが)、〈ダイアナ〉と呼び合ったことも楽しい思い出です。これほど入り込んでしまう物語もそうそうないと思いますが、読んだ者を虜にするこの魅力こそが、世界中の人に読み継がれている所以でしょう。
新潮文庫では「赤毛のアン」シリーズ全10巻の装丁を新たにし、1巻後半部の省略されていた箇所を補い、また一部翻訳を改訂した新装版(補訳は村岡花子さんのお孫さんの村岡美枝さん)を刊行しました。また100年を記念して感想文コンテストを開催、最優秀作品は「yom yom」9号に掲載いたします。詳しい応募方法などは新潮社ホームページ、
「赤毛のアン誕生100年」感想文コンテスト
をご覧下さい。
さらに「yom yom」7号でも、「赤毛のアン」特集をお送りします。「アン」シリーズのファンという意外な方も登場しますので、どうぞお楽しみに。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/05/01
春だから辞典を買おう
春爛漫、各地で桜の便りが聞かれるようになりました。東京は花冷えどころか暖かい日がどんどん続き、開花してから満開まで駆け足のようでした。一説にはお花見の起源は奈良時代に遡り、最初は中国渡来の梅、平安時代に入ってから桜が主流になったとか。今年も満開の桜を寿ぎ、春を満喫したいものです。
さて新入学を迎えるこの時期、新しい辞典を買われる方もいらっしゃるでしょう。今年一月には「広辞苑」第六版が出て話題になりましたし、十年の歳月をかけて編纂された「
新潮日本語漢字辞典
」も昨年秋の発売以来好評で、増刷を重ねています。新しい辞典は、果たしてどうやって作られるのか、小特集「春だから辞典を買いに」でご紹介しています。
「広辞苑」をはじめ「三省堂国語辞典」「新明解国語辞典」「言海」など、それぞれ編纂に関わった人たちの努力や発想、また〈日本語の漢字を引く〉という視点に立って作られた「新潮日本語漢字辞典」のこだわりを、中島京子さんが取材、楽しくレポートして下さいました。また、武藤康史さんによる、国語辞典の用例の変遷にまつわる考察も興味深い話が満載です。編纂者にとっては、どの文章から例文を引くのかが編集の妙、言葉選びだけでなく、用例の選び方にも個性が出ていることがよく分かります。分からない言葉、漢字を引くだけでなく、たまにはじっくり辞典を読んでみようかな、という気持ちにさせられます。
桜の花よりもずっと濃いピンク色の表紙の「yom yom」6号、発売直後は売り切れの書店が出てしまうなど大変ご迷惑をおかけしました。
ちょっと厚め、読み応え充分の特大号をぜひお楽しみ下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/04/01
特大号6号の発売です。
二十四節気でいうと、雪が雨に変わり降り積もった雪も解け始めるという雨水(うすい)が過ぎて、3月に入ればもうすぐ啓蟄。今年は寒さの厳しい冬でしたので、暦の上だけでなく暖かい本当の春の訪れが待ち遠しい今日この頃です。
さて、お待たせしました「yom yom」6号の発売です。
今号の読み切り小説には、金原ひとみさん、栗田有起さん、おふたりが新登場です。表現の強さ、言葉の広がりを存分に感じさせる金原さんの小説と、〈栗田ワールド〉とも言える、雨を降らすことの出来る雲使いの両親に育てられた娘の不思議な物語。趣の違う二つの作品をぜひお楽しみ下さい。
また、山本文緒さんの110枚の力作「ネロリ」もお薦めです。身体の弱い弟と、彼を支え齢を重ねてきた姉の静かな生活に恋愛が絡んで、という物語は、「yom yom」4号で5年ぶりとなった小説「ソリチュード」をお書きになった山本さんにとって、新しい世界への扉となるような小説だと思います。他にも、沢木耕太郎さん、川上弘美さん、角田光代さん、重松清さん、恩田陸さん、嶽本野ばらさんの力強くて面白い小説が満載です。
そして今号の特集「ファンタジー小説の愉しみ」では、映画公開で話題の「ライラの冒険 黄金の羅針盤」の原作者フィリップ・プルマンさんと、〈守り人〉シリーズが好評・上橋菜穂子さんおふたりにインタビュー、北村薫さん、荻原規子さんによるファンタジー小説ブックガイドなど、さまざまなファンタジー小説をご紹介します。
さらに、森見登美彦さんの、大学を舞台とした一連の小説の不甲斐ない男子学生たちが登場する「或る失恋の記録」、病弱若旦那が活躍する畠中恵さんの人気〈しゃばけ〉シリーズの新作「ひなのちよがみ」、小野不由美さんの〈十二国記〉シリーズの新作「丕緒(ひしょ)の鳥」が掲載となります。〈十二国記〉シリーズは6年半ぶりということでファンの方々の間ですでに話題となっているようですが、下級官吏・丕緒の目線でとらえた慶国の、哀しくも美しい物語が心に響き、鳥たちが空を舞う姿が目の前にたち現れる、そんな清々しさが広がってきます。
「yom yom」は年に4回の発行。7号が出るのは6月となりますので、次号までしばらくお待たせしてしまいます。そこで6号は特大号。ちょっと値段が高くなってしまいましたが、内容も厚さも充実の6号をじっくりお楽しみ下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/02/27
ファンタジー小説って?
