ホーム > 書籍詳細:できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと―

喪失に直面した「ふつうの人」が希望に向かって歩いた、「あの日からの未来」の物語。

できることをしよう。―ぼくらが震災後に考えたこと―

糸井重里/著 、ほぼ日刊イトイ新聞/著

1,512円(税込)

本の仕様

発売日:2011/12/16

読み仮名 デキルコトヲシヨウボクラガシンサイゴニカンガエタコト
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 399ページ
ISBN 978-4-10-363802-5
C-CODE 0095
ジャンル 社会学
定価 1,512円

災いをバネに、必死で智恵を絞った人たちがいた――。震災直後から自己判断で支援物資を運び始めた「クロネコヤマト」の社員たち。津波で全て流された中からいち早く事業を再開した、気仙沼や陸前高田の経営者。困難な状況下で甲子園に挑んだ、福島の高校球児……。「ほぼ日刊イトイ新聞」に掲載され、熱い共感の渦を巻き起こした震災関連の話題作に、糸井重里語り下ろしロングインタビューを加えた決定版。

著者プロフィール

糸井重里 イトイ・シゲサト

1948(昭和23)年、群馬県生れ。コピーライター。「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰。広告、作詞、文筆、ゲーム制作など多彩な分野で活躍。著書に『ぼくの好きなコロッケ。』『ボールのようなことば。』『海馬』(池谷裕二との共著)『黄昏』(南伸坊との共著)『知ろうとすること。』(早野龍五との共著)ほか多数。

ほぼ日刊イトイ新聞 (外部リンク)

ほぼ日刊イトイ新聞 ホボニッカンイトイシンブン

1998年6月6日に創刊された糸井重里主宰のウェブサイト。通称・ほぼにち。有名、無名を問わず多くの協力者による多彩なコンテンツを擁し、1日に100万ページビューのアクセス数を誇る。ほぼ、と言いつつ毎日更新。Tシャツ、手帳などのグッズ販売や、書籍の出版も行っている。

ほぼ日刊イトイ新聞 (外部リンク)

書評

波 2012年1月号より 「できないこと」を見つめた先に

重松清

東日本大震災が発生した翌日――三月十二日、『ほぼ日刊イトイ新聞』(以下『ほぼ日』)は、いつもどおり午前十一時頃にコンテンツを更新し、糸井重里さんの日替わりコラム『今日のダーリン』も、震災以降で最初の原稿に切り替わった。〈いつまでも忘れられないような一日が終わり、翌日がやってきています〉と書き出された当日のコラムの真ん中あたりに、こんな一節がある。
〈それぞれにできることが、必ず、やがて見えてくると思います〉
その言葉が慰めでも方便でもなかったことを、僕たちはすでに知っている。糸井さんは正しく予言をした。『ほぼ日』が矢継ぎ早に展開していった震災関連のコンテンツは、すべてそれを裏付けるものだったと言っていい。
具体的な支援活動をいちはやく始めたクロネコヤマト、町の復興と雇用創出を兼ね備えた「重機免許取得支援プロジェクト」などユニークなアイデアが止まらない大学の先生、週末にどこからともなく集まって、津波で被災した家屋の掃除をつづける若者たち、グラウンドの放射線量を測定しながら甲子園を目指す福島県の高校球児……。
ときには糸井さんが自ら、ときには『ほぼ日』の若いスタッフが、現地に赴き、長い対話をして、長いレポートをしたためてきた。汗を流し、海水交じりの泥にまみれ、絶句したり、泣きそうになったり、思わず笑ったりして、「できることをやっているひと」の物語を一つずつ積み重ねていった。そして、震災から約九ヶ月をへて、それらの物語は一冊の書物――本書にまとめられたのである。
ああ、気持ちよかったなあ、という読後感は不謹慎だろうか。だが、それが僕にとっては最も正直な感想だった。
その気持ちよさは、どこから来るのだろう。「論」は必要最小限しか訊かないし、書かない、という徹底した具体性ゆえ? それもある、確かに。僕は(あなたも?)いささか「論」に倦んでいる。「論」に翻弄されどおしの日々に疲れてしまった。だからこそ、自らも被災した社員たちが自発的に支援活動に取り組んだ理由を糸井さんに問われて、理屈もなにもなく「うちの会社のDNAですよ」とあっさりきっぱり言い切るクロネコヤマトの社長の姿に痺れるのだ。
また、「できることをやっているひと」の持つポジティブな姿勢が読み手にも伝わる、ということもあるだろう。実際、前述の「重機免許取得支援プロジェクト」などを手がける早稲田大学大学院専任講師の西條剛央さんは、糸井さんとの対話でこう語っている。
〈やっぱり「がんばり」だけでは、無理です。「これならいけるぞ」という勝算や希望がなければ……。(略)悲壮感とか切迫感だけでは、続けられないです〉
そうだよな、ホント、そうだよなあ、と何度もうなずきつつ、さらにもう一つ――。
本書のタイトルは「できることをしよう」である。「なんでもしよう」ではない。「できること」の背景には「できないこと」がある。それを認めるところからすべては始まるのではないか。だが、ひとは浮き足立つと、それをつい忘れてしまう。「できること」と「できないこと」とがゴッチャになって、なんでもできるような錯覚に陥ったり、逆になにもできないんだと落ち込んだり、他人の「できないこと」を罵ったりしたすえに、「(被災者のために)なんでもしなくちゃ」という、西條さんのおっしゃる〈悲壮感とか切迫感〉の隘路に入り込んでしまうのである。
だが、本書に登場するひとたちは皆(巻末でロングインタビューに答える糸井さん自身も含めて)、「できないこと」と謙虚に向き合っている。「できること」の背後に広がる「できないこと」のあまりの大きさを認め、けれどひるむことなく、もちろんあきらめることもなく、足元の「できること」を一歩ずつ広げようとしている。本書は、震災後の「眺望」についての報告ではない。どこまでも具体的な、現実に根差した「足跡」の報告――そして、その足跡のつま先がどっちに向いているのかを伝えるための一冊なのだと思う。
誰もに「できること」があり、「できないこと」がある。全部はできない。でも、できることなら、できる。だから、できることをしよう。三月十二日の予言は、いま、小さな合言葉になったようだ。

(しげまつ・きよし 作家)

目次

まえがき 糸井重里
クロネコヤマトのDNA。
木川眞(ヤマトホールディングス社長) × 糸井重里
ふんばろう東日本支援プロジェクト
西條剛央さんの、すんごいアイディア。
西條剛央(早稲田大学大学院(MBA)専任講師) × 糸井重里
ゼロから立ち上がる会社に学ぶ
東北の仕事論。
気仙沼・斉吉商店   × 奥野武範(ほぼ日刊イトイ新聞)
気仙沼・丸光食品     糸井重里
陸前高田・八木澤商店
その話し合いをしておこう。
――NHKの方に会って、決めたこと――
山下和彦(NHK生活情報部) × 糸井重里
PR担当者(NHK広報局)
山元町と手をつなぐ。
菅野綾子(ほぼ日刊イトイ新聞)
福島の特別な夏。
第九十三回全国高等学校野球選手権福島大会の取材より
永田泰大(ほぼ日刊イトイ新聞)
糸井重里ロングインタビュー
ぼくと「ほぼ日」の「できること」。
(聞き手・新潮社『できることをしよう。』編集チーム)

判型違い(文庫)

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