浅野の愚、吉良の高慢、堀部の男気、主税の誠。感涙必至、忠臣蔵アンソロジー神品七編。

七つの忠臣蔵
読み仮名 | ナナツノチュウシングラ |
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発行形態 | 文庫 |
判型 | 新潮文庫 |
ISBN | 978-4-10-139734-4 |
C-CODE | 0193 |
整理番号 | い-17-88 |
ジャンル | 文学賞受賞作家 |
定価 | 594円 |
仇討ち劇の陰に咲く悲恋(「べんがら炬燵」)。知られざる浅野内匠頭の狂態(「火消しの殿」)。剣の達人堀部安兵衛の峻厳たる男気(「実説『安兵衛』」)。脱盟の汚名を呑んだ槍の名手高田郡兵衛の煩悶(「脱盟の槍」)。大石内蔵助の志を試した商人天野屋(「命をはった賭け」)。吉良のあきれた精神構造(「吉良上野の立場」)。滂沱の涙を誘う若き浪士の姿(「永代橋帰帆」)。感涙必至、神品七編。
著者プロフィール
吉川英治 ヨシカワ・エイジ
(1892-1962)神奈川県生まれ。船具工、記者などさまざまな職業を経て作家活動に入る。国民文学作家と親しまれ、1960(昭和35)年文化勲章受章。『三国志』『宮本武蔵』『新・平家物語』『私本太平記』など、その著作は200を越える。
池波正太郎 イケナミ・ショウタロウ
(1923-1990)東京・浅草生れ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズをはじめとする膨大な作品群が絶大な人気を博しているなか、急性白血病で永眠。
柴田錬三郎 シバタ・レンザブロウ
(1917-1978)岡山県生れ。慶應義塾大学支那文学科卒業。在学中より「三田文学」に現代ものの短編を発表。戦後、「書評」の編集長を経て、創作に専念。1951(昭和26)年、『イエスの裔』で直木賞を受賞。以後、時代小説を中心に創作し、1956年より「週刊新潮」連載開始の『眠狂四郎無頼控』は、一大ブームとなった。狂四郎シリーズ以外の主な作品に『剣は知っていた』『赤い影法師』『運命峠』『御家人斬九郎』『剣鬼』『決闘者 宮本武蔵』等がある。
海音寺潮五郎 カイオンジ・チョウゴロウ
(1901-1977)鹿児島県伊佐郡大口村(現・伊佐市)生れ。国学院大学卒。中学の国漢教師を勤めた後、創作に専念。1929(昭和4)年「うたかた草紙」が「サンデー毎日」大衆文芸賞に入選。1932年長編「風雲」も同賞を受賞。1936年『天正女合戦』で直木賞を受賞。1957年に完結した『平将門』は新時代の歴史小説の先駆となった記念碑的大作。日本史への造詣の深さは比類がない。他に『武将列伝』『列藩騒動録』『孫子』『天と地と』『西郷隆盛』『西郷と大久保』『幕末動乱の男たち』『江戸開城』『二本の銀杏』など著書多数。
佐江衆一 サエ・シュウイチ
1934年、東京生まれ。コピーライターを経て1960年、短篇「背」で作家としてデビュー。1990年『北の海明け』で新田次郎文学賞受賞。1995年、ドゥマゴ文学賞を受賞した『黄落』は、著者自身の老老介護を赤裸々に描いてベストセラーになった。1996年『江戸職人綺譚』で中山義秀文学賞を受賞。他の著書に『横浜ストリートライフ』『わが屍は野に捨てよ――一遍遊行』『士魂商才――五代友厚』『長きこの夜』『動かぬが勝』等。『エンディング・パラダイス』は、『昭和質店の客』『兄よ、蒼き海に眠れ』に続く、昭和戦争三部作の最後の作品となる。古武道杖術師範。
菊池寛 キクチ・カン
(1888-1948)高松市生れ。1916(大正5)年、京大を卒業後、「時事新報」記者を勤めるかたわら、「恩讐の彼方に」等の短編小説を発表して、新進作家としての地位を確立した。さらに面白さと平易さを重視した新聞小説『真珠夫人』で、一躍、流行作家になった。その一方、鋭いジャーナリスト感覚から1923年、「文藝春秋」を創刊、文芸家協会会長等を務め、“文壇の大御所”と呼ばれた。
山本一力 ヤマモト・イチリキ
1948(昭和23)年高知県生れ。東京都立世田谷工業高校電子科卒業後、様々な職を経て、1997(平成9)年『蒼龍』でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。2002年、『あかね空』で直木賞を受賞。著書に『損料屋喜八郎始末控え』、『欅しぐれ』、『だいこん』、『銭売り賽蔵』、『かんじき飛脚』、『銀しゃり』、『研ぎ師太吉』、『いすゞ鳴る』『人情屋横丁』『くじら組』『八つ花ごよみ』『おたふく』『べんけい飛脚』『千両かんばん』『紅けむり』他多数。
目次
池波正太郎 火消しの殿
柴田錬三郎 実説「安兵衛」
海音寺潮五郎 脱盟の槍――高田郡兵衛
佐江衆一 命をはった賭け――大坂商人 天野屋利兵衛
菊池寛 吉良上野の立場
山本一力 永代橋帰帆