1989年1月号の小社発行〈
波
〉に、井上ひさしさんと荒俣宏さんによる対談「ファンタジー文学と現代」が掲載されています。
日本ファンタジーノベル大賞
が創設され、第一回の応募を前にした選考委員おふたりによる、ファンタジーをテーマとした対談は20年を経た今でも、とても興味深い話が満載です。
ここ数年、「ハリー・ポッター」シリーズがベストセラーとなり、他にも『指輪物語』『ナルニア国物語』が映画化もされ脚光を浴び、身近になっている〈ファンタジー〉ですが、ファンタジーの定義ってなに?という疑問をよく耳にします。
おふたりの対談によると、ファンタジーの語源はギリシャ語で「見えるようにする」という意味で、「現実とは違うもの、人の心の中の見えないもの、あるいは現実世界に、人間の思考や行動に、とても重要な影響を与えているのに、見えないがために、等閑視されているものがある。それを言葉の力その他によって『見えるようにする』のがファンタジーだ」と。そしてその架空の世界を描くためには、舞台を「いっそうリアルにしなければ」ならず、「舞台を作る力がファンタジーには絶対不可欠」であるとおっしゃっています。
この年スタートした日本ファンタジーノベル大賞は、今年20回目を迎えますが、酒見賢一さんの『
後宮小説
』を第一回の受賞作に、鈴木光司さん『
楽園
』、小野不由美さん『
東亰異聞
』、恩田陸さん『
六番目の小夜子
』、沢村凛さん『ヤンのいた島』、宇月原晴明さん『
信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス
』、畠中恵さん『
しゃばけ
』、森見登美彦さん『
太陽の塔
』などといった作品を次々に誕生させました。どれも私たちを登場人物とともに小説世界へと誘ってくれる、驚きに満ちた作品ばかりです。そしてこの作品たちが日本におけるファンタジーの定義をいっそう広げてくれたように思います。
3月に公開される話題の映画『
ライラの冒険 黄金の羅針盤
』も現実とは異なるロンドンを舞台に物語が始まる、壮大なファンタジーです。「yom yom」の6号(2月27日発売)に掲載されます原作者のフィリップ・プルマンさんのインタビューでもファンタジーについて語っていて、プルマン氏自身成長することの複雑さや、男女の愛をめぐる困難さなど、「生きるとは、人間とは」といった大きなテーマを題材とするロシアやイギリスの写実小説に惹かれ、「自分の描く小説の中でファンタジーの技法を使いつつ、写実小説が昔からやってきたことをやり、人間のもつ本当の性格を語ろうとしている」とのこと。
20年前の対談とプルマンさんのインタビューは、時代も場所も遠く離れているのに共通性があり、そしてどちらも実作者が語る言葉の重みが伝わってくる大変面白いお話です。
さて、そのインタビューも掲載される「yom yom」6号の特集は、上橋菜穂子さんのインタビュー、森見登美彦さん・畠中恵さん・小野不由美さんの小説などが登場する「ファンタジー小説の愉しみ」です。
盛りだくさんになります第6号は、ただいま編集中。2月下旬の発売までもうしばらくお待ち下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/02/01
2008年も「yom yom」で
新年明けましておめでとうございます。お正月をいかがお過ごしでしょうか。
一昨年に創刊しました「yom yom」、おかげさまで昨年11月末に5号まで刊行することが出来ました。今年も昨年と同様に年に4冊、季刊でお届けする予定ですので、引き続きご愛読をよろしくお願い申し上げます。
さて、紫式部日記の寛弘5年(1008年)11月1日に、「源氏物語」が宮中で読まれていたと考えられる記述があることから、今年2008年は「源氏物語千年紀」として、京都を始めあちらこちらで記念の行事や講演会などが開かれるようです(詳しくは「
源氏物語千年紀委員会
」)。
「yom yom」5号では、現代語訳「源氏物語」の文庫版全10巻(講談社)が完結した瀬戸内寂聴さんに、千年を経ても読みつがれる世界最古の物語の魅力を語っていただきました。瀬戸内さんは、昨年、世阿弥の生涯を綴った書き下ろし小説『
秘花
