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校訂者のことば 濱田啓介
 近世最大のベストセラーが面白くないはずはなかろう。そしてこの巨編の中からは、構成・描写・人生観・世界観・歴史・生活・江戸・近代、ありとあらゆるものが取出せるだろう。そんな思いで卒業論文に『八犬伝』を選びました。以来年月をかけて、『八犬伝』から取出した様ざまなものを、今回この『八犬伝』各巻の解説に書込みました。感慨無量です。


 
版本は全部で百六冊、使われた板木は三千数百枚。
執筆期間は二十八年。最終回間近には、作者馬琴は失明し、嫁のお路に字を教えながら口述筆記で完成させた。
挿絵の素案を馬琴自身が作り、当時の一流絵師である柳川重信や渓斎英泉らが筆をふるった。
複雑なストーリー、しかし最後まで破綻することなく、登場する四百余人ひとりひとりの顛末がすべて明らかに。