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最後の大独演会

立川談志/著 、ビートたけし/著 、太田光/著

1,320円(税込)

発売日:2012/11/22

書誌情報

読み仮名 サイゴノダイドクエンカイ
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 95ページ
ISBN 978-4-10-306942-3
C-CODE 0095
ジャンル 演劇・舞台、落語・寄席・演芸
価格 1,320円
電子書籍 価格 1,056円
電子書籍 配信開始日 2013/05/17

「今日はくだらない話だけをしようぜ」談志は二人に向かって、そう言った。

病気療養中だった談志が、たけしと太田を相手に話芸の限りを尽くした三時間。現代落語最後の名人がお笑い界トップ2に言い残したのは、芸談でも人生訓でもなく、抱腹絶倒のアブナイ話、下ネタ、古今のゴシップ、バカ話。こんなにも粋でシャイな「別れの告げ方」もある。貴重な三人の座談収録CD付き。立川談志一周忌追善出版。

目次
ダメだ、この人は(笑)
活字にできる話にしよう
客にイラつく時もある
最初に褒めてくれた人
麻薬と芸人
たけしが落語家になれば
伝説の「芝浜」名演の後で
林家三平という化け物
キャバレーという修羅場
チンボコが出せるか
絶滅危惧種か、黒船か

封入CD――メイキング・オブ・最後の大独演会

書評

2年前の座談と甘く見るなかれ
~この日を境に世界はどう変わったのか?

高橋洋二

 

 二年前の初夏、立川談志からビートたけしに宛てて「久しぶりに会おうか」とメッセージが届き、たけしは太田光を誘って三人で会うことになった。本書に収められた鼎談が行なわれたのは2010年6月15日である。
 この日時をどうか頭の中に留めて読み進めていただきたい。何なら白い紙を用意してメモを取るのもいいかも知れない。
 たけしが太田を誘った理由を思いつくことは容易である。70歳代の談志と60歳代の自分を結ぶ線を真っすぐ若い方に降ろせばそこには40歳代の太田がいる。線の長さはそのくらいがちょうどいいと考えたからではないか。
 太田は2007年10月にDVD「笑う超人 立川談志×太田光」(コンテンツリーグ)を作った。談志の高座を太田の演出で複数のカメラで撮り、自ら編集した。二人の芸談も収録している。また同月からTBSラジオで「立川談志・太田光 今夜はふたりで」という、異例のノンストップ・イリュージョン番組を始めている。このふたつの現場に私は構成者という立場で立ち会っていたが、二人が高いレベルで理解し合っているのを感じた。翌2008年3月に番組は終了、6月に談志は入院そして退院。2009年8月より長期休養を発表した。2010年4月に八ヶ月振りに高座に復帰、このような流れでの冒頭の「久しぶりに会おうか」なのである。
 それにしてもこの鼎談から噴出する幸福感は何なのだろうか。付録のCDに収められた同録を聴けば誰もが感じることだろう。「大好きな人と話をするのはなんて嬉しいことなのだろう」そんなシンプルな道理の力強い実例である。今、目の前にいる談志を笑わせたい。たけしは若手の頃の自分の感覚を味わっているようだ。しかしそのやりとりも時には一筋縄には行かない。談志のある発言に、太田が言うところの「たけしさんが本気で困った顔するの珍らしいですよ」という状態にも陥る。このことがまた、たけしを更に回春させていたかも知れない。
 たけしにしてみればこの日は監督作品「アウトレイジ」が公開されたばかり、鼎談の中で早くも次回作の構想に触れている。ヤクザ会議が開かれ、全国から親分が集まるが撃ち合いになり全員が死ぬ、と。この年の9月にその作品の製作が発表される。(当時のタイトルは「アウトレイジ2」)
 翌2011年は3月に東日本大震災があり、撮影のスケジュールはいったん白紙になる。撮影再開に向けて動き出すこの年に、たけしはテレビの現場でひとつ印象的な特別番組を作った。9月28日放送の「北野演芸館 たけしが本気で選んだ芸人大集合SP」(毎日放送)である。たけしが演芸場の支配人、ガダルカナル・タカが副支配人に扮し、「今、面白いと思う芸人」に直接出演交渉し、ネタを披露してもらうという内容。ナイツ、オードリー、サンドウィッチマン、友近、東京03、中川家など30歳代を中心とした総勢17組の芸人が登場した。ここで多くの視聴者が驚いたのは、たけしが彼らのネタを普段からよく観ていて、的確な分析をしていることだった。ネタばかりでなく例えばインパルスについては、「こいつ(板倉)の書いた小説(『トリガー』)も読んだけど面白くてさ」と話しかけ、一同が本気で、そこまで見てくれてるんだ、と息を呑むひと幕もあった。以前から「実はたけしさんは意外なほど若手の芸人に詳しい」とは言われていたが、その意外なところをここに来て全開にしている印象だ。なぜだろうか?
 今にして思えばそれは2010年6月の本書の鼎談により、芸人が世代を越えてつながるってのはいいもんだ、と強く意識付けられたからではないかと思う。この素晴らしい特番は翌2010年にも2月、7月、10月と現在までに四回、放送されている。
 さらに10月は新番組「日曜ゴールデンで何やってんだテレビ」(TBS)を、初共演の石橋貴明(50歳代)と組みスタートさせている。「今、腹をかかえて笑えるものは何か?」ふたりが企画し実行していくバラエティである。出演する芸人は関東勢が中心のようだ。
 二年前の6月15日に、談志、たけし、太田とつながった「関東の芸人」の一本線が今多くの線に分派している印象だ。
 完成した「アウトレイジ ビヨンド」は、関東のヤクザが関西勢に手も足も出ないままに全滅する内容だった。
 談志に着火された火は、この先どうなっていくのか? ちょっとドキドキしている。