』を出されるなど、本当に精力的な活動を続けていらっしゃいます。お話を伺った際も、80代半ばとは思えぬ張りのある声で、「源氏物語」との出会いやその面白さ、登場人物評や読みどころ、また出家した女性だからこそ理解出来る、光源氏と関わりのあった女性たちの心持ちなどをお教えくださいました。「紫式部という類稀な小説家によって、実に興趣深く、あの手この手を使って娯楽小説のようにも書かれている」という「源氏物語」、ぜひ紐解いてみてはいかがでしょう。
もうひとつ、カナダの作家ルーシー・モード・モンゴメリが最初の長編小説『
赤毛のアン
』を書いて今年は100年になります。プリンスエドワード島を舞台に、少女から大人へ成長していくアン、さらにその娘たちへとストーリーが続いていく「赤毛のアン」シリーズを子どもの頃にワクワクしながら読んだご記憶のある方も多いと思います。こちらも、デパートでの催事や、TV番組・ミュージカルなど、「アン生誕100周年」記念のイベントがさまざま予定されています。「yom yom」の7号(6月27日発売)でもご紹介しますので、文庫本で全10冊、この記念の年に読破してみてはいかがでしょう。
『源氏物語』『赤毛のアン』ともに読み出したら止まらなくなる面白さがあって、長い年月読み継がれるにはそれだけの理由があるんだなあと、納得させられます。どちらも大作ですが、「読む」楽しみを存分に教えてくれる小説です。
「yom yom」編集長 木村由花
2008/01/01
創刊1周年となりました。
早いもので、もう師走。1年の経つのが年々早くなっているのでは……そうお感じになっている方も多いのではないでしょうか。
さて昨年の11月末に創刊しました「yom yom」も1年を迎えました。創刊以来、お手紙やメールで感想・ご意見など沢山お送りいただき本当にありがとうございました。これからも楽しい雑誌をお届けして参りますので、引き続き応援、ご愛読をお願いいたします。
という訳で、お待たせいたしました、5号の発売です。
今号ではエッセイに、小澤征良さん、横山秀夫さん、長野まゆみさん、高村薫さん、小池真理子さんと「yom yom」に初登場のみなさんが並びました。毎号お送りしているエッセイは「読むこと」というテーマで執筆をお願いしているのですが、小澤征良さんの『
星の王子さま
』の思い出、ふだんの作風からはちょっと意外な感もある横山さんの創作エッセイ、また10月に刊行になった長編小説『
望みは何と訊かれたら
』の舞台となった時代に青春を過ごしていた小池真理子さんの力強いエッセイと、それぞれ個性溢れる作品が勢ぞろいしました。
また特集は、小説に描かれた登場人物や、作家自身の生き様から今に活きる礼儀や仕草、マナーを学ぼうという企画、題して「この人たちの礼儀作法」です。
酒井順子さんの「女性のための『対・男』『対・女』マナー五箇条」という実用的な提言に始まり、石田衣良さん、中野翠さん、高山なおみさん、西川美和さん、鹿島茂さんに、それぞれ田村隆一、小津安二郎、武田百合子、向田邦子、コレットから学ぶとして、自身や作品に現れる流儀や作法をご紹介いただきました。
実は今回、「文士に礼儀作法を学ぶ」というテーマで執筆をお願いしましたら、ある方から(お原稿は快諾いただいたのですが)「かつての文士は無頼でこそあれ、学ぶべき礼儀はないのでは」と、言われました。確かに、とも思いますが、その正否については、編集者時代に多くの文士と付き合っていらした村松友視さんと石田千さんの対談をお読み下さい。締め切り前に逃亡劇を繰り広げていたある作家のエピソードなど楽しいお話です。
年の瀬を迎え忙しい時期ですが、ちょっとした息抜きにでもオレンジ色の表紙の「yom yom」5号をお楽しみいただければ幸いです。
「yom yom」編集長 木村由花
2007/11/27
文化・行楽・食欲の秋に
長かった残暑の影響か、例年に比べ少し遅いものの各地から紅葉の便りが届くようになりました。行楽に気持ちの良いこの季節、ちょっと足を伸ばして艶やかな季節の移り変わりを愛でたいものです。私自身のお気に入りの場所は、十和田湖の壮大な景色と渓流沿いの散策が楽しめる奥入瀬渓谷。ススキの穂が輝く長野・開田高原、照葉樹林で有名な宮崎・綾や、トレッキングにも最適な鹿児島のえびの高原などなど……他にも沢山ありますが、景色の素晴らしさはもちろん、どこも美味しい食べ物や温泉が付いてくる、というのがお気に入りの条件かも知れません。
