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父の女と。女の娘と――。背徳と愛欲の関係を志野茶碗の美に重ねた、川端文学の極致。

千羽鶴

川端康成/著

594円(税込)

本の仕様

発売日:1989/11/17

読み仮名 センバヅル
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-100123-4
C-CODE 0193
整理番号 か-1-18
定価 594円
電子書籍 価格 626円
電子書籍 配信開始日 2012/12/01

鎌倉円覚寺の茶会で、今は亡き情人の面影をとどめるその息子、菊治と出会った太田夫人は、お互いに誘惑したとも抵抗したとも覚えはなしに夜を共にする……。志野茶碗がよびおこす感触と幻想を地模様に、一種の背徳の世界を扱いつつ、人間の愛欲の世界と名器の世界、そして死の世界とが微妙に重なりあう美の絶対境を現出した名作である。他に「波千鳥」(続千羽鶴)を収録する。

どういう本?

タイトロジー
(タイトルを読む)
 菊治は道をゆずるように立ちどまって、
「栗本さんのお茶席は、この路の奥でしょうか。」
 と、たずねてみた。
「はあ。」
 二人の令嬢は同時に答えた。
 聞かなくてもわかっていることだし、令嬢のきもので茶室へ行く路と知れているのだが、菊治は自分をはっきり茶会へ行かせるために言ったのだった。
 桃色のちりめんに白の千羽鶴の風呂敷を持った令嬢は美しかった。(本書15ぺージ)

*千羽鶴の風呂敷 この作品の題名ともなった風呂敷の由来については、著者が「独影自命」のなかで詳しく説明してある。(注解・郡司勝義 本書302ページ)

著者プロフィール

川端康成 カワバタ・ヤスナリ

(1899-1972)1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ケ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て1921年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。1968(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。1972年4月16日、逗子の仕事部屋で自死。著書に『伊豆の踊子』『雪国』『古都』『山の音』『眠れる美女』など多数。

目次

千羽鶴
千羽鶴
森の夕日
絵志野
母の口紅
二重星
波千鳥
波千鳥
旅の別離
新家庭
注解

解説 山本健吉
解題 郡司勝義

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