(たかはし・ようじ 放送作家)
波 2012年12月号より
単行本刊行時掲載

担当編集者のひとこと

 旧著(2012年11月刊)からのおすすめ。
 最近の落語ファンからよく聞くのは、「志ん朝にも談志にも間に合わなかった」というセリフ。もっとも、談志家元は映像、音源、活字を残すことに熱心でしたから(生前あまり残したがらなかった志ん朝さんのものも現在は大量に出ていますが)、簡単に追体験ができます。まあ、「CDやDVDじゃ、家元の(あるいは矢来町の)高座の凄さは伝わんねえよ」と宣う令和の団菊爺ぃもいるでしょうが……(無論それはその通りなのです)。
 数多い談志師匠の書籍でも異色を放つのが上の一冊。亡くなる一年半前、すでに病を得、体力も衰えて、高座の回数もセーブしている中、たけしさんと太田さんを相手に三時間語り込んだ、座談会というより文字通り「独演会」の記録です。圧倒されるのは、信頼する二人を相手に、芸談でも人生訓でもなく、ただひたすらくだらない話に終始していること。現場にいて、大笑いしながらも、こんな粋でシャイな別れの告げ方、芸人同士のさらけ出し方があるんだと感動したのを覚えています。一部を収録したCDが付録。必読&必聴!(出版部・K)

2020/03/27

著者プロフィール

立川談志

タテカワ・ダンシ

(1936.1.2-2011.11.21)1952年に五代目柳家小さんに入門。1963年真打昇進。1966年TV番組「笑点」を企画、初代司会者となる。1971年からは参議院議員を一期6年務めた。1983年に落語協会を脱会、落語立川流を創設し家元となった。文章家としても知られ、著書に『現代落語論』『あなたも落語家になれる』『談志楽屋噺』などがある。高座では「居残り佐平次」「らくだ」「粗忽長屋(主観長屋)」「芝浜」「黄金餅」「松曳き」「やかん」等、多くの演目を十八番とした。

ビートたけし

ビート・タケシ

1947(昭和22)年、東京都足立区生まれ。漫才コンビ「ツービート」で一世を風靡。その後、テレビやラジオのほか、映画や出版の世界でも活躍。1997年「HANA-BI」がベネチア国際映画祭グランプリを受賞。著書に『間抜けの構造』『テレビじゃ言えない』『アナログ』など。

太田光

オオタ・ヒカリ

1965(昭和40)年埼玉県生れ。日大芸術学部中退後、同級生だった田中裕二と1988年に爆笑問題結成。著書に『爆笑問題 太田光自伝』『パラレルな世紀への跳躍』『向田邦子の陽射し』などがある。2010(平成22)年、初の小説『マボロシの鳥』を刊行。爆笑問題としての著書に『爆笑問題の日本原論』『爆笑問題の日本史原論』シリーズ、『爆笑問題集』などがある。

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