さて「yom yom」第4号では、「ブンガク散歩に出よう」という特集を組んでいます。もともと「文学散歩」という言葉は、詩人であり、編集者でもあった野田宇太郎(1909~1984)が作った言葉です。編集者として下村湖人のベストセラー『
次郎物語
』をはじめ、森茉莉や幸田文などを世に出した野田は、近代文学の研究者として、『新東京文学散歩』を皮切りに、『九州文学散歩』『関西文学散歩』を著し、全国の文学ゆかりの地を探訪紹介、文学館創設にも貢献したそうです。今号のブックガイドをお願いした出久根達郎さんによれば、文学散歩は「こうしなければいけない、というルールは一切、無い。自分が楽しめれば、それでよい」そうです。
そこで特集では、それぞれ書き手のみなさんに所縁の地の「ブンガク散歩」についてお書きいただきました。森見登美彦さんには学生時代から今に至るまで、暮らし、さ迷い歩いている京都を巡る「ブンガク散歩」を、生まれ育った町周辺の地域誌「谷根千」を作り続ける森まゆみさんには、かつて〈文士村〉があった田端に集った人々の話を、また内澤旬子さん、斎藤由香さん、山崎まどかさん、松本侑子さんには、鎌倉・軽井沢・世田谷・イギリス湖水地方でのお薦めのコースをご紹介いただきました。
ちょっと上級者、または食いしん坊&お酒好きの方には、嵐山光三郎さんの「銀座は文士の遊び場だった」、中島京子さんの「昭和文士の東京を食べ歩く」もお薦めです。この季節、食欲の秋、でもありますから、こんな文学散歩で秋の味覚を満喫するのも良いかも知れません。
紫色の表紙の第4号、もちろん読み切りの小説も充実です。
そして、11月27日には早くも5号が発売になります。特集は「あの人に学ぶ礼儀作法」、ちょっと早いですが、冬休み・年末年始にぜひお楽しみ下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2007/11/01
山本文緒さん5年ぶりの小説登場
彼岸も過ぎ、やっと秋めいてきました。読書の秋、そしてお待たせしました「yom yom」4号の発売です。
そして山本文緒さんの新作を待っていた読者のみなさま、待望の小説をお届けします。山本さんは、ここ数年身体の調子を崩され、その間の闘病の様子などを、今年5月に発売された『再婚生活』(角川書店)に赤裸々に綴っています。一進一退だった体調も、今年の始めころから徐々に回復。そして取り組んだ5年ぶりの中篇小説が、『ソリチュード』です。
高校生で家出した男が、反発していた父の死をきっかけに実家に戻ってくる。優柔不断さゆえか、その優しさゆえか、本人の意思とは裏腹に女性たちを不幸せにしてしまう彼が、故郷に戻り、屈託のない母や、傷つけてしまったかつての恋人、そしてその子どもと共に時を過ごすうちにわだかまっていた心を少しずつ解かしていく──それぞれの心の在りようを丁寧に描く、可笑しくも優しい物語です。
実はこの小説のために、5月末、1泊2日の取材に出かけました。
舞台は、かつては栄えていたけれど、今では商店街も寂れてしまった東京近郊の町という設定。冷たい雨が激しく降る中、列車に揺られ出かけていったとある町を車と徒歩で回り、雰囲気を掴もうとするのですが、あまりの豪雨に町の景色もよく分らないほど。極めつけに、想像以上にぬかるんでいたキャベツ畑に私が車を脱輪させ、救出までになんと3時間。最後まで救出劇を見届けたいと、雨に濡れ寒さに震えながらもキャベツ畑に佇んでいた姿に、作家魂を見ましたけれど……ご迷惑をおかけしました。
翌日は、海からの濃霧に地上近くは覆われているのに、空は晴れ、という不思議なお天気の中、地元の鉄道に乗ったり、廃棄物処理場の中を彷徨ったりして、小説の構想をさらに練り上げて下さったようです。
そんな取材も経て描きあがった山本文緒さんの新境地とも言える『ソリチュード』。本当に面白い作品ですので、ぜひお楽しみ下さい。
今月は、他にも森見登美彦さん・森まゆみさんらによる特集「ブンガク散歩」案内や、金原ひとみさん・島本理生さんらのエッセイ、万城目学さんの「ロッククライミングに挑戦」など盛りだくさんです。もちろん、読み切り小説も充実です。
秋の夜長、「yom yom」とともにお過ごしください。
「yom yom」編集長 木村由花
2007/09/27
小説検定に挑戦しませんか?
