24:03 - KANDA- Takumi Yaegashi

<BODY BGCOLOR="#222222" TEXT="#FFFFFF" LINK="#FFFFFF" VLINK="#FFFFFF" ALINK="#FF0000"> 　　　<A HREF="../inde/i03g.htm"><IMG BORDER=0 SRC="gif/tab-i.gif" ALT="インデックス"></A> <A HREF="../inde/cast.htm"><IMG BORDER=0 SRC="gif/tab-p.gif" ALT="人物インデックス"></A> 　　　　　　　　<A HREF="404gg025.htm"><IMG BORDER=0 SRC="gif/tab-n.gif" ALT="次の時刻"></A> <P> <H2>　　<IMG SRC="icon/025-b.gif">　24:03　神田駅　八重樫巧</H2> <HR SIZE=3> <TABLE BORDER=0 ALIGN=CENTER CELLPADDING=0> <TR> <TD>　　　　　　　　　　　　</TD> <TD> 　プラットホームを一番端まで歩いてきて、八重樫巧は鞄の中からザウル<BR> スを取り出した。<BR> 　<BR> 　ホームの端に「須田町ストア」方面への上り階段がある。その上り口に<BR> 黄色いチェーンが渡され〈閉鎖中〉というパネルがぶら下がっていた。<BR> 　電車の到着までは４分ほどある。<BR> 　八重樫はザウルスのパワーを入れ、電子メールを画面に呼び出した。<BR> 　<BR> 　カラー液晶画面の新型が発売になったが、八重樫のザウルスは旧タイプ<BR> のモノクロ表示だった。以前は電子手帳を使っていたのだが、今となって<BR> はそちらへ戻る気がしない。アドレス帳も、スケジュールも、メモも、パ<BR> ソコン通信も、すべてこいつでやっている。<BR> 　アパートには古いデスクトップが置いてあるが、それはもっぱらザウル<BR> スで集めたデータの整理用だ。使いはじめのころは、会議の席上でザウル<BR> スにメモなど取っていると変な顔をされたものだが、最近ではすっかり当<BR> たり前になった。誰もが八重樫とザウルスをセットとして考えている。<BR> 　<BR> 　昨日の夜に届いていた坂巻茜からの電子メールである。<BR> 　彼女は、パソコン通信の会議室では「あかべこ」というハンドルネーム<BR> を名乗っていた。<BR> </TD> </TR> </TABLE> 　<BR> <CENTER><TABLE BORDER CELLPADDING=6><TR><TD><PRE> たっくん　昨日、小包が届きました。開けてみて、びっくりしてしまいました。　とってもきれいなスカーフ。本当に嬉しかった。　でも、高いんでしょう？　こんなものいただいていいんですか？　オフのとき、たった一度お会いしただけなのに、なんだか申し訳ないなぁと思っています。　どうもありがとう。大事にしますね。　明日が早いので（朝、７時に集合をかけられてるの）今日は、とりあえずのお礼だけで失礼します。また、メールしますね。　では、では。　　　　　　　　　　　　　　あかべこ </PRE></TD></TABLE></TD></TR></TABLE></CENTER><BR> <TABLE BORDER=0 ALIGN=CENTER CELLPADDING=0> <TR> <TD>　　　　　　　　　　　　</TD> <TD> 　<BR> 　簡単なその文面を、八重樫は何度も繰り返して読んだ。<BR> 「昨日、小包が届きました」という最初の文が気にかかっている。<BR> 　いつもなら、八重樫がメールを出すと、彼女はすぐに返事を送ってきて<BR> くれた。ほとんど、その日のうちに返信メールが届けられていた。<BR> 　<BR> 　それが、今回に限って「昨日、小包が届きました」だったのだ。<BR> 　<BR> 　すぐにこのメールを送ってくれなかった真意はなんだろう？<BR> 　そして、いつものメールに比べて、文面も硬い感じがする。<BR> 　贈り物などしたのは、まずかったのだろうか？<BR> 　<BR> 　そう、彼女も書いている。<BR> 　茜と会ったのは、オフライン・ミーティングの時の１度だけなのだ。<BR> 　<BR> 「…………」<BR> 　<BR> 　八重樫は電子ペンを引き抜き、簡易エディタを開いて茜への返事を書き<BR> 始めた。<BR> </TD> </TR> </TABLE> 　<BR> <CENTER><TABLE BORDER CELLPADDING=6><TR><TD><PRE> あかべこさん　いえ、今日は、坂巻茜さんとご本名で呼ばせてください。 </PRE></TD></TABLE></TD></TR></TABLE></CENTER><BR> <TABLE BORDER=0 ALIGN=CENTER CELLPADDING=0> <TR> <TD>　　　　　　　　　　　　</TD> <TD> 　<BR> 　書いたばかりの一文を眺め、それを消去した。　硬すぎる。<BR> 　<BR> </TD> </TR> </TABLE> <HR SIZE=3> <P> 　　　<A HREF="../inde/i03g.htm"><IMG BORDER=0 SRC="gif/tab-i.gif" ALT="インデックス"></A> <A HREF="../inde/cast.htm"><IMG BORDER=0 SRC="gif/tab-p.gif" ALT="人物インデックス"></A> 　　　　　　　　<A HREF="404gg025.htm"><IMG BORDER=0 SRC="gif/tab-n.gif" ALT="次の時刻"></A> <P> </BODY>