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愛の渇き

三島由紀夫/著

605円(税込)

発売日:1952/04/02

書誌情報

読み仮名 アイノカワキ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-105003-4
C-CODE 0193
整理番号 み-3-3
ジャンル 文芸作品
定価 605円

満たされぬ心。空回りする愛。

杉本悦子は、女性問題で彼女を悩ませつづけた夫が急逝すると、舅弥吉の別荘兼農園に身を寄せ、間もなく彼と肉体関係に陥った。彼女は夜ごと弥吉の骸骨のような手の愛撫を受けながら、一方では、園丁三郎の若若しい肉体と素朴な心に惹かれていく。だが、三郎には女中の美代という恋人がいることを知った時、悦子は……。〈神なき人間の逆説的な幸福の探求〉を主題にした野心作。

どういう本?

タイトロジー(タイトルを読む)

悦子は忽ち肩先を抱かれて、冷たい篠竹のような手が胸もとに入ってくるのを感じた。彼女は体ですこし逆らったが、声は立てなかった。立てようとして出なかったのではなく、立てなかったのである。
 この瞬間における悦子の諦念を、もしくは単なる自堕落を、安逸を、どう解釈すべきであろう。渇いた人が鉄錆の浮いた濁った水をも呑むように、悦子はこれを受け入れたのであろうか。そんな筈はない。悦子は渇いてなぞいはしなかった。何も希わないことが夙に悦子の持前になっていた。(本書76ぺージ)

著者プロフィール

三島由紀夫

ミシマ・ユキオ

(1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威(きみたけ)。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。

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