暦の上では秋、とはいえ、まだまだ暑い日が続きそうです。
お待たせしました、今月末には「yom yom」4号が発売されます。今号の特集は「『ブンガク散歩』に出よう」。森見登美彦さんによる京都散歩や、森まゆみさんの「田端文士村めぐり」のほか、松本侑子さんの〈イギリス湖水地方〉、斎藤由香さんの〈軽井沢〉、嵐山光三郎さんの〈銀座〉、内澤旬子さんの〈鎌倉〉など場所・テーマ別のおすすめモデルコースをご紹介いたしますので、ぜひ「散歩」にお出かけ下さい。
さて先日、夏ばて解消のために老舗の鰻屋さんに行きましたところ、レジ脇に「江戸文化歴史検定」なるパンフレットがありました。今年は2回目、1~3級まであり、合格すると認定証とバッチがもらえ、さらに1級合格者には江戸東京博物館・常設展に入館無料などの特典が付くそうです。試験日は11月4日ですので、ご興味のある方は挑戦されてみてはいかがでしょう。
最近は検定ばやりで、調べてみると〈ご当地検定〉や〈おもしろ検定〉が沢山あります。はしりの〈京都検定〉はもとより、〈境港・妖怪検定〉〈唐津・呼子イカ検定〉、〈丹波篠山黒まめ検定〉などというのもありました。
ところで「yom yom」にも「小説検定」というページがあるのをご存知でしょうか。毎回テーマを変え、入門篇(答えも掲載)でウォーミングアップしていただき、今月のお題にチャレンジしていただきます。「今月のお題」の解答の全問正解者の中から抽選でお好きな新潮文庫5冊をプレゼントしています。次号のテーマは「子どもの出てくる小説」。問題がちょっと難しいのか全問正解者がまだまだ少ないので、ぜひ腕試しをして下さい。ご応募お待ちしております。
「yom yom」編集長 木村由花
2007/09/01
「夏の100冊」とともに
6月末に発売されました緑の表紙の「yom yom」3号、お手にとっていただけましたでしょうか。暑い夏、少しでも涼を取ろうと表紙のYonda?パンダも水を張ったバケツの中で読書中です。
さて今号の特集は「『
新潮文庫の100冊
』の作家たち」、新潮文庫でお馴染みの作家の読み切り小説とエッセイがずらりと並んでいます。
その中で、短編小説「ドロップスは神さまの涙」をお書きいただいた重松清さんの文庫オリジナル『
くちぶえ番長
』が7月に刊行されました。小学校4年生の子どもたちの友情物語です。重松さんの著書でもう一冊、こちらは単行本『
青い鳥
』が7月20日に発売になりました。言葉がうまく出てこない教師が直面するいじめや虐待を、重松さんならではの視線で描く連作集です。
また、話題作『ひとがた流し』の後日譚となる「ほたてステーキと鰻」を書いた北村薫さんの短編集『
1950年のバックトス
』が8月22日に単行本で発売になります。こちらもぜひお楽しみ下さい。
「新潮文庫の100冊」には他にも、名作から最新作まで楽しい本、感動的な本などバラエティ豊かな作品が揃っています。バックパッカーのバイブル、沢木耕太郎さんの『
深夜特急
』、昔話を使って患者と向き合う大平健さんの『
診療室にきた赤ずきん
』、赤川次郎さんの不朽の名作『
ふたり
』、唯川恵さんが描く恋せずにはいられない男女のラブストーリィ『
ため息の時間
』、高校生だからこその青春が詰まった恩田陸さんの『
夜のピクニック
』、角田光代さんのダメなお父さんと娘のユニークなひと夏を描く『
キッドナップ・ツアー
』などなどお薦めしたい本ばかりです。
どんな本を読めばよいかお悩みでしたら、「yom yom」3号のもうひとつの特集「夏の読書」をお読み下さい。ジャンル別にお薦めの本をご紹介していますので、読みたい本がきっと見つかるはずです。
もうひとつ、「yom yom」は好評につき1・2号ともに増刷をし、在庫がございます。買いそびれてしまった方は書店、または小社読者係宛お申し込み下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2007/08/01
3号は読書ガイドも充実!
2号目が出てから4ヶ月、長らくお待たせいたしました。3号が発売になりました。
今号は鮮やかな緑の表紙で、赤いバケツに入って読書するYonda?が目印です。
さて、新潮文庫では夏の恒例「新潮文庫の100冊」フェアを全国の書店で開催中です。読んでおきたい古典から新作まで、新潮文庫ならではの充実のラインナップですが、「yom yom」3号では、そのフェアに合わせた「夏の読書」を特集しています。
まずはブックガイドとして6つのジャンル、6名の方にお薦めの本をご紹介していただきました。辻原登さんによる「色っぽい女になるための短編」、辛酸なめ子さんの「ガーリーな恋愛小説」、有栖川有栖さんの「バカンスで読むミステリ」、竹内久美子さんによる「男と女の自然科学」、高山なおみさんは「美味しい本」、そして岸本佐知子さんは「マンガ本5冊」と、それぞれに特徴があり、どれも面白い本ばかりです。
また豊﨑由美さんには、「新潮文庫の100冊」にもう10冊プラスしたら……ということでお薦めをチョイスしていただきました。フェアに入っている100冊はもちろんのこと、この私的10冊も合わせてお楽しみ下さい。
さらに、筒井康隆さんにインタビューし、これまでの読書遍歴を語っていただきました。聞き手は大森望さん。どんな本が飛び出してくるかは読んでのお楽しみです。もうひとつ、新潮文庫にはなくてはならない〈ショートショートの神様〉星新一さんの傑作3編と、最近、評伝『星新一』をお出しになった最相葉月さんのエッセイもあります。かつて夢中になってお読みになった方も、もう一度、星新一ワールドを旅されてみてはいかがでしょう。
読み切り小説のラインナップも充実ですが、特集「夏の読書」もぜひご覧下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2007/06/27
3号発売まで、あと一ヶ月
「yom yom」創刊号発売から早半年、2号発売からもすでに3ヶ月が経ちましたが、書店で手にとって下さる方もまだまだ多く、毎日更新される書店からのデータを見て、編集部一同嬉しく思っています。
とは言え、そろそろ新しい号が読みたい!と思っている方も沢山いらっしゃるはず。発売まではまだ一ヶ月あるのですが、メルマガご購読のみなさまに、いち早く3号の内容をお知らせします。
3号は、毎年開催している「新潮文庫の100冊」フェアに合わせ、「新潮文庫の100冊の作家たち」を特集します。重松清さん、川上弘美さん、唯川恵さん、恩田陸さん、北村薫さんなどの読み切り小説に、伊坂幸太郎さん、湯本香樹実さん、荻原浩さんのエッセイ。もうひとつの特集「夏の読書」では、筒井康隆さんに読書体験を伺ったインタヴュー、また辛酸なめ子さん、有栖川有栖さん、竹内久美子さん、岸本佐知子さんたちには、恋愛小説・ミステリ・自然科学・漫画といったジャンル別にお薦めの本をご紹介いただきます。ぜひ夏の読書のご参考にしてください。他にも、赤川次郎さんの本棚を拝見したり、「yom yomスペシャル」には西加奈子さんが登場します。
聞かれることの一番多い、「今回の表紙の色は?」ですが、これは出来てからのお楽しみに……あと一ヶ月、発売までどうぞもう少しお待ちください。
「yom yom」編集長 木村由花
2007/06/01
観る前に読んで欲しい本
風薫る5月、緑が目に鮮やかな気持ちの良い季節になってきました。
さて「yom yom」は年4回の発行ですが、次の3号は6月27日発売。2号の発売が2月末でしたから、少し間が空きます。編集部一同、3号に向けて楽しい企画をいろいろ進めておりますので、発売までもうしばらくお待ち下さい。
さて、新潮文庫のラインナップに、『
黄金の羅針盤
』『
神秘の短剣
』『
琥珀の望遠鏡
』という3冊のシリーズ本があります。著者はイギリス人のフィリップ・プルマン、この「ライラの冒険シリーズ」で、児童文学では最高のカーネギー賞をはじめ、リンドグレーン賞など数多くの賞を受賞しています。11歳の少女ライラが主人公の壮大な冒険ファンタジーは、「ロードオブザリング」のスタッフによる映画製作が進んでおり、欧米では今年の秋に、日本では来年3月1日に公開となります。
そのフィリップ・プルマン氏に、先月インタビューする機会を得ました。イギリスのオックスフォード郊外で暮らし、普段はここを出ることはめったにないそうですが、イタリア・ボローニャで開かれた児童書のブックフェアのセレモニーに出席し、本や映画について語ってくれました。とにかく毎日3枚、ペンで原稿を書くことを日課にしているプルマン氏にとって、「物語を書くのは、夜中に小舟にのって釣りをするのに似ている」そうで、結末に向かって、手探りでストーリーを紡いでいく、その過程が面白いとか。穏やかな笑顔で真摯に語るプルマン氏は、とても素敵な方でした。インタビューは「yom yom」の4号以降に掲載予定です。
第1作目の『黄金の羅針盤』の映画公開まではもうしばらくかかりますが、原作は新潮文庫に入っています。映画を観る前に、まずは壮大な世界を小説でぜひお楽しみ下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2007/05/08
押し花のしおり
4月に入り、各地で桜の開花、お花見の話題が聞かれる季節となりました。
この季節に都内を歩いていると、東京には桜の木が意外と多いことに気づかされます。花を付けた枝々は本当に華やかです。そんな木々だけではなく、ふと足元に視線を向ければ、草花も可憐な花を咲かせています。
子どもの頃に、摘んだ草花を電話帳など重さのある本の間に挟んで押し花を作られたご経験はないでしょうか。数日置いて紙のようにぺらぺらになった花を台紙に貼って、しおりにされた方もいらっしゃることと思います。
「yom yom」2号では、誌面を少し綺麗に可愛く見せたいと考え、いくつかのページにカラーの模様を入れてあります。川上弘美さんの『四度めの浪花節』、沢村凛さんの『マダム・リーと夜更けの小人』、乃南アサさんの『すてる神』の中に、黄色や緑の図柄を入れました。
そんな中で阿川佐和子さんの『凩』には北海道の押し花作家の方の作品を図柄として使わせていただきました。
シルエットのようになっていますが、何という植物かお分かりになりますでしょうか。タイトルトビラ(69頁)に入っているのはヨツバノクローバー(オランダゲンゲ)、以下コデマリ(72頁)、オレガノケントビューティ(81頁)、ゼラニウム(88、89頁)、ミゾホオズキ(92頁)、フウロソウ(100頁)です。
耳慣れない名前もありますが、「yom yom」で読書を楽しみつつ、そんな草花たちもお楽しみいただければ幸いです。
「yom yom」編集長 木村由花
2007/04/02
100%ORANGEの個展のお知らせ&石井桃子さんの「100歳記念フェア」のお知らせ
真っ白な表紙の「yom yom」2号、もうご覧いただけましたでしょうか。多くの方に手に取っていただき、発売1週間で早くも増刷、また、2号目から創刊号に戻って下さった方もいらしたのか、創刊号も4刷となりました。本当にありがとうございます。
今回も読み切りの小説を10編掲載しました。お気に入りの小説はありましたでしょうか。読み切りとはいえ連作も多く、例えば角田光代さんの「くまちゃん」は、今回主人公を振った〈くまちゃん〉が、次は他の女性に振られるという、〈振られの連鎖〉で物語が続いていきます。どんな繋がりになるのか、ぜひ次回をお楽しみに。
2号目のちょっとしたオマケは、314・315ページのYonda?のイラストです。この中に表紙と裏表紙と同じYonda?がひとりずついます。探してみてください。このYonda?のイラストを描いて下さっている100%ORANGEの個展が3月31日まで、東京吉祥寺の「トムズボックス」で開かれています。詳しくは
http://www.tomsbox.co.jp/
まで。
もうひとつ、特集の石井桃子さんの「100歳記念フェア」を全国の書店で開催中です。こちらも福音館書店ホームページまで。東京銀座の〈教文館 子どもの本のみせ ナルニア国〉では「石井桃子さん100歳おめでとう!」の催しを開催中です。ぜひお立ち寄り下さい。
□福音館書店ホームページ
http://www.fukuinkan.co.jp/
□教文館 子どもの本のみせ ナルニア国
http://www.kyobunkwan.co.jp/
「yom yom」編集長 木村由花
2007/03/08
お待たせしました。「yom yom」2号が出来ました。
新潮文庫の棚に、真っ赤な表紙でお目見えした創刊号の「yom yom」(ヨムヨム)。沢山の方が手にとってくださり、お陰さまで大増刷となりました。その第2号が、いよいよ発売です。
「2号の表紙は何色ですか?」というご質問を数多く頂戴しましたが、今度は真っ白。黄色い本を持つYonda?に、黄色い蝶ちょが戯れている可愛い表紙になりました。
読み切り小説は、角田光代さん、川上弘美さん、阿川佐和子さん、沢村凛さん、大島真寿美さん、嶽本野ばらさん。さらに、これまでとは趣の違う沢木耕太郎さんの短篇もぜひお楽しみ下さい。また、乃南アサさんの150枚の中篇小説も読みどころです。
特集は石井桃子さんです。石井さんは「クマのプーさん」「うさこちゃん」「ピーターラビット」シリーズなど数々の翻訳、『ノンちゃん雲に乗る』『幻の朱い実』などの創作、そして「日本少国民文庫」の編集と、本の世界にさまざまな足跡を残してきました。
今なお好奇心を失わず、子どもの本の世界が豊かであることを願い続ける石井桃子さんの、百歳のインタビューをぜひお読み下さい。
2007/02/27
yom yom便り
年末年始のお休みに「yom yom」を読んで下さった方もいらしたようで、編集部に感想のお手紙など沢山頂戴しました。ありがとうございました。
お便りにはみなさん、創刊号の中で何が一番良かったかを書いて下さっていて、重松清さんや山本文緒さんのエッセイ、川上弘美さんや恩田陸さんの小説、太田光さんのエッセイなどなど、本当に様々な感想がありました。
その中で、梨木香歩さんの小説「家守綺譚」をあげている方も多かったのですが、これは2004年に出ました『
家守綺譚
』(単行本)の続編になります。「yom yom」創刊のほぼ2ヶ月前に新潮文庫でも刊行されましたので、文庫でお読みになった方も多いのではないでしょうか。今から少し前の時代、亡き友人の家守として疏水の流れ込む家に暮らす綿貫という青年と、周りの自然との交歓を静謐に描いた、ちょっと不思議な小説です。続編は今か今かとを首を長くして待っている方にとっては、単行本や文庫になる前に、いち早く読めるのは雑誌ならではの至福ではないでしょうか。いつになるかまだ分かりませんが、さらに続きもお願いしておりますので、どうぞ楽しみにしていて下さい。
他にも、「いち早く読みたい」の要望を叶えるべく、読みたい小説をどんどん掲載して参ります。2号以降もぜひご期待下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2007/01/22
yom yom便り
12月7日創刊になりました「yom yom」、もうご覧いただけましたでしょうか。
真っ赤な表紙に、本を読む大きなYonda?くんが目印です。さらに表紙を返して裏表紙を見ていただくと、本を読んで涙を流しているYonda?がいます。
「yom yom」創刊号のカットは、全部Yonda?を描いているイラストレーター、100%ORANGEにお願いしました。本文中のYonda?も、本屋でたくさん本を買っていたり、馬に乗っていたりとあちこちに可愛い姿で登場しておりますので、ページをめくって探してみて下さい。
さらに、100%ORANGEのいつもとテイストの違うイラストが何点か載っています。川上弘美さん、阿川佐和子さん、吉田修一さんの小説には、水彩画のカットが彩りを添えています。また、「しゃばけ」シリーズでお馴染みの畠中恵さんに、落語家・柳家三三さんと東京巡りをしていただいたエッセイ「今様お江戸散歩」には、浅草寺や吉原神社の線画を付けていただきました。どこか懐かしい雰囲気もありつつ可愛いイラストですので、文章とのコラボレーションをお楽しみ下さい。
Yonda?ファンにはもうひとつ嬉しいお知らせがあります。新潮文庫に必ず付いている「Yonda? CLUB」の応募券が「yom yom」にも付いています。新潮文庫と「yom yom」を読んで、素敵なグッズを手に入れて下さい。くわしくは新潮社ホームページをご覧下さい。
「yom yom」編集長 木村由花
2006/12